254

赤松健の「マンガ図書館Z」、物議醸した“電子書籍版YouTube”機能を正式公開

画像は「マンガ図書館Z」のスクリーンショット

漫画家・赤松健さんが企画・運営を手がける電子書籍プラットフォーム「マンガ図書館Z」の新機能が、いよいよ4月からリリースされた。

海賊版であっても広告によって権利者への利益を発生させて還元するという「電子書籍版YouTube」機能は、2015年に公開され、その方法を巡って大きな議論に発展した。

今回、複数の大手出版社と、商業で活動する漫画家280名の賛同を得る形で、ついに正式に運用が開始された。

連載を続けながら、漫画の未来を守るために活動する赤松健

『魔法先生ネギま!』や『ラブひな』といった少年漫画作品を代表作に持つ赤松健さん。いずれもこれまでアニメ化されてきた人気作品で、この10月には最新作『UQ HOLDER!』のアニメも放送となる。

漫画家として活躍する一方で、二次創作を許諾する意思表示ツールを提唱し「同人マーク」を実現させたり、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とそれに伴う「著作権侵害の非親告罪化」問題について発信し続けたりと、「漫画」表現にまつわる諸問題に積極的に取り組み続けてきた。

現在は、日本漫画家協会理事もつとめる一方、自身が取締役をつとめる株式会社Jコミックテラスで運営している電子書籍サービスが、「マンガ図書館Z」だ。

電子書籍プラットフォーム「マンガ図書館Z」とは?

この「マンガ図書館Z」は、権利者の許可を得て「絶版になった漫画」や「単行本化されていない漫画」を公開し、広告収入を権利者に還元することができる電子書籍プラットフォーム。

2011年にリリースされた「Jコミ」を前身としたサービスで、これまで幾度かのバージョンアップとサービス名変更を経て、権利者への最適な還元システムを模索するため、様々な実験的機能を取り入れてきた。

中でもひときわ注目を集めたのが、「第三者が著者に無断で漫画をアップロードできる」という、「新型アップロード機能」だった。

ネット上の「海賊版」だろうが購入者が購入して電子書籍化したいわゆる「自炊」だろうが、アップできてしまう。そして、そこに広告を掲載することで、広告収益が本人に還元される、というこの仕組み。

これは、動画共有サイトであるYouTubeが採用している利益還元システムで、赤松健さん自身も「電子書籍版YouTube」機能と呼称している。

もちろん、いくら収益が還元されると言っても、例えば漫画家自身の意向や出版社との契約などもあり、すべて勝手に公開されてしまえば問題となる。

そこで、無断でアップされた作品の権利者自身が公開を許諾するか否かを決められる、という手法を採用。

実際には著作者ではなくても簡単に「作品の許諾」ができてしまうため、当初は、権利者本人であるかどうか、一件一件連絡をとって本人確認するとしていた。

しかし、案の定、権利者以外が勝手に作品を公開許諾するという事態が発生。クレームがきたという事例もあったと赤松健さん自身がブログで綴っている。

「マンガ図書館Z」が実現する「電子書籍版YouTube」という新機能

リリース当初、システムとしてはアナログすぎて、穴がないとは言えない「電子書籍版YouTube」だった。

ただ、もしこの仕組みが徹底できれば、終わりなき海賊版とのいたちごっこに終止符を打つための、赤松健さん自身が言うところの「『究極の一手』とも言えるシステム」となりえる可能性を秘めている。

その後、様々な調整を余儀なくされた「電子書籍版YouTube」機能だが、いよいよこの4月から、複数の大手出版社と、商業で活動する漫画家280名の賛同を経て、正式スタートが始まっていることが宣言された。

漫画の投稿は権利者本人から受け付けるが、もし漫画の投稿が権利者からのものではなかった場合、権利者が、削除することもできれば、広告収益を自分に還元させることもできるという。

そして、そこから発生した収益は権利者に100%還元される

しかし、100%還元するとなると、サービスの維持費などはどうするのか。サービス存続や機能充実という面で、ユーザーから懸念の声が上がっているのもまた事実だ。

誰でも海賊版をネットの海に放流することができる時代に、かつ、必ずしもお金を目的としていない海賊版の投稿者たちの行動を、すべて制限することは現実的には不可能だろう。

「撲滅しようのない海賊版に、権利者への利益を発生させて還元する」というこの「電子書籍版YouTube」機能は、日本の漫画家が自身の手によって構築する収益モデルとして、注目を集めている。

