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ラッパー D.Oインタビュー「手塚治虫DNAからいまのスタイルをもらってる」

D.Oさん

耳を塞ぎたくなるようなリアルな恐怖すらも、日常のようにラップするD.Oさん。

練マザファッカーのリーダーとして知られるだけでなく、近年はBSスカパー!で放送されているバラエティ「BAZOOKA!!!」や、Zeebraさんが立ち上げたラジオ局「WREP」レギュラー番組でのパーソナリティで発揮される、専門的な知識と深い洞察力から生まれるトークスキルにも、以前に増して注目が集まっている。

ee60bf47bc5a66843b4aa9a74d74ecd3 今回KAI-YOU.netでは、7月31日(月)に創刊されるヒップホップアーティストを特集した音楽誌『FRESTA』(フリスタ)とコラボレーション。

同誌ではD.Oさんと虫プロダクション社長の伊藤叡さんとの対談が掲載されているが、その対談のきっかけとも言えるソロインタビューの一部を公開する。

そこで初めて語られたD.Oさんと手塚治虫さんとの出会いや、手塚治虫のヒップホップイズム。練馬が生んだラップスターは、手塚治虫という巨大な存在に何を見てきたのだろうか?

撮影:諏訪稔

炎上ボーイズとして映像も制作するD.O

──D.Oさんと言えば、まず思い浮かぶのが練マザファッカーの不良的なイメージだと思います。それは幼少の頃から変わらないですか?

D.O 小学校の時に、もう他の小学校に喧嘩しに行ってましたね(笑)。あそこの小学校の誰が一番強いのか確かめようって。

実は、それは漫画の影響です。当時『ビー・バップ・ハイスクール』が、小学生の俺にドンピシャで刺さりまくって。しかも映画も丁度やってた時期で。加藤ヒロシの髪型がやりたくてリーゼントパーマをかけてました。

だから、どっちかと言うと根っからの不良的なツッパリとはちょっと違くて。「戦えない? 何ぃ~腕相撲で勝負しろ!」って無理矢理勝負に持っていったりとか。小学生の喧嘩でもなかなかアツい展開でしたっすね。

D.Oさん ──そして、もう1つのイメージが映像です。いま炎上ボーイズで映像つくっています。映像制作のきっかけは?

D.O ラップスターになるにはどうしたら良いんだろ? ラッパーってどうやってなるんだろ? そこから、まず調べ始めたというか探り始めたんですね。その流れの中で、必然的に始めていたっす。結局、ラップスターになりたいなら全部自分でやるしかないと思ったんですよね。

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──プロモーションビデオまでつくるラッパーの方はあまりいないと思います。

D.O ラッパーはただラップするだけじゃないんですね。ミュージシャンにとって音源を制作した後に、プロモーションビデオを制作できるというのはこの上ない幸せなんですよ。ミュージシャンの醍醐味でもあると思うんです。

そのプロモーションビデオが、自分の思い通りにならないなと思ったのが、映像づくりを始めた理由っすね。5万円でビデオつくってよって言って、5万円のビデオをつくられても、逆にマイナスプロモーションになる

自分の中でそんな戦いになって、「ビデオまで完全に自分の思い通りにつくる」ところに至るのは自然で。これは、自分のアートとの向き合い方、責任の果たし方ですね。

作詞して作曲してライブしてというのと同じくらいに、ビデオにも向き合うべきだと思ってるっす。

結局、どんなにつくり込んだ音でも、舐めた映像をその上に乗っけられちゃったら、自分が納得できないものになる。映像まで納得いくまでつくり込んで、自分のアートとして唯一無二の誇りを持って胸を張れるような作品にしたいんで。

──ダースレイダーさんが、作品づくりに一番こだわっているのがD.Oさんだと言っていました。

D.O でもラッパーはみんなそうだと思いますよ。自分のアートだけは、隙を見せない手を抜かないみたいなのが、絶対にあると思うんですよね。

その中で、当然ビデオもそうじゃね? ってだけで。ラジオしかない時代はそれでも良かったのかもしれないですけど、いま2017年でサバイブするにおいては、当たり前な話のうちの1つなのかもしれないですよね。

自分のいまのスタイルは、オサムDNAからもらってるっす

──では昔から映像が好きだったというわけではなくて?

D.O いや。もともとアニメが好きで。練馬出身ってこともあって、僕は虫プロのソウルに恩恵を受けているんです。要は、アニメだったり漫画のコマ割りだったりは、全てがアートの間だと思うんですよね。

手塚治虫先生の何がものすごいかって言ったら、絶対に自分の信念を曲げなかったことなんですよ。

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当時は戦争が終わってすぐの時期で、漫画なんてナシの時代だったんですよね。ストリップ、酒、タバコ、エロ本、パチンコとかと一緒の類いの、バカな奴が手にとるものだった。

そんな認められてなくて市民権も得てない時代に、信念を貫いて誰に何言われようが、死ぬまで自分自身に向き合う姿勢がものすごいんです。

自分のいまのスタイルは、確実にオサムDNAからもらってるっすね。しかも、オサムテヅカは漫画だけじゃなく、アニメも一緒に虫プロでやっちゃった。

漫画とアニメーションって実は一緒のようで一緒じゃなくて。僕も大人になってから自分でやっていて気づいたんですけど、全く別の仕事なんですよ。

例えば、漫画を10ページ描く、5分のアニメをつくる。それは、僕がラップする、それでビデオを編集するのと一緒で。

要は、レコーディングするスタジオと編集のスタジオは別じゃないですか。別の場所の別の職人の話で。その別のことを両方やろうとする姿勢も、オサムDNAなんですよ。

D.Oさん ──全く接点がなさそうな手塚治虫先生とD.Oさんが1つの線に思えてきます。

D.O 僕らがいまの時代にミュージックビデオを撮る時に、スイッチを押したら撮れるわけですよね。でも、オサムテヅカは全部手作業なんです。1秒間に24コマとかを全部。

でもいまの時代しか知らない奴は、その苦労がわかってないと思うんですよね。しかも「どうせヒップホップのビデオってこういう感じでしょ」って誤解もしてる。

──正直1コマ1コマに注目して映像を見たことがないです。

D.O 1億円かけてジョージ・ルーカスあたりを呼んでCG使えば良いのはできるけど、それはアートじゃないんです。

これもオサムテヅカから学んだことなんですけど、金をバラまけばつくり込んだものなんて誰でもできるんです。そんなんじゃなくて、そのクオリティーもそうなんですけど、その意識が大切。

やっぱり監督が、もしくは監督と名乗る出来損ないが無限にいるシーンだと思うんです、音楽シーンって。

──この続きは『FRESTA(フリスタ) 創刊号 “新宿発9SARI大特集”』(外部リンク)に掲載。

音楽番組「フリースタイルダンジョン」で神回とも評されるほど大きな注目を集めた漢さんと晋平太さんによる対談や、9SARIグループを退社することを発表したばかりのダースレイダーさんがその真相を語るインタビューも収録されている。

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