小林幸子、ニコ超のヲタ芸エリアに降臨す

その日、舞台にはずっと小林幸子さんの衣装のようなもの(実際に衣装だった)が佇んでいた

ステージの中央には高さ約3.5mという巨大なドーム型の衣装。衣装のテーマは、「夜桜を照らし焚かれる篝火」だ。

歌う曲はニコニコ動画をはじめとするネット文化が生んだヒット曲「千本桜」。2015年のNHK紅白歌合戦でも歌ったこの曲を、会場の観客やステージ上のダンサーとともにサイリウムを使って、平成最後を飾る最高の1曲に仕上げるという。

巨大なサイリウムが観客に配られ、GinyuforcEが入念に動きの練習を重ねる。

サイリウムを折るタイミングを確認するギアさん/提供写真

「いいですか、皆さん! せんぼん“ざ”くら~の“ざ”のタイミングでサイリウムを折って光らせてください!」

夜桜を照らす篝火はサイリウムで表現される。何回も何回もタイミングの確認が行われ、会場の緊張感は最高潮に。

「ラスボスコールで我らのラスボス・小林幸子さんを呼びましょう!」と司会者が叫び、ラスボスコールが始まると……姿が見えないまま小林の歌声だけが響きわたる。

と思ったのもつかの間、ついにステージ中央、衣装の中から小林幸子さんがせり上がってきた。

千本桜の音楽とともに登場した小林幸子さん

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アップテンポなイントロからAメロから、Bメロ、さらにはお馴染みのサビと、曲の展開とともに、徐々にサイリウムを一斉に折るその瞬間が近づいてくる。

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サイリウムに囲まれる中、こぶしを聞かせる

小林幸子さんのこぶしと、GinyuforcEによるヲタ芸がシンクロする美しさ、力強さに思わず息を飲んでしまう。

一方で、刻一刻と迫る瞬間に向けて、会場全体で高まっていく緊張感。そしてついにラストのサビ、「せ〜ん〜ぼんざくら~」の歌声に合わせて…… 発光!

一斉にサイリウムを折ると同時に踊り始める観客たち。サイリウムを突き上げる人々の中で光り輝く小林幸子さんは、神々しく、そのオーラに圧倒される。

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ラスボスたる気迫である

その気迫に応えるようにエネルギッシュに規律ある踊り続ける観客。両者の全力の共鳴によって最高の「千本桜」が生まれた瞬間だ。

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歌い終えると、「平成最後のラスボス、いかがでしたか? また令和でお会いしましょう~!」と陽気にステージをあとにした。

時間にしてみれば2分もあったかどうか。あっという間の出来事だったが、しばらく、ヲタ芸エリアは全員で目標を成し遂げた達成感と熱気に包まれていた。

世界大会に向けた白熱の日本予選も開催

2日目のサイリウムダンス世界大会の日本予選/提供写真

初日と興奮冷めやらぬ「ニコニコ超会議2019」2日目は、サイリウムダンス世界大会の日本予選が行われた。

前日のお祭りムードとは打って変わって、新時代最初のチャンピオンの座に挑む猛者たちがしのぎを削る、ピリッとした雰囲気に。

候補者の中には、前年唯一の女性ダンサーとして出場した増田美咲さんの姿もあった。

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課題曲は、TVアニメ『邪神ちゃんドロップキック』オープニング楽曲「あの娘にドロップキック/邪神☆ガールズ」や、声優ユニット・イヤホンズの前回大会テーマソング「サンキトウセン」。
ゲーム『Summer Pockets』OP主題歌をREMIXした「アルカテイル[PandaBoY Remix]/Key Best Song Remix -to the Future-」、ボカロP・DECO*27さんによる「乙女解剖」、多次元メディアミックスエンターテイメント作品『ライブレボルト』から「革命の唄」。
いずれもヲタ芸/サイリウムダンスを愛する者にとってはテンション上がること間違いなしの名曲揃いだ。

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全国ネットのニュース番組のカメラも大会の行方を追う中で、日本予選を突破したのは「ゼロから打ち師始めます。」のCliffordさん。

Cliffordさん/提供写真

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彼は2020年に行われる第2回世界大会で日本代表として戦う。

サイリウムダンスは新たな時代に次のステージへ

ヲタ芸フエリアの様子

熱戦が繰り広げられた世界大会を主催するルミカとプロデュースするGinyuforcEギアとが目指すのは、「サイリウムダンス」の世界的普及、すなわちオリンピック競技化だ。

かつてはひとつのヲタクカルチャーであったヲタ芸は、いまや世界中に広まり、かっこよくて魅力的な競技/スポーツへと変わりつつある。

提供写真

今後はさまざまなアーティストとコラボレーションはもちろん、スポーツとして認知の拡大や浸透が一層進むなど、ヲタ芸/サイリウムダンスの文化としての成熟を見ることができそうだ。

ニコニコ動画をはじめ、ネットとも親和性の高いヲタ芸/サイリウムダンス。そんなヲタ芸/サイリウムダンスが「ニコニコ超会議2019」で示したのは、ほかのどのダンスとも異なる唯一無二のカルチャーとしての存在感と、競技性をも加えた新たなステージへの予感だった。

【写真】躍動するサイリウムダンスバトラーたちをもっと見る
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