【発売記念】SMAPベスト収録曲をヲタが解説 歌詞に見る5人の絆

【発売記念】SMAPベスト収録曲をヲタが解説 歌詞に見る5人の絆
【発売記念】SMAPベスト収録曲をヲタが解説 歌詞に見る5人の絆

写真は