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AIといったテクノロジーはエンタメ業界に何をもたらす?

──こうしたキャラクターAIといったテクノロジーは日々進化しています。これらの技術が発展を遂げる中で、漫画制作といったクリエイティブの現場にはどのような影響を与えると思われますか?

三田 20年くらい前までは、クリエイティブ表現のすべてをオートメーション化できるという夢を抱く人は多かったと思います。

けれども、実際には技術が発展するに従い、創作現場で働く人の数は増えているんです。それはディズニーやピクサーを見ればわかります。

──たしかに映画のエンドロールなどを見ていると、関わるスタッフの多さに驚かされます。エンドロール自体、年々長くなっているように感じます。

三田 テクノロジーが人力の代わりになると思えた時代はとっくに過ぎていて、僕の感覚的には、クリエイティブに関わる人間の数は20年前の3倍になっている。

というのも、表現を高度化しようとすればするほど、多くの人間が必要になってくるのです。

──テクノロジーの進化によって、クリエイティブ制作が楽になるかというと、そういうわけではない、と。しかし、クリエイティブの現場に関わる人員がさらに増えるということになると、それに伴い労働条件なども厳しくなってきそうですが……。

三田 いや、その分、コンテンツの価値が上がり、利益も働く人々に還元されるはずです。

単純な話、現段階でもコンテンツに触れるチャンネルはどんどん増えていて、ひとつの作品から回収できる利益も上昇している。昔は紙でしか読めなかった漫画も、今では電子書籍でも読まれるし、翻訳すれば全世界で読まれうる。

おそらく20年もしないうちに、漫画からアニメを作る技術もより進化して、広く定着すると思います。そうすれば、漫画は今よりももっと多様な読まれ方をするようになるはずです。

例えば、今後は「読む」という行為自体も激減すると思っています。というのは、今は書いてある文字を読み上げてくれる「ヒアラブル技術」がすごく進化していますよね。

それによって、これからは「耳で楽しむために漫画を買う」人も増えてくるはず。そうなれば、より多くのファンが生まれてコンテンツの価値が高まり、エンターテインメント業界全体も活性化すると思います。 三田紀房先生 ──技術の進化によって、より広い層に作品が届くようになり、作品の価値も上がっていく、と。漫画やアニメはいまや海外でも広く受容されていますが、三田さんご自身は漫画を描く際、海外の読者を意識することは?

三田 海外を意識して描くことは一切ないです。僕は“日本の漫画好き”というマーケットに向けて作品を提供しています。

ただ、東アジアは社会を構成するシステムが日本と似通っているので、とりたてて国民性を意識しなくても、自然と受けいれてもらえるんですよね。

韓国でドラマ版『ドラゴン桜』がヒットした際に、韓国のドラマスタッフと食事をしましたが、考え方が日本人とすごく近い。「目標を見つけてがんばる」という価値観が共通しているので、日本の読者にウケの良い「成長物語」が浸透する素地は、東アジア全体にあると感じました。

そもそも僕は日本人の作家ってすごく優秀で、日本は世界一のクリエイティブ大国だと考えています。特に漫画はストーリー、キャラクター、画力のどれをとっても世界最高水準。

さらに、女性のクリエイターがこれだけ活躍している国って、ほかにないんですよ。世界を見渡してみると、女性が作家として確固たる地位を築けるジャンルというのは小説家やドラマの脚本家くらい。でも、日本では女性漫画家が大活躍をしている。

これだけストーリーをつくる仕事をしている人材が豊富な国は、日本以外にはない。そのため、AIを利用することで、日本発のエンターテインメントコンテンツが世界に波及していけば、業界自体ももっと豊かになっていくと思います。
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