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秋葉原MOGRA×ゲーム配信Twitch対談「秋葉原のDJ文化を海外に届けるために」

日本のサブカルシーンにおいて、今や説明不要のカルチャー発信地・秋葉原MOGRA(以下MOGRA)が、海外の最大手ストリーミングサービス・Twitchと公式にパートナー契約を結ぶことが決まった。

MOGRAといえば秋葉原に店を構え、国内だけでなく全世界にファンを持つ超人気のクラブだ。実店舗の運営だけに留まらず企画制作やアーティストの育成などオタク的なDJ文化の先駆者として常に最先端を走り続けている。

さらにクラブ業界としては最速とも言える時期に動画配信へ着目し、イベントの様子をストリーミング配信した先駆者としてもよく知られている。

一方、Twitchはゲーム配信プラットフォームの先駆者として全世界に圧倒的なユーザー数を持つ人気ストリーミングサービスである。

その二者がどのようにしてパートナーシップを結ぶことになったのか。TwitchとMOGRAが見据える両者ならではのコンテンツづくりとは一体何なのかをD-YAMAことMOGRAの山田店長、Twitchに籍をおく牧野氏の対談という形で語っていただいた。

MOGRA×Twitch、寿司屋で対談

(某日、東京都のとある寿司屋にて)

山田 今日はお忙しいところ東京までようこそお越しくださいました。今日はお手柔らかによろしくお願いします。

牧野 こちらこそよろしくお願いします。それは良いのですが、対談する場所おかしくないですか? なんで寿司屋なんですか?

山田 そうなんです。今日は海外企業であるTwitchさんとの対談ということで気を利かせて寿司屋をセッティングしてもらったんですが、残念なことに2人とも日本人なんですよね(笑)。

牧野 (笑)。

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対談場所が寿司屋ということに戸惑う牧野氏(左)と当然寿司屋でしょという憎たらしい顔をする山田氏(右)

──では寿司が到着する前に。まず、どういった経緯でパートナー化のお話が決まったんですか?

山田 そもそもなんで牧野さん、というかTwitchさんはMOGRAに話をくれたんですか? もともとゲーム配信中心のサービスでしたよね。

牧野 はい。Twitchはもともとゲームに特化したプラットフォームでした。しかしユーザーからの意見で「ゲーム以外のコンテンツもTwitchで扱えるようにしてほしい」という声が多く挙がるようになったんです。

そこでコミュニティに好影響を与えるようなクリエイティブなものもコンテンツとして扱おうという動きになったんです。

山田 なるほど。そこでミュージックカテゴリーを新設したんですか?

牧野 クリエイティブというカテゴリの中にミュージックというサブカテゴリをつくった、ということです。

山田 そういえばアートとかプログラミングとか、色々ありましたね。

MOGRA「過去にTwitchアカウントを消されたことがある」

牧野 Twitchは趣味性の高いゲームの配信サイトとしてある程度の知名度はあったのですが、ここ最近日本チームの体制や、コンテンツの包括範囲なども整ったので。日本独自のコンテンツであり、世界へ通用するであろうMOGRAさんに声をかけさせてもらったということです。

山田 なんか面と向かってそう言われると恥ずかしいですね。実は過去にMOGRAはストリーミングサービスとしてTwitchを利用しようとしたことがあったんです。でも、そのときはすぐにアカウントを消されてしまうということがありまして……。

牧野 以前のTwitchは、コンテンツがゲームのみに限定されていたからでしょうね。そのときはミュージックカテゴリが存在しなかったですし。

山田 それを聞いて安心しました。あまりの速度でアカウントが消されたので嫌われてるのかと思いましたよ。

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──Twitchにおけるパートナー契約はどういったものなんですか?

牧野 Twitchには配信者の中でも素晴らしいコンテンツを作成し、強いコミュニティを形成している配信者さんをパートナーとして迎え入れる制度がございまして、我々はパートナーの方々とともにTwitchブランドをつくり上げているんです。

(寿司が到着)

山田 お話の途中ですが寿司が来ちゃいましたね。

牧野 そうですね。これは急いで食べましょう。 

店員のお姉さん 穴子、イカ、ハマグリはツメがかかってます。マグロは漬け、その他のネタには煮切りが塗ってありますのでこのままお召し上がり下さい。

牧野 え? 寿司なのに醤油つけなくていいんですか?

山田 そうなんです! 江戸前寿司って言って、東京ならではのお寿司なんですがこれは……。

牧野 (寿司を頬張りつつ)長くなりそうなので食べながら聞きますね(笑)。

日本と海外が入り乱れるお祭り騒ぎ

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山田 そういえば、4月の初回配信「アニソンインデックス」ではお疲れさまでした。やってみた感じ、牧野さんはどう思いました?※毎月第3土曜日に秋葉原mograで開催されている、原曲アニソンクラブイベント。

牧野 とても多くの人が見てくれたことにびっくりしました。同時視聴1600人ってなかなかすごいことですよ。同時に1600人というと、リアルな箱としてはどこ相当になるんですか?