★ プロ漫画家280名による賛同署名(到着順)
赤松健が進める「電子書籍版YouTube構想」を、私は支持します。
とだ勝之・田中ユタカ・朱鷺田祐介・加治佐修・毛羽毛現・宝蔵院貴志・梶本潤・松浦まさふみ・吉沢蛍・桜野みねね・すぎやまゆうこ・井上元伸・宮本明彦・石山東吉・西川伸司・内田美奈子・井上純一・ひなたみわ・愛田真夕美・春日旬・足立淳・竜巻竜次・海明寺裕・田中正露・山本貴嗣・ちばぢろう・くおんみどり・ねぐら☆なお・松田尚正・カミムラ晋作・水野英子・島田ひろかず・八神健・佐藤マコト・あろひろし・小林じんこ・松本英孝・竹内未来・亜月亮・萩原京子・河本ひろし・あずまよしお・永野のりこ・長谷川裕一・小林ゆき・陣内みるく・篠原正美・いぶきめぐる・やすこーん・和田繭子・あさいもとゆき・かのえゆうし・こいでたく・新谷明弘・笹本祐一・樹崎聖・西田東・すぎたとおる・江藤ユーロ・岩村俊哉・相原コージ・丹羽広次・広石匡司・杉本亜未・松尾元敬・深田拓士・スパークうたまろ・まるいミカ・ナガテユカ・橘美羽・服部かずみ・神吉李花・かまぼこRED・丘辺あさぎ・陽気婢・飯田耕一郎・正木秀尚・しまたか・榎本由美・上西園茂宣・よつば◎ますみ。・松原千波・西川ジュン・椎名見早子・船戸ひとし・みずきひとし・えなまなえ・冬凪れく・霧賀ユキ・友吉・よしむらなつき・悠理愛・井出智香恵・中貫えり・秋津透・☆よしみる・あおきてつお・まんだ林檎・海野螢・猪熊しのぶ・田中としひさ・古事記王子・中垣慶・南澤久佳・若木未生・河内実加・浅田有皆・魔訶不思議・西川魯介・高藤ジュニア・たむら純子・嶺本八美・計奈恵・ここまひ・川崎ぶら・栗原一実・なかにしえいじ・ほりのぶゆき・有間しのぶ・御童カズヒコ・雑君保プ・ひな姫・竹下けんじろう・梅川和実・まつもと千春・藤咲真・石田和明・高波伸・洋介犬・松田未来・Macop・七月鏡一・芹沢ゆーじ・しまたけひと・遠野かず実・藤緒マリカ・かとうひろし・古谷三敏・瀬上あきら・たかしげ宙・中村地里・Dr.モロー・花津ハナヨ・桂木すずし・竹山祐右・記伊孝・ふじのはるか・新居さとし・後藤寿庵・井上正治・ふくやまけいこ・田中雅人・摩耶夕湖(マヤよーこ)・浦川佳弥・中山乃梨子・どざむら・夏目義徳・横山了一・カジワラタケシ・せがわ真子・梶研吾・坂木原レム・眠田直・ひざきりゅうた・あまねりつか・むらかわみちお・高田慎一郎・幸田廣信・咲香里・葛原兄・悠宇樹・社佑哉(松森ナヲヤ)・清水ともみ・東谷文仁・出口竜正・堤抄子・神田はるか・雁川せゆ・御米椎(飯閃澪)・きゃらめる堂・遠山光・おおつぼマキ・竹谷州史・大野安之・喜国雅彦&国樹由香・岡崎つぐお・若尾はるか・猪原賽・牧野靖弘・ 松山せいじ・吉野志穂・ほしのふうた・松原あきら(松羅弁当)・あきら肇・芳崎せいむ・ゆきやなぎ・石井有紀子・鏡佳人(深紫’72)・東城和実・島崎譲・中津賢也・一ノ瀬ゆま・星崎真紀・上総志摩・よしまさこ・国樹由香・米田裕・西村姜・龍炎狼牙・海野やよい・四条トリマル・柳田直和・山下てつお・嶋津蓮・高平鳴海・おぎのひとし・小野敏洋(上連雀三平)・石岡ショウエイ・たくじ・榊原薫奈緒子(米)・福田素子・ものたりぬ(みなづき由宇)・くれいちろう・魔北葵・神塚ときお・山田浩一・くりひろし・椎名晴美・江川広実・浦嶋嶺至・井荻寿一・唯登詩樹・永吉たける・河内愛里・上山道郎・宗田豪・佐々江典子・樹木洋二・かわはらしん・山咲梅太郎・まいなぁぼぉい・東篤志・椎名りつ子・しんむらけーいちろー・東篤志・椎名かつゆき・みにおん・Dr.天拝・深谷陽・おみおみ・奥田桃子・荒木ひとし・滝れーき・河方かおる・市川和彦・がぁさん・タナベキヨミ・やまのたかし・やぴ・比古地朔弥・ヨシダ・石田敦子・蒼崎直・夜野権太(やのごん)・梵天太郎事務所・近藤ようこ・浅月舞・祭丘ヒデユキ・三田誠・花田朔生・門脇英治・Maruto!・ふじじゅん・定広美香・森園みるく・夏海弘子・平雅巳・SABUROH・長谷円・浦川まさる(敬称略)「2017-04-04 - (株)Jコミックテラスの中の人」より

こちらの記事もオススメ

こんな記事も読まれています

関連キーフレーズ

「赤松健」を編集する

キーフレーズの編集には新規登録またはログインが必要です。

この記事をツイート 201

KAI-YOUをフォローして
最新情報をチェック!

この記事へのコメント(0)

SNSにも投稿する

twitter_flag facebook_flag

コメントを削除します。
よろしいですか?