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livetuneが超わかる! インタビュー「ドン・キホーテにCDを置かれたら最強」

livetune・kzさんの自宅兼スタジオにて

初音ミクのイラストや名称をメジャーアルバムとして初めて使った『Re:package』でメジャーデビューしたkz(livetune)さんが、豪華アーティストをリアルヴォーカルとして起用した一連のプロジェクト「adding」シリーズを集約する『』を、9月10日(水)にリリースする。

livetuneといえばGoogle ChromeのCMでかかる、「Tell Your World」を思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、ネット発のクリエイターとして、前例のない未踏の地をトップランナーとして走り続けるひとりの挑戦者でもあるのをご存知だろうか。

livetuneが掲げる「整地」と「開墾」。ニューアルバムを基軸に、むかし・いま・これからをつなぐロングインタビューは「kz(livetune)音楽大全」的内容と言ってもいいだろう。

インターネットが生んだ1人のクリエイターと、『と』に参加する13人のアーティストの間に一体何が起きていたのか、そしてすでに固まった次なる構想まで、すべてを語ってもらった。

取材・文/石橋加奈子

「セカオワのSaoriちゃんは大学の後輩でレーベルの先輩」

reIMG_2130──livetuneは、元々kzさんとかじゅきPさんの2人からなる企画サークルの名称でしたが、現在はソロユニットとして機能していますよね。現在は、どのように使い分けているのでしょうか?

kz これまでは作曲家/DJとしてはkz、VOCALOIDを使ったプロジェクトではlivetuneという意味で使い分けていました。

現在では、この人の曲をお願いしますという形で仕事を受ける時には個人名義のkzを使用して、僕と一緒にやりましょうとボーカルを呼び込んでやるときにはlivetuneを使っています。

──小学校3、4年生の時に連れて行ってもらった坂本龍一さんのコンサートに影響されてコンピュータミュージックに目覚めたあと、音楽大学に行かれたそうですが、大学や科はあまり明言されていませんよね?

kz 言われてみればそうでしたね。洗足学園音楽大学で、学科は音響デザインです。なので、セカオワ(SEKAI NO OWARI)のSaoriちゃんが後輩にあたるんですけど、大学の後輩なのにレーベルの先輩という複雑な関係なんですよね(笑)。

──そんな繋がりが! 科ではどんなことを学ばれていたんですか?

kz DTM・PA・レコーデイングなどPCを中心とした音楽の作りかたを学んでいたんですけど、「MAX/MSP」というプログラミングソフトがあって、音響合成や自動作曲のプログラムをつくるということを一番やっていましたね。コンピュータ音楽のアカデミックな部分より、音をつくる根本的な部分です。

kz少年は、坂本龍一さんのあとを追いかけて

──作曲科は志さなかったのですか?

kz 最初は坂本龍一さんのあとを追って東京藝術大学の作曲科に行こうと思っていたんですけど、作曲の理論は途中で飽きました(笑)。

作曲科に行くには3巻からなる和声の本での勉強が必須で、1巻と2巻は誰でもわかるんですけど3巻から自由になりすぎて何をどうしたらいいのかわからなくなってしまったんです。3巻がわからないまま試験を受けたら案の定ダメだったので、「自分はそうじゃないんだな」とコンピュータ関係の科がある大学に向けて勉強をシフトしました。

──作曲科を受けるためにはピアノの実技があったと思うんですが、楽器経験は?

reIMG_2281

kzさんの自宅兼スタジオにて

kz ピアノはずっと習っていて、趣味としてギター、中学校の時に組んだバンドではドラム、部活は吹奏楽部だったのでユーフォニアムをやっていました。

──バス・コード・リズム・メロデイとすべて網羅しているじゃないですか!

kz 全部やってきたので、すべて中途半端ですけどね。ドラムに決まったのも、バンドってだいたいギターやベースから決まっていくと思うんですけど「お前ピアノ弾けるからやれるだろう」という不思議な理由で。

家にドラムもないし練習ができなかったので、家電量販店の楽器コーナーに居座ってエレドラ(電子ドラム)をやっていたら叩けるようになりました。おもしろいのが、時折ナゾのおっちゃんが出てきて、「ドラムはこう叩くんだ」とか教えてもらったこともありました(笑)。

──音大卒で音楽関係の職業に就職できるのが数%と言われている現状ですが、kzさんはVOCALOIDの出現やインターネットの普及に助けられた実感というのはありますか?

kz 確かに、僕の友達でも音楽関係の仕事に就いた人はぜんぜんいない。インターネットがなかったら、いまの僕は確実にいないでしょうね。そこへの感謝の気持ちだけで「Tell Your World」という曲をつくりましたし。

livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video


初音ミクが歌っていますけど、VOCALOIDシーンだけのことではなくて、その時のインターネットシーンそのものへの賛歌というつもりでした。僕は「インターネットに生かされている」と思っています。

──VOCALOIDを使う前はボーカルはどうされていたんでしょうか?

kz VOCALOIDを使ったのは2007年にニコニコ動画へ投稿した「Packaged」が最初で、それより前は、楽曲を制作したら学校の友達に歌ってもらっていたり、自分で歌ったりもしました。

初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれました「Packaged」 Full Ver.



「Tell Your World」のRemixをやってくれたfu_mouとは同じ大学で、もう1人の後輩と3人でユニットをやっていたりもしたんですよ。だから、彼にも歌ってもらっていました。

fu_mouとは腐れ縁ですよ。彼とはアンニュイラブというわけのわからないユニットもやっていて。okadadaが2、3年前に出したMIXに入っている「アンニュイラブの夜明け」っていうふざけた曲があるんですけど、そういう遊びもいまだにやってますね。

──こうした時期を経て、初音ミクのイラストや名称を初めて使った「Re:package」でメジャーデビューする立場になったと。

kz そうですね。元々agehaspringsやウタモノが好きだったので、もしVOCALOIDがなかったとしても、誰かとユニットを組んでやっていたかもしれないし、好きなハウスやテクノポップの曲を制作していたと思います。

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