山田 そうですね。以前僕らが新木場ageHaで開催した「あきねっと」というイベントの来場者数が2200人強だったので、恐らくageHaさんのメインフロア分くらいじゃないですかね?

牧野 そう考えるとめちゃくちゃデカイ規模のイベントじゃないですか(笑)

山田 デカイですよね(笑)

MOGRAのライブビデオをwww.twitch.tvから視聴する
牧野 最初スタートしたときは300人くらいだったのが、20分もしないうちに600人になって、600から700人を行き来して。気がついたら一気に1600人を超えて、そこからはずっと1000人オーバーでもうお祭り状態でしたね。

山田 日本国内でストリーミングが当たり前になってから、久しくあの数字は見てなかったですね。チャットも凄い勢いだし、フレッシュな反応を貰えて今まで僕らの視野外にいたTwitchユーザーの多さを思い知らされました。

牧野 チャットはかなりアツかったですね。今回Twitchの配信画面をラウンジのスクリーンに投影して見られるようにしたじゃないですか。

そこでチャットの内容なんかもチェックしてましたが、日本も海外も入り乱れてコミュニケーションを取っている様子がとても嬉しかったです。Twitchとはただの配信プラットフォームではなく、「配信によってコミュニティを形成するプラットフォームである」という理念があるのですが、まさにそれを体現することができていたと思います。

山田 ストリーミングに手を出した最初期のMOGRAみたいだってみんな言ってましたね。僕らも当時はチャットで海外とコミュニケーションしたりしてましたし。

牧野 個人的に面白かったのはラウンジに投影されている配信画面を一生懸命追っている来場者の方が多く見られたところです。現地にいるんだからメインフロアにいけばいいのに、チャットを見て海外の反応を楽しんでいる。

そして、その場でアカウントを取得してチャットに参加している。ネットで現場を感じることはよくありますが、あの瞬間の彼らは現場でネットを感じていたんですよね。

場所の感覚がなくなるような出来事を体験できてかなり胸がアツかったです。現在のネットはメディアの形として進化してきているのですが、双方向性っていう部分はまだ模索中です。それを可能にするのがTwitchだと僕は思っています。

海外へ届けるためにアニソンDJが抱える課題

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Twitch MOGRAチャンネルでのチャットの様子

牧野 個人的には先日の「アニソンインデックス」での初回放送は成功したと言えるものだったと思います。山田さんはどうでしたか?

山田 そうですね。僕も配信は大成功だと思います。その一方で、課題なんかもしっかりと浮き彫りになったと思ってます。

これは配信というよりもコンテンツ、アニソンDJそのものの課題ですかね。牧野さんも見たと思うんですが放送開始してすぐくらいに海外の方から「これ、iPhoneでやるのと何が違うの?」というコメントが...…。

牧野 海外の人たちは思ったことそのまま言いますからね。

山田 単純に”音楽のDJ配信”という情報だけを頼りに来た方だと思うのでこの発言にイベントの内容や誰がプレイしてるかということは関係はなく、アニソンDJが理解できないってことなのかなと僕は捉えています。

牧野 そうですね。Twitchは海外での拡散力がとても強いので、もしかしたらMOGRAすら知らないユーザーだったという可能性も大いにありますね。

山田 アニソンのDJってとてもクローズドなんですよ。楽しむためにはアニメを見ていることが前提なのはもちろん、曲の背景にある情報同士に意味を持たせて繋ぐ人が大半なんです。

作品のタイトルに同じ文字列が含まれてる、アーティストが一緒、放送局が一緒とか。それって何も知らない人はどう楽しんだらいいの?って感じじゃないですか。いきなり見た海外の人はそりゃ理解できないですよね。

牧野 なるほど。

山田 もちろんクラブミュージックでもそういった背景にある情報でミックスに意味を持たせることは多いです。ですが、こちらはクラブやDJのために踊れる(ノれる)ことを目的としてつくられているので背景を理解できなくても感覚的に楽しめるんですよね。

この反応を見て思ったのは、アニソンのDJとかではなく、DJという立場として考えた時のクオリティや実力をもっと意識しないといけないなと。現時点で実際にアニメとクラブのフィールドで活躍できている人たちって、音楽バックボーンがしっかりあったり、DJとして実力がある人達だけなんですよね。

MOGRAのスタンスはあくまでクラブカルチャーとオタクカルチャーというミスマッチなものが両立してこそ。僕らがやるべきことは日本独自のクラブとして海外ユーザーへ向けて恥ずかしくないコンテンツづくりや文化発信をすることだと思うんですよ。

”アニクラ”みたいな囲いをつくって、その中で評価しあって満足してるんじゃもう全然ダメで、そもそもDJとして、エンタメできてるのかってことが海外への絶対条件なんです。

牧野 初回配信では海外とMOGRA間でのインタラクティビティは活発に見られた思うので、あとはそこから先にどう継続やアップデートを行っていくか。それを見るのが楽しみです。

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