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『ポケモン サンムーン』で消える僕らの遊び場 トリプルバトルは本当に不要なのか?

『ポケモン サン・ムーン』で消える僕らの遊び場 トリプルバトルは本当に不要なのか?/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

全国のポケモントレーナーのみなさん、早速ですが「トリプルバトル」というポケモンバトルをプレイしたことはありますか?


ポケモンバトルといえば、ストーリープレイでなじみ深い1vs1のシングルバトルが一般的ですが、トリプルバトルはその名の通り3vs3、コンボを決めたり味方を守ったり、全体技で敵を一掃したり…

いつもと違うポケモンバトルが楽しめる、2010年発売の『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』で新たに生まれたバトルルールです。

『ポケットモンスター』は1996年に発売された第1作より、ポケモン数・技・特性・メガシンカ、そしてバトルルールと様々な面から「対戦ゲーム」として常に進化を遂げてきました。

トリプルの様子/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

トリプルの様子/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

しかしながらトリプルバトルは、シングルバトルとはルールや戦い方が大きく異なり、ストーリーで触れる機会もほとんど無いために、無関心なまま敬遠され、プレイヤー人口が全く伸びないポケモン界の過疎ルールになってしまっているのが現実です……。

申し遅れました、私ぬにっちといいます。トリプルバトルと出会い、トリプルバトルの魅力を伝えるブログをつくるほど、トリプルバトルにハマり込んでいる、現役のポケモンバトルプレイヤーです。

トリプルは人口が少ないマイナールールであることは間違いないのですが、味方と敵の6体が同時に動く戦略性や全体技の爽快感など、他のポケモンバトルでは味わえない魅力に溢れたルールとして、一部で僕のような熱狂的なプレイヤーを生み出しているのも事実です。

そんなトリプルですが、『ポケットモンスター サン・ムーン』では・・・

『ポケットモンスター サン・ムーン』で一部変更となる、バトルの種類と対戦方法を紹介!

レーティングバトルにおけるポケモンバトルのルールは、次の3つと新たに追加される「WCS」ルールの合計4つ。

シングル
1匹ずつ対戦の場に出しながら勝敗を決めるバトル

ダブル
2匹ずつ対戦の場に出しながら勝敗を決めるバトル

スペシャル
シーズン毎に、通常のシングル、ダブルのルールでは体験できないような、変わった形式の特別ルールを適用。
世界中のポケモントレーナーたちとの熱い「レーティングバトル」!(http://www.pokemon.co.jp/ex/sun_moon/fight/161004_02.html)より一部抜粋

次の3つ…シングル・ダブル・スペシャル…。


『サン・ムーン』でトリプル、消えます

pose_zetsubou_man トリプルに魅了され、すでに『サン・ムーン』へ向けて、日々新たに発表されるポケモン達を組み込んだパーティの構築などをあれこれと友達と話し合い、胸を躍らせていた僕たちトリプルプレイヤーにとって、これほど悲しい発表はありません…。

「サンムーン予約取り消した」
「これから何して生きようか」
「ストレスで食事が喉を通らない」
「ショックすぎて間違えて石鹸食べてた」

みなさんは、今現在、トリプル界隈(とローテ界隈)は阿鼻叫喚の地獄と化していることをご存知でしょうか? 華々しく発表された裏で、トリプルとローテーションが、レーティングバトルから消えることをご存知でしょうか?

いいえ、知る由も無いでしょう・・・。なんてったって、マイナールールですから……。

ただ、このままマイナールールとしてトリプルが忘れ去られていくのを見守っているわけにはいきません。

そもそもトリプルは、対戦ゲームとして進化するポケモンにとって本当に「不要なルール」だったのでしょうか…?


消えゆくトリプルとは一体何だったのでしょうか?


いま一度、あらためてその魅力を探ってみたいと思います。

文/ぬにっち 編集/吉田雄弥

ポケモンバトルの過疎ルール「トリプル」とは?

