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カードゲームに抵抗のある作家が「ぽいもの」をつくってみた! 失敗しない5つの心得

ゲームマーケットでのダンゲロスブースの様子

ゲームマーケットなどが人気を博し、個人でもボードゲームをつくるという流れが一般的になってきた昨今。

しかし、ボドゲはともかくTCG(トレーディングカードゲーム)をつくるのはハードルが高いのでは……と思われるでしょう。

まあ、ぶっちゃけ確かに高いんですけど、やりようはあります! TCGを遊ぶ時の難易度的なハードルを抑えつつ、さらにつくる時のハードルも抑えて、なんとな~くTCGっぽいエッセンスを残しながらゲームをつくるための5つのTipsを、著者の実体験からお伝えします!

架神恭介は、なぜトレーディング・カードゲームに抵抗があるのか?

こんにちは、作家・小説家の架神恭介です。

みなさん、トレーディング・カードゲームやってますか~~? おれはやってません!

いや、決して嫌いなわけじゃないんですけどね。誘われたらMtG(Magic: The Gathering)のドラフトとか遊んだりもするんですけどね。ただ、ガチでやるには、ちょっと心理的抵抗感が強いっていうか……。

で、なんで抵抗感があるのか考えてみるに、結構、考えることが多いんですよね。プレイ中とかも。そして、考えが足りないと、ここぞという局面でアホみたいなミスして負けたりする。これが結構辛い。実はおれ、将棋とか囲碁とかも苦手なんですよ。あれも終盤でアホみたいなことしてよく負けちゃう。

で、そうして勝てるはずの勝負でポカッと負けると、

「ウッ……。おれの頭の悪さ……人として問題あるんじゃ……」

ってなって落ち込んだりするので、それが怖くって、イマイチ前のめりになれないんですよね~。

でも、こういう人、結構いると思うんですよ。MtGにしたって、世界観は魅力的だし、カードの効果を確認したりデッキつくるのは楽しい。「こんなコンセプトでデッキ組もうかな~!」「これでコンボできるじゃーん」とか考えてる時は楽しい。けど、そこまでは楽しいんだけど、実際にプレイすると自分の頭の悪さに打ちのめされてしまう……。

い、いやだ……。おれは頭の悪さを自覚したくないんだ……。

頭の悪さから目を逸らしつつ「TCGっぽいもの」をつくってみよう

はい、というわけで、ここからが本題

そんなおれのような人間がTCGっぽいゲームをつくっちゃおう、というお話です。すると、一体何が出来上がるのか、何を目指したゲームになるのか。ここでポイントをもう一度確認しましょう。

「どんなデッキをつくるのか。どんな戦い方をするのか。それを考えてワクワクしてる時が一番楽しい」

TCGのそんなところだけ都合よく抽出してゲームをつくろうという試みです。それで、できたのが、ハイ、これ!

『戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム』『戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム』です。

おれの小説『戦闘破壊学園ダンゲロス』(講談社)をベースにしたTCGっぽい要素を持つ、いわゆるデッキ構築型のゲームです。

『戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム』 TCGは遊ぶのもたいへん。つくるのなんてもっとたいへん!! バランス調整とかどうすんの!?

……そう思っている方も多いと思いますが、大丈夫です! 「TCGっぽいもの」であれば意外と何とかなります! いくつかのポイントを押さえれば何とかなるんです! 

では早速、実現のための具体的なポイントを見ていきましょう。

Point1 カードはゲーム一つで完結させよう

TCGといえば、パックを買ってきて、剥き剥きして、新しいカードに一喜一憂して……といったイメージがあると思いますが、個人でアレをやるのは流石にハードルが高すぎます。やめましょう。めちゃくちゃカネがかかります。

これ一つ買えば遊べるだけの一通りのカードが入ってるよ、という形の方がラクです。売れたら、拡張をどんどこ出していけばいいし、売れなかったらそこでストップしても、ユーザーが最初のものでちゃんと遊べます。

『ダンゲロス・ボードゲーム』にも55枚のキャラカードが入っており、これだけで遊ぶことができます。
『戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム』

