永田寛哲×もふくちゃん×岸田メル 座談会──「つくドル!」プロジェクトが目指す未来

永田寛哲×もふくちゃん×岸田メル 座談会──「つくドル!」プロジェクトが目指す未来
永田寛哲×もふくちゃん×岸田メル 座談会──「つくドル!」プロジェクトが目指す未来

左から:もふくちゃん(福嶋麻衣子)、永田寛哲さん、岸田メルさん

イラストコミュニケーションサービス・pixivを運営するピクシブ株式会社が新たに展開するアイドルプロジェクト「つくドル!」。

同社はpixivの他にも、フジテレビとのTV番組「いらこん」の企画制作や、村上隆さん率いるカイカイキキとのギャラリー・pixiv Zingaroを運営を行うなど、一般的なIT企業とは違ったアプローチによって、様々なカルチャーやクリエイターに関わる事業を行っていることでも知られている。

今回のプロジェクトも一風変わっており、ただアイドルを募集するだけでなく、そこから声優・イラストレーター・コスプレイヤーを目指していくというもの。

アイドル・クリエイターを両立させる「つくドル!」メンバー募集開始! TIFにも出演

その「つくドル!」プロジェクトの中心にいるのが、オタク系編集者/ライターとしての顔を持ちつつ、ピクシブ株式会社取締役副社長をつとめる永田寛哲さんだ。

彼が集めたデビュー曲制作チームと選考委員には、でんぱ組.inc等のプロデュースで知られるもふくちゃん(福嶋麻衣子)、イラストレーターの岸田メルさん、作曲家の前山田健一(ヒャダイン)さん、振付師の竹中夏海さん、アニメ監督の水島精二さんという第一線で活躍する実力派クリエイターらが迎えられ、オーディションで選ばれたアイドルたちは、なんと8月2日(土)〜3日(日)に開催される「TOKYO IDOL FESTIVAL 2014」でのデビューライブまで約束されている。

アイドルになることだけが、夢じゃない!」というテーマが掲げられたこのプロジェクトの真意とは何なのか。昨今のアイドルシーンの現状も踏まえながら、永田寛哲さん、もふくちゃん、岸田メルさんの三者に話をうかがった。

ハロヲタからアイドルプロデューサーに

──「つくドル!」プロジェクトはどのような経緯ではじめられることになったのでしょうか。

もふくちゃん 永田さんと二人で話していたんですよね。本当に最初だと、もう10年くらい前まで遡るんですけど。私と永田さんは、かつてハロヲタ(モーニング娘。を中心としたハロー!プロジェクトのオタク)をやっていて。

永田 うん(笑)。当時、もふくちゃんは僕が経営するもう一つの会社(ユービック)でアルバイトをしていたんです。でもすぐに、「秋葉原で会社をはじめる」とか言い出して。「おまえそれ絶対に騙されるぞ」って止めたんですけど(笑)

当時は夢物語として、「いつかアイドルやりたいよね」って話してたんですよ。サッカーファンが自分の日本代表を考えるような話で、まさかその時は現実化するとは思っていなかった。もふくちゃんはその後にディアステージをつくって、自分のやり方ででんぱ組.incを実現させたわけだけど。それが、お互いにあの時話していた夢物語を実現できるような状況や立場になってきたので、本格的にやってみようじゃないかと。

もふくちゃん 時は来た、みたいな。私は今回のプロジェクトは永田プロデューサーの企画だとして、私はでんぱ組.incとはまた違うアプローチでできることを手伝いたいなと思いました。永田さんはまた自分とは違う発想を見せてくれるのではないかと思って楽しみにしています。

もふくちゃんさんがプロデュースするアイドル・でんぱ組.inc。2014年には武道館公演を成功させた。

──その発想が今回の「つくドル!」という企画なわけですね。アイドル×クリエイターというアイディアはどこから生まれたのでしょうか。

永田 アイドルをやるといっても、今の飽和したアイドルシーンを考えれば、差別化が絶対に必要です。アイドルの個性の味付けという意味では、何が得意とか何ができるという子は多いけど、あくまで趣味の範囲で、最初からクリエイターを目指しているような子はいませんよね。

それに「なんでピクシブがアイドルをやるの?」という疑問は当然出てくるだろうから、文脈も必要だった。ただのアイドルではなく、同時にクリエイターでもあれば、ピクシブはクリエイターを応援するという思想で運営しているので、必然性もあるし、差別化もできる。もちろん、アイドルをやりたい!という想いが先行しているのは間違いないですが(笑)。

岸田 自分へのオファーはとてもラフで(笑)。もともと「いらこん」というピクシブさんが制作されているフジテレビの番組で、僕はイラストを解説する立場でレギュラー出演させてもらっているんです。その現場で、今回のプロジェクトの話を聞かせていただきました。「いいんですけど、何をやればいいんですか?」って聞き返したんですが(笑)。だって、イラストレーターのできることって、絵を描くことだけじゃないですか。やれる範囲で、自分はジャケットと衣装デザイン、それと審査員を担当しています。

永田 僕のアイドルヲタ歴は長いんですが、2007年にピクシブを立ち上げてから去年ぐらいまで、ほぼ封印していた。推しメンが卒業したとか、いろんな理由があるんですが、本格的にハマってしまうと仕事にも支障が出てくるから(笑)。でも去年くらいからまたハマり出してしまって。やはり僕の生き場所というか、死に場所はここだったと確信した(笑)。

もふくちゃん 離れていたハロヲタがAKB48やももいろクローバーZで戻ってくるのを見ると、ヲタってやめられないんだなと思いますね(笑)。一回血に入っちゃってると、ほんの少しのトリガーで復活しちゃう。永田さんは昔、本当に超ヤバいサイトをやっていて……。 ──ヤバいサイト!?(笑)

永田 「市井紗耶香は帰ってくる」とか、キリストは復活するみたいなテンションの文章を書いてた(笑)。でも妄想じゃなくて、現実化したからね、それ。

もふくちゃん ……本当に本格的にヤバめなサイトでしたよアレは……あの頃は「モーヲタテキストサイト界隈」とでも言うべきコミュニティが存在していて、テキストサイト上で知り合った人たちでイベントの開催とかもしていたんです。当時の永田さんはかなり太っていたのと、そのサイトの存在もあって、めちゃくちゃ目立っていました(笑)。私もモーヲタだったんで、出会う機会が多くて仲良くなったという感じですね。

永田 いまだに当時のヲタ活動とは全く関係ないピクシブの仕事で会う人に「前に現場で見ました」って言われることがあるからね(笑)。

岸田 すごいですね。僕のアイドルヲタ歴はお二人に比べると浅いんですが、もともとオタクだから、今みたいな絵を描くようになったんですよ。でも仕事にしてしまって、フラットな気持ちで、ゲームやアニメといったコンテンツを純粋な一オタクとして楽しめなくなってしまった。イラストレーターとして仕事をはじめて、10年経って、そんな気持ちになっていったんですが……それがアイドルとの接触(※アイドル用語で握手会などを指す)によって、「うわあ、俺いますごい気持ち悪い状態になってる……!」っていう感動があって(笑)。それがすごく楽しくてハマってしまいました。オタクだった自分を取り戻したような感覚で。

永田 よくわかります(笑)。

【次のページ】「アイドルになるのはゴールではなくスタート」
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