まずはじめに、ポケモンバトルは、最もメジャーなシングル、世界大会ルールにも採用されているダブルを中心にプレイされています。

シングル

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シングルの様子/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

シングルは、有利不利のわかりやすいシンプルな1vs1かつ、対戦のデータも豊富なルールなので、お互いに数手先までの判断や対処が楽に行えます。相手のポケモンに対して自分はどのポケモンで戦うのか、はたまた、どのポケモンを温存しておくのか、先々の展開を計算して「対処すること」がシングルバトルの面白さ。

その反面、1回の急所で戦況が一転してしまうような運要素もシングルの醍醐味ですね。

ダブル

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ダブルの様子/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

2vs2で行われるダブルバトルは、シングルに比べて運要素の影響が弱く、競技性が高いルールとされています。真剣に勝ち負けを競い合うプレイヤーが多いルールですね。

攻撃先が2体いるので、弱点に強力な一撃を叩きこむことが容易な「攻撃すること」が強いルールです。敵を倒しやすく、また倒されやすい、緊迫感のあるバトルが楽しめます。

同じポケモンでありながらゲーム性が大きく異なる2つのルール、トレーナーの間では「シングルとダブル、どちらが面白いのか」という議論がたびたび巻き起こっています。


では、そんなシングルとダブルの喧騒の中、話題にすらあがらないトリプルの立ち位置はというと……


「興味ない」「何が起きているのかさっぱりわからない」「そもそもルールの存在すら知らない」といった扱いで、トリプルはポケモン界の闇だと散々に揶揄されています。

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わずかに知識のあるトレーナーからも、

「奇想天外なコンボ・ギミックが実現できる」
「変わったポケモンで戦える」
「味方を攻撃する」
「レベルの低いほうが強いらしい」

という、やや奇抜なイメージを多く持たれているようです。

たしかに、「奇想天外なコンボ・ギミック」から繰り出される巧みな戦術はトリプルの魅力の1つです。

レベル32のカモネギによる奇抜なギミック

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ポケモンずかん|ポケモンだいすきクラブより

その代表格がレベル32のカモネギによる「マークーダ」と呼ばれる戦術。

カモネギは能力値が低く、シングルやダブルではほとんど採用されることのないポケモンですが、カモネギ専用アイテム「長ネギ(急所率アップ)」と「つじぎり(急所率の高い技)」の組み合わせで、100%急所に攻撃できるようになる利点を持ったポケモンです。

そこに目をつけ、「いかりのつぼ」(急所被弾で攻撃が最大まで上昇)という特性のポケモン・バクーダに味方のカモネギが急所攻撃を当て、攻撃最大上昇(通常の4倍)じしん」を撃つという戦術が「マークーダ」です。

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「マークーダ」戦法の様子/トリプル写真館 - うみひょう雑記より

しかもこれはカモネギとバクーダによる連携ではなく、あえてカモネギのレベルを32まで下げることで「すばやさ」を低くし、3匹目のポケモンで「トリックルーム」(すばやさが遅いほど先に行動できる)を使うことで、バクーダより先に行動できるようにしています。

それにカモネギは飛行タイプなので、味方を巻き込む全体技「じしん」を回避できる相性バツグンの組み合わせです。

もちろんダブルでもバクーダとカモネギの組み合わせは可能ですが、トリックルームなどの条件がしっかり揃わないと戦えないので、実戦で使用することはかなり厳しいといえます。

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ポケモンずかん|ポケモンだいすきクラブより

トリプルであれば、もう1体、トリックルームを張ったり、妨害から味方を守るサポート役も入れることができるので、奇抜なギミックを実戦クラスまで引き上げることが可能なのです。

この「マークーダ」のように、特殊なギミックでレーティングバトルでも十二分に戦える構築は数多く存在していますし、トリプルファンを惹きつける大きなポイントだと思います。(興味のある方は、ホロウビアルレクイエム、タコエッテ、猫の手大爆発、サーフガブなどで検索してみよう)

しかし、我々はトリプルを知らないトレーナーたちに訴えたいのです。


トリプルはギミックだけが魅力のバトルではない!