メインビジュアルの横田卓馬先生に加えて、左から清原紘先生、久正人先生、地獄のミサワ先生など。イラスト陣がなにげに豪華

Point2 プレイヤーに責任をなすりつけよう

以下、しばらくゲームバランスの話に入ります。

TCGのバランス調整、大変ですよね。商業でプロがつくってるゲームですら壊れカードがたびたび発生しています。いろんなカード効果が絡み合うから、つくってる方もウッカリ見逃しちゃうんですよね。

しかし、「TCGっぽいもの」であれば、色々と誤魔化しようがあります。

『ダンゲロス・ボードゲーム』は前半戦の探索パートと後半戦の決戦パートに分かれています。前半戦はマップを駆け回ってNPCを倒しながらお目当てのカードの争奪戦をするデッキ構築パート

『戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム』

探索パートの様子。駆けずり回ってカードを集めろ。

後半戦は集めたカードで手札を組んで他プレイヤーと戦います。後半戦がTCGっぽいゲーム感覚となります。

ここでポイントになるのが、デッキ構築パートをプレイヤー同士のカード争奪戦にしていることです。つまりですね……

「エッ? このカードとこのカードが揃うと即死コンボができちゃう?? で、だから? デッキ構築パートで相手に揃えさせないよう立ち回らなかったのが悪いんだよね??

と言えるわけです。むしろバランスが悪いことで前半戦のゲーム性が増します。

この辺は純然たるTCGでは出来ない荒業で、『ダンゲロス・ボードゲーム』では即死級の明らかにヤバいコンボを意図的にブッ込んで放置しています。そっちの方が楽しいから。

『戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム』

『災玉』+『チンパイ』コンボ。性別を変える能力『チンパイ』で相手パーティー全員を♂に変更し、ちんこを爆発させる能力『災玉』で♂全員を即死させる。こういう凶悪コンボも平然と入れられる

Point3 運要素を強くしよう

一般的に言って、運要素が強ければ強いほど、ガチゲーから離れてパーティーゲームに寄っていきます。そして間口が広がる代わりに熱中度が下がります。で、おれは、

「しっかり考えてプレイしたいからパーティーゲームはそんなに好きではないが、といって、頭が悪くて負けると悲しいからガチゲーもそんなに好きではない」

という実に面倒くさいゲーマーです。

しかしまあ、バランス調整という面からも運要素は強くした方が良いです。運要素が強ければ少々バランス悪くても何とかなります。ただし、「ただの運ゲー」「しょせん運だから何考えても無駄」と思われたら負けです。

『ダンゲロス・ボードゲーム』の戦闘システムは、自分のカードのLvの数だけダイスを振り合い、出目の最大値を比べ合って高い方が勝ちというものです(実際はカード効果が色々とありますが、基本はこれ)。

4b62c5d0a3bb710e78597e4f00f14820.jpg 最大レベルであるLv4のカードはダイスを4つ振れるので、ダイスを1つしか振れないLv1カードよりも高い目が出る確率は高いです。しかし、とは言っても、Lv1も16%で最大値である6の目を出せるので、Lv4を倒せる可能性は十分あります。

ですが、実際にプレイしている体感としては16%なんて0%も同然なので(ぜんぜん勝てる気がしない)、仮に大物食いが発生したとしても、Lv4側は「ぐわーっ、おれの運が悪すぎる!!!」となるし、Lv1側は「ウオーッ!? 大ラッキー!!」となるので、「運ゲー」ではなく、むしろ「ドラマチックな展開」と認識されます。

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ダイスがだいじ

この辺のさじ加減は要調整ですが、運要素を抑えてガチガチにバランス調整するよりも、さじ加減を調整する方が間違いなくラクです。

また、前半戦のデッキ構築と、後半戦突入時の手札の選択の時点で、「どんなパーティーで相手をギッタギタにしてやろうかな~~!」という楽しさは既に担保されているので、極論、その後の勝ち負けはオマケと言っても過言ではなく……。

いろいろ考えた後はダイス勝負になって、後は野となれ山となれって感じなので、「負けても、おれの頭が悪いせいじゃない」という気持ちでプレイできます。これは精神的にすごくラクです!

