9月19日(水)にリリースされるAKB48の53rdシングル「センチメンタルトレイン」のMVが公開された。
6月に行われた「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙 ~世界のセンターは誰だ?~」から上位16名が選抜メンバーとして参加する楽曲だ。
1位を獲得してセンターをつとめる予定のSKE48・松井珠理奈さんが長期休養中のため、センター不在という異例のMVとなっている。
現在、このMVが、様々な側面からファンの間で物議を醸している。単に松井さんがいないという点だけではない。
風のように現れて、また風のように消えてしまう不思議な転校生を描いた宮沢賢治『風の又三郎』だ。 松井珠理奈さんと須田亜香里さん、そして総選挙3位の宮脇咲良さんという3人を中心に、実際にMVには登場していないが、松井珠理奈さん演じる転校生を描いている。
メンバー全員が実に可愛く撮れている映像自体は高く評価されている。
ただ、松井珠理奈さんがいない点を美しいストーリーに仕上げている点から「涙が出た」「早く復帰してほしい」という声も集まる一方、残酷とも思える演出に疑問の声も上がっている。
その一つは、絵コンテやCGによって、松井珠理奈さんの“不在”が強調された構成となっている点だ。 松井珠理奈さんは、体調不良による長期休養と公式から説明されているが、その以前からコンサート中に過呼吸で倒れたり、メンバーへ向けた不穏ともとれる言動が話題になったりと、ファンをやきもきさせていた事実がある。
『センチメンタルトレイン』MVでは、まるでそれを逆手にとっているかのような構成となっている。
実際、MVの中で、松井珠理奈さんがメンバーに別れを告げる終盤、宮脇咲良さんや須田さんとの意味深なやりとりが続く。
例えば、ベケットの小説『ゴドーを待ちながら』や、朝井リョウの小説『桐島、部活やめるってよ』及びそれを原作にした映画のように、物語の中心人物本人は登場せず他の人物の語りからその人物像が浮かび上がる、という構成もとれたはずだ。
それは、『センチメンタルトレイン』MVの中盤では、松井珠理奈さんの過去の映像が一度だけ挿入されており、それが2011年リリースのAKB48のシングル『桜の木になろう』MVから、という点だ。AKB48「桜の木になろう」
『桜の木になろう』は、現在はAKB48を卒業した前田敦子さんをセンターに、2018年に『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞したことも話題の是枝裕和さんが監督を務めている。
なぜ、この『桜の木になろう』MVの挿入が議論になっているのか。
『桜の木になろう』は、現在はAKB48を卒業した前田敦子さんをセンターに、2018年に『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞して話題の是枝裕和さんが監督を務めている。
なぜ、ファンの間では根強い人気を誇るこの『桜の木になろう』MVの挿入が議論になっているのか。
実は、『桜の木になろう』には、ファンの間ではもはや定説となっている有名なエピソードがある。
フルバージョンには一切歌唱パートがなく全編ドラマパートで構成されている『桜の木になろう』は、春の卒業ソングともとれるが、ドラマと歌詞からは「遠いところにいってしまった帰らぬ友人を想う」内容ともとれる構成になっている。
その“遠いところにいってしまった”役をつとめているのが、他ならぬ松井珠理奈さんだった。 ファンならいやでもその設定を想起してしまう『桜の木になろう』の映像を、なぜあえて『センチメンタルトレイン』で不在の松井珠理奈さん唯一の実写カットとして挿入しているのか。その意図は定かではない。
48グループに続くプロジェクトとして始動した坂道グループの乃木坂46『サヨナラの意味』は、その最たる例だろう。乃木坂46 『サヨナラの意味』
惜しまれながら芸能界を引退したメンバー・橋本奈々未さんのラストシングルであり、最初で最後のセンターをつとめた『サヨナラの意味』は、文字通り彼女と別れを告げる曲となっている。
ただし、『サヨナラの意味』の場合は、経済的な理由からアイドル活動をはじめた彼女を送り出したいという運営とファン双方の思惑が合致していたように思う。
今後の進退について何も明かされていない松井珠理奈さんが初めて総選挙で1位を獲ったセンター曲に、体調不良で参加できなかった今回とは意味が全く異なる。
もちろん、『センチメンタルトレイン』自体は、どうとでも解釈できる演出だ。捉え方は人それぞれだろう。これを運営側からの遠回しのメッセージと受け取ることもできれば、そこに松井珠理奈さんへの激励あるいはエールを読み取ることも不可能ではない。
しかし、須田さんとのやりとりから復帰を思わせる内容かと思いきや、“失った人”を思わせる『桜の木になろう』の挿入というあまりに恣意的なつくりから、多くのファンは穏やかでいられない。
6月に行われた「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙 ~世界のセンターは誰だ?~」から上位16名が選抜メンバーとして参加する楽曲だ。
1位を獲得してセンターをつとめる予定のSKE48・松井珠理奈さんが長期休養中のため、センター不在という異例のMVとなっている。
現在、このMVが、様々な側面からファンの間で物議を醸している。単に松井さんがいないという点だけではない。
絵コンテやCGで登場する松井珠理奈さん