ギミックはトリプルの面白さのほんの一部でしかないと!


トリプルで輝くポケモンたち

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トリプルの様子/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

トリプルはダブルに近いルールですが、先述のカモネギやトリックルームを張るポケモンのように、サポート役がとても重要になります。

たとえば、パーティで旅をするRPGのボス戦をイメージしてください。

1人パーティだと攻撃や回復をひとりで行い、コツコツ計算しながら戦っていくことになります。

一方2人パーティだと、攻撃/回復の役割をつくると安定はしますが、回復役は暇になることも多く、2人とも高い攻撃能力を求められる場面が多いです。


では、3人パーティの場合はどうでしょうか?


triplesaigen 攻撃2人/回復やサポートに徹する役を1人置くことで、攻撃しながら戦いを安定させることができます。サポート専用のキャラは3人パーティになってはじめて真価を発揮できるのです

ポケモンにも様々な技・特性・能力値が存在します。1vs1のシングルではもともとの能力の差から活躍できなくても、RPGのようにそれぞれのポケモンに、そのポケモンにしかできない多彩な役割を持たせることで活躍することができる。その可能性が、トリプルには秘められています。

ポケモンずかん|ポケモンだいすきクラブ

ポケモンずかん|ポケモンだいすきクラブより

たとえば、特性「いかく」と「ねこだまし」、さらに全体攻撃を防ぐ「ワイドガード」などのサポート能力に優れたカポエラー

水技や地面技を無効化しながら、「おいかぜ」や「ワイドガード」で味方をサポートするマンタイン

味方のダメージが減る特性「フレンドガード」や「このゆびとまれ」で味方を守るしんかのきせきピッピプリン

特性「フラワーギフト」により晴れ状態で味方の攻撃と特防を強化し、さらに「てだすけ」や「いやしのはどう」を使うチェリム

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ポケモンずかん|ポケモンだいすきクラブより

攻撃能力が低く、他ルールではあまり見かけないけれど、トリプルでは強力なサポート能力を持って一線級で戦える


そんなポケモン達が、トリプルには数多く存在します。

もちろん、彼ら単体では力は発揮できません。メガガルーラやニンフィアのような攻撃能力が高いポケモンたちがいてこそのサポートなのです。

攻撃する役、攻撃を受ける役、有利な状況に持ち込む役、味方を強化する役、相手を妨害する役。

3対の役割、そして連携を考えながら1つのパーティとして技を選択するため、時間切れで技を選択できなかったり、1戦するのに20分もかかってしまったりするのは、トリプルではよく見る光景です。

こうして考え抜き、1ターンの中で敵味方それぞれ役割を持った6体のポケモンが一斉に行動する。


トリプル最大の魅力は、3vs3のポケモンがおりなす役割と連携のぶつかり合いなんです


狭いコミュニティならではの遊び場

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わざ「たがやす」のエフェクト/なぜかクオリティがすごい/『ポケットモンスター オメガルビー』ゲーム画面より

ここまでトリプルの対戦における魅力について語ってきましたが、なにもこれだけではありません。

トリプルではプレイヤー数が少ないゆえに、レーティングバトル(勝敗によって自分のレートが数字で決まる)で何度も同じプレイヤーと対戦する機会が増え、プレイヤー同士が顔見知りになるような状況が生まれていました。

また、公式の扱いもあまりよくなく、まともな大会が開かれたことがなかったので、有志が非公式のネット大会を開いたり(毎回、大体50人前後がエントリー)、時に奇抜なギミックを検証しあったりと、ネットを中心にトリプルのコミュニティが形成されていきました。