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ダイスを振った後に出目を4に変更するカード。こういう「運要素を制御可能なカード」があると、運要素も「考えるポイント」になってきます

Point4 多人数プレイにしよう

一般的に言って人数が多いとそれだけで粗が紛れます。ソロだと聞けたものではないボーカルでも10人くらいで合唱すれば何となく聞けるものになります。

通常のTCGは1対1なので、ここが紛れにくいのですが(MtGにも多人数戦はあるけどね)、『ダンゲロス・ボードゲーム』は最大4人までプレイ可能で、しかも攻撃する相手を自由に選べるので、強いパーティーを持っている人は他全員からフクロにされてなんのかんのでバランスが取れます。

むちゃくちゃ乱暴な話に思えるでしょうが、しかし、一番勝ってる人は大体調子に乗っているので、体感的には、

「フハハハハ、面白い! まとめて掛かってこい!! 貴様らの無力を味わわせてやろう」

こんな気分になります。『ダンゲロス・ボードゲーム』はどのカードもやたらと強いので、なんか勝てる気がするんですよね。

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勝利するたびに他プレイヤー全員の手札を抹殺していくカード。こういうのが手札にあると「なんか勝てる」気がする

Point5 ブースターパックはプレイヤーにつくらせよう

そんなこんなで『ダンゲロス・ボードゲーム』は「一枚一枚のカード効果が尖りまくってて、壊れてるように見えるけど、なぜかすごくバランスが良い」と言われてます。

うん。まあ実は、バランスが良いというか、上で見てきた通り、少々バランスが悪くても何とかなるような仕掛けを組み込んでるからなんですね。トランポリンみたいなもので、上でカードがぴょんぴょん暴れ飛んでいても、吸収できる土台にしてあるわけです。

というわけで、このくらい吸収性のあるシステムにしておくと、「プレイヤーに勝手にカードをつくってもらう」というウルトラCも可能です。

a7d0fec8ebc7bdbfb2b1418fa0945c56.jpg 最近のダンゲロス・ボードゲーム会での決戦時パーティー。左から「ドナルド・トランプ」、「ゆっくり妖夢」、「ゆっくり魔理沙」、「望月千代女(パズドラ)」、「くるり(アキハバラ無法街)」「アヌビス神(JOJO)」。みんなが好き勝手に写真や漫画を切り貼りしてカードを作ってきており、基本セットのダンゲロスカードはもはや影も形もない。

結構ムチャクチャなカードが持ち込まれたりもしますが、上記の様々な仕掛けにより、一枚一枚のムチャっぷりが受け止められて、ゲームとして成立してます。

一人で100枚くらいカードをつくって持ってくるプレイヤーもいたりして、気分的には毎週ブースターパックが追加されてるような感じです。

まとめ

いかがでしたでしょうか? ガチのTCGはともかく、なんか「TCGっぽいもの」ならつくれそうな気がしてきませんか?

本作のプレイ感覚としては、集めたカードでパーティーをつくっている時は、

「おれのカード強すぎるwww このコンボも、あのコンボもイケるwwww やべええwwww」

みたいな気分ですし、そのまま勝てたら、

「おれの作戦が完璧だったので勝てて当然」

となるし、負けても、

「今回は本当にたまたま運が悪かった。悔しいぜ」

となるので、考える楽しみを味わうだけ味わって、本当にガッチリ考えなければいけないはずのところは運のせいにする、という、なんとも身勝手かつ気楽なゲームとなっています。TCGのおれの好きなところだけ抽出して、苦手なところは避けた感じのゲームです。

MTGとか遊戯王のようなガチのTCGを作るのは、お金の面から言っても技術的な面から言っても大変ですが、ちょっぴりシステムを工夫すれば、こういった形でTCGのエッセンスを取り入れながらゲームを作ることは十分に可能だと思います。みなさんもぜひチョロチョロっと作ってみてくださいね。

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実はめちゃくちゃ頑張ってつくりました


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