MV冒頭で、松井珠理奈さんが出演する部分は絵コンテやCGを使用したまだ未完成のもので、復帰後に改めて撮影・編集を行って完成版を公開予定という注意書きが挿入される。 絵コンテは、『放浪息子』などを代表作に持つ漫画家・志村貴子さんがつとめている。 ドラマパートでは絵コンテで、歌唱・ダンスパートではCGで松井珠理奈さんを再現。 そしてストーリー仕立てのMVは、総選挙で2位となった須田亜香里さんが映像内で読んでいる小説がモチーフとなっている。風のように現れて、また風のように消えてしまう不思議な転校生を描いた宮沢賢治『風の又三郎』だ。 松井珠理奈さんと須田亜香里さん、そして総選挙3位の宮脇咲良さんという3人を中心に、実際にMVには登場していないが、松井珠理奈さん演じる転校生を描いている。
松井珠理奈の“不在”が強調された内容に、ファンの反応は様々
10分程度のMVとなっており、興味のある方は是非実際に見てほしいが、現在この映像に、ファンから様々な反響が寄せられている。メンバー全員が実に可愛く撮れている映像自体は高く評価されている。
ただ、松井珠理奈さんがいない点を美しいストーリーに仕上げている点から「涙が出た」「早く復帰してほしい」という声も集まる一方、残酷とも思える演出に疑問の声も上がっている。
その一つは、絵コンテやCGによって、松井珠理奈さんの“不在”が強調された構成となっている点だ。 松井珠理奈さんは、体調不良による長期休養と公式から説明されているが、その以前からコンサート中に過呼吸で倒れたり、メンバーへ向けた不穏ともとれる言動が話題になったりと、ファンをやきもきさせていた事実がある。
『センチメンタルトレイン』MVでは、まるでそれを逆手にとっているかのような構成となっている。
実際、MVの中で、松井珠理奈さんがメンバーに別れを告げる終盤、宮脇咲良さんや須田さんとの意味深なやりとりが続く。
「私のこと、どう思ってた?」「もっと仲良くなりたいなって思ってたかな」「大変だった?」「うーん・・・大変、だったかな?」 松井珠理奈さんと宮脇咲良さんとのやりとり
復帰を予感させるような内容ともとれるが、いずれにしろ明らかなのは、松井珠理奈さんがいなくなっていることを前面に打ち出して演出されている点だ。「ここにいたほうが、いい?」「うん。いなくなると悲しい。し寂しい。」「じゃあ、いつか戻ってくるね」「絶対だよ! 戻ってこなきゃ怒る」 松井珠理奈さんと須田亜香里さんとのやりとり
例えば、ベケットの小説『ゴドーを待ちながら』や、朝井リョウの小説『桐島、部活やめるってよ』及びそれを原作にした映画のように、物語の中心人物本人は登場せず他の人物の語りからその人物像が浮かび上がる、という構成もとれたはずだ。
『桜の木になろう』の挿入が物議を醸す理由
もう一つ、最も物議を醸している点がある。それは、『センチメンタルトレイン』MVの中盤では、松井珠理奈さんの過去の映像が一度だけ挿入されており、それが2011年リリースのAKB48のシングル『桜の木になろう』MVから、という点だ。
なぜ、この『桜の木になろう』MVの挿入が議論になっているのか。
『桜の木になろう』は、現在はAKB48を卒業した前田敦子さんをセンターに、2018年に『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞して話題の是枝裕和さんが監督を務めている。
なぜ、ファンの間では根強い人気を誇るこの『桜の木になろう』MVの挿入が議論になっているのか。
実は、『桜の木になろう』には、ファンの間ではもはや定説となっている有名なエピソードがある。
フルバージョンには一切歌唱パートがなく全編ドラマパートで構成されている『桜の木になろう』は、春の卒業ソングともとれるが、ドラマと歌詞からは「遠いところにいってしまった帰らぬ友人を想う」内容ともとれる構成になっている。
その“遠いところにいってしまった”役をつとめているのが、他ならぬ松井珠理奈さんだった。 ファンならいやでもその設定を想起してしまう『桜の木になろう』の映像を、なぜあえて『センチメンタルトレイン』で不在の松井珠理奈さん唯一の実写カットとして挿入しているのか。その意図は定かではない。
『センチメンタルトレイン』と『サヨナラの意味』
これまでにも48グループ、というよりもプロデュースをつとめる秋元康さんは、メンバーの進退にあわせて楽曲のテーマを書き下ろす、という手法をある意味では武器にしてきた。48グループに続くプロジェクトとして始動した坂道グループの乃木坂46『サヨナラの意味』は、その最たる例だろう。
ただし、『サヨナラの意味』の場合は、経済的な理由からアイドル活動をはじめた彼女を送り出したいという運営とファン双方の思惑が合致していたように思う。
今後の進退について何も明かされていない松井珠理奈さんが初めて総選挙で1位を獲ったセンター曲に、体調不良で参加できなかった今回とは意味が全く異なる。
もちろん、『センチメンタルトレイン』自体は、どうとでも解釈できる演出だ。捉え方は人それぞれだろう。これを運営側からの遠回しのメッセージと受け取ることもできれば、そこに松井珠理奈さんへの激励あるいはエールを読み取ることも不可能ではない。
しかし、須田さんとのやりとりから復帰を思わせる内容かと思いきや、“失った人”を思わせる『桜の木になろう』の挿入というあまりに恣意的なつくりから、多くのファンは穏やかでいられない。
音楽の話題
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