トリプルというマイナーなルールに集まる人は、やはり根本で「新しいもの・奇抜なもの」を好み、新しい可能性を模索する楽しさを求める人が多いように感じています。

小さなコミュニティであるがゆえに、たとえば今まで注目されなかったポケモンの新しい戦い方を誰かがTwitterでつぶやくと、すぐにみんなが集まり、TLは考察大会に発展、トリプルプレイヤー全体が1つの話題で盛り上がり、レーティングバトルの環境まで変わってしまう、という現象が度々起きていました。

トリプル界隈で盛り上がった話題

・とあるプレイヤーが使用した「晴れ鉢巻ヒヒダルマ」を軸としたパーティが「ゴリラパ」と命名され大流行
・「たがやす」の技エフェクトが大農家っぽくてすごい、と話題になって「耕しスト」と呼ばれる愛好家が多く出現
・メキシコ人はエレキブルを使う
・奇抜なギミックを「芸術点」で評価する
・対戦相手が見つかりません トリプル界隈で盛り上がった話題

などなど……。

特に、トリプルプレイヤーほぼ全員がDanyという謎の有力海外トリプルプレイヤーとの対戦経験があり、Danyの倒し方やDanyの構築について小一時間トークできるなど、狭い世界ならではの共通の話題や楽しさは、トリプルプレイヤーのみんなが感じていたと思います。

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Dany(イメージ)

オンラインでありながら、オフラインのような実際に集まって話している、まるで『赤・緑を友達とプレイしていた時のような懐かしい感覚。これは、人口の多いシングルやダブルでは味わえないと言えます。

こうした狭い世界での盛り上がりもまた、トリプルの楽しさの1つでした。

トリプルは、そんな「僕たちが集まる遊び場」のような存在でもあったのです。

サン・ムーンが与える絶望と期待

3afb23d760bb839ce6cc48da2324044b937b7377c64ff68424583d26a848c897 トリプルについて暑苦しく語ってきましたが、新作『サン・ムーン』のレーティングバトルで、トリプルはなくなります

僕たちトリプルプレイヤーにとっては、当然、なくなっていいはずはありません。これまでなんとか人口を増やしていこうと、僕やいろんなプレイヤーがトリプルの魅力を発信し続けてきましたが、それでも爆発的に増えることはありませんでした。

もう、なくなってしまうのは仕方ありません。トリプル界隈の中には、まだ現実を受け止められず、公式に抗議している方もいますが、僕は受け入れるしかないと思っています。

なくなってしまうものは仕方ありませんが、『サン・ムーン』を含め、今後、新しいシリーズが出続けるポケットモンスターへの期待と興奮が大きく喪失したのも事実です。

それほどまでに、「僕たちが集まる遊び場」がなくなってしまうショックは非常に大きいものでした。

jungle_jim_kids たとえ、過去作を起動してトリプルがプレイできる、またはレーティングバトルでなければプレイできるとしても…やっぱり遊びの中心はレーティングバトルなんです。

新しい構築やギミックを考え、発表する場がなくなり、今まで形成してきたコミュニティも消えていくのではないか…

トリプルプレイヤーはそんな未来に絶望を感じています。

それでも、トリプルで得たコミュニティや知識・経験は、たとえトリプルがなくなっても、“トリプルプレイヤーが今後ポケモンを楽しくプレイするうえで大切な財産になるのではと、願い半分に思いながら、この記事を書いています

いままで新しい衝撃を提供し続けてくれた『ポケットモンスター』。

これからも、元トリプルプレイヤーだけではなく、全トレーナーへ今までにない喜び・驚き・面白さを提供するゲームであればと期待しています。

ぬにっち // Nuni-cchi

トリプルプレイヤー

ブログ「けつばんレポート」にて、ポケットモンスターの構築記事をトリプルバトル中心に執筆。「グリーンに学ぶトリプルバトル」「【雑記】ワタルは本当にチート使いなのか?」など、多数の人気記事を更新している。
ブログ「けつばんレポート」:http://report-nunipoke.blog.jp/

ぬにっち

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この記事へのコメント(1)

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CKS

CKS

2016.11.11

ぐわーッ もっと早く知ってればハマっていたかもしれん・・・無念・・・

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