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出演ギャラは一ケタ高い!? テレビ関係者に聞いたYouTuberの「タレント価値」
近年、YouTuberの躍進が止まらない。若年層を中心に数十万ものフォロワーを抱えることも珍しくない彼・彼女らに対する注目度や存在感は日に日に勢いを増している。

今年8月に起こった人気YouTuber・ヒカルさんのVALU騒動も、ネットニュースはじめテレビでも報道されるなど、(ネガティブなものも含めて)YouTuberへの関心が高まっている。

いまや若者にとって、そんじょそこらのタレントよりもYouTuberの方が知名度が高い、ということも珍しくない。

こうした状況にあって、近年ではYouTuberのタレント・芸能化も著しい。2013年にトップYouTuber・HIKAKINさんのマネジメントなどを行うYouTubeプラットフォーマー「UUUM」が設立。2015年には前出のヒカルさんや禁断ボーイズを擁する「VAZ」も立ち上がった(現在、ヒカルや禁断ボーイズらは無期限の活動休止中)。

さらに、UUUMは今年3月に松竹芸能との業務提携を発表。大手芸能事務所である松竹芸能のホームページには「YouTuber」の枠が設けられることとなった。YouTuberのタレント化を象徴するかのように、今年9月にはNMB48のアリーナツアーにHIKAKINさんがサプライズで登場。

この一件は軒並みネットニュースで報じられ、人気YouTuberのニュース・バリューを世間に見せつけることとなった。さらに、UUUMは今年8月に東証マザーズ上場するなど、破竹の勢いが続いている。

タレント化が一層進むYouTuberたち。そんな彼・彼女たちの姿は、これまで芸能人が主戦場としてきたテレビ業界の人にはどのように映っているのだろうか? 並み居るテレビタレントに取って代わり、YouTuberがお茶の間を賑わす人気者となる日が来るのだろうか……? YouTuberと関わったことのあるテレビ業界関係者の話をもとに、その可能性を探っていこう。

文・構成:阿愛上男

テレビ関係者から見たYouTuber

「職業柄YouTuberの動画を見ることもあるけど、テレビの映像と違って構成があるわけでもないし、ただ言葉の合間を短く切って編集してるだけ。だから、映像として基礎ができてなくて、すごく見づらい。多分、あれが時間のかからない編集なんでしょうけど。クオリティは低いけど、熱狂的な信者になるとああいう動画でも見続けられるんだなって思います」と、YouTuber動画に辛辣な評価を下すのはテレビディレクターのN氏。

N氏は、テレビタレントとしてのYouTuberについて、以下のように話す。

「やっぱりテレビはマスメディアだから、基本的には老若男女にわかるようにつくっていきます。でも、YouTuberは自分のファンだけが動画を見ればいいので、映像も内容もマスメディア向けじゃないですよね。

実際に、YouTuberが番組に出演した時も『プロではないな』と感じました。(TVにおける)“プロ”っていうのは、番組の趣旨や意図を汲み取った上で、自分のキャラクターとしての立ち位置を演じてもらうこと。テレビでは、そうやってスタッフと演者が一緒になってひとつの番組をつくります。なので、YouTuberがテレビタレントに取って代わるかというと、今のところは考えにくいでしょうね

171004_tv_show 芸能マネージャーのA氏も、N氏の意見に同調する。

「結局、タレントには、場の空気を読みながら、自分のキャラクターを出すことが求められます。内輪向きに面白い映像をつくる才能と、タレントとしての才能は別物。もちろん、YouTuberの中にはタレントとして成功できる人もいるでしょうけど、“YouTuber=テレビタレント向き”ということではない。結局は、その人の資質次第だと思います。

また、芸能マネージャーとして言えば、今のYouTuberはプライベートを含めた危機管理がほぼできていない印象です。マネジメント会社も立ち上がったばかりで、マネジメント管理・教育が不十分なんだろうな、と。そのあたりも、タレントとしては不安な部分です」

権利問題や炎上リスクから、起用に尻込みする局も

こうした脇の甘さゆえか、YouTuberがテレビ出演するにあたって、問題が起こることも……。

「YouTuberが番組に登場する場合、その人の紹介VTRとして、普段投稿しているYouTube動画を番組で使いたいということがあります。ただ、YouTuberの動画は撮影場所やお店、商品などの撮影許可を取っていないことがほとんど。なので、いくら事務所が提供した映像素材だったとしても、使用するのをためらうこともあります」(前出・N氏)

事実、こうした動画内の許可をめぐって、YouTuberを起用した番組で制作時に揉めた経験があるとN氏は語る。冒頭でも触れたヒカルさんの一件然り、YouTuberは過激さを求めて法や倫理に抵触し、炎上することも珍しくない。こうしたリスクもあって、マスメディアであるテレビは、YouTuberの起用に対して慎重にならざるを得ない場合が多いようだ。

171004_internet_enjou 一方で、テレビ業界の中でも、局によってYouTuberに対する姿勢は異なっていると、キャスティング会社で働くD氏は話す。

「テレビ局によって、YouTuberを扱いやすい局と扱いにくい局があるそうです。それこそ今、勢いのある日本テレビは危険を取ってまでYouTuberを起用するメリットがないので、YouTuberの扱いにはかなり厳しいよう。反対に、フジテレビやテレビ朝日はネットとテレビの融合に肯定的なため、YouTuberネタも扱いやすいみたいです。まぁ、YouTuberを扱えば、ネットでバズりやすいですしね」

前出のN氏も、「テレビ局によってYouTuberに対する方針が違うという話は聞いたことがあります。確かに、YouTuberを出演させるとなった時には、プロデューサーが局に『出演させて問題ないか』を確認してました」と述懐する。

YouTuberの躍進に、テレビタレントも戦々恐々?

ここまでの話を聞くと、既存のテレビ業界とYouTuberの相性は決して良いとは言えないが、「そもそもYouTuber側もテレビに魅力を感じていない」と、前出のD氏は指摘する。

「正直、YouTuber側もあまりテレビに協力的ではありません。YouTuberにとっては、テレビ出演がメリットに感じられないことも多いでしょう。YouTubeだけで儲かりますからね。

テレビのプロデューサーや演出家から『YouTuberを出したい』という話はたまに聞きますけど、大抵出演料の段階で折り合いがつきませんね。というのも、YouTuberの出演料はテレビタレントと比べて、一桁くらい高い。HIKAKINレベルになると、一回の出演料が200〜300万円という話です。バラエティ番組のMCクラスのギャラなので、テレビ制作側としては予算に合いませんよ」(前出・D氏)

やはり、YouTuberがYouTubeという限られた空間から外に出ることは難しいのだろうか?

「可能性があるとしたら、広告業界でしょうか。広告の場合だと“クライアント命”なので、クライアントが『YouTuberを使いたい』ということであれば、YouTuberが起用されることは十分考えられます。CMのほうがテレビ番組とくらべて、予算もありますからね。

また、広告の場合、事前の契約事項だったり、制作物に社会的逸脱や炎上要素がないかのチェックがテレビよりも厳しくなっています。そのため、起用されるYouTuberも信頼性の高い人に限られてくるでしょう」(同)

171004_building_koukokudairiten テレビ業界と密接な関係にある広告業界とYouTuberの親和性を指摘するD氏。そもそもYouTuberはYouTubeの動画広告を下地に、“人の目を惹く”ことに特化した存在であり、それもまた当然の帰結なのかもしれない。

しかし、これは既存の芸能界にとって、なおさら見過ごせない事態と言えるだろう。

そもそも、芸能界においてタレントの最終目標は、広告だと言われている。テレビのバラエティ番組やドラマへの出演料は安価だが、露出することで知名度と人気を向上させ、最終的にギャラの良い広告案件につなげていくのだ。

そのテレビタレントの最終目標に、テレビをすっ飛ばして、YouTuberが競合相手として立ち現われてきた。これは翻って、タレント、芸能事務所にとってテレビの価値を再考させる機会にもなりうる。

YouTuberは、テレビタレントに取って代わるのか?

最後に、N氏が苦言を呈したYouTube動画のクオリティについては、最近始まった、ある新しい動きが起きているという証言を紹介する。

「実は今、テレビ番組も制作している映像制作会社などが、YouTuberに動画の技術を教える授業をやっているそうなんです。なんでも、YouTuberの動画クオリティを上げるための依頼があったとかで…なので、テレビ局と違って、その下請けである映像制作会社は、今後YouTuberと密接な関係を築いていくことも考えられます」(N氏)

171004_tv_video_hensyu テレビ業界で培われた映像技術をYouTuberが吸収しようということだが、もしこれが奏功すれば、今まで以上にYouTube動画が幅広い層に受け入れられるものとして進化していく可能性もある。そうなった時、テレビは今の存在感を保つことができるのだろうか?

──ここまで見てきたように、YouTuberの“テレビタレントとしての資質”には、現時点では疑問符がつくようだ。しかし、これまでテレビと関わりの深かった業界に、彼・彼女らが着実に参入しつつあるのも事実だ。

斜陽産業と囁かれるテレビ業界にとって、YouTuberが最大の黒船となる日もそう遠くないのかもしれない。

特集「インターネット卍ジェニック 一億総ワンチャン時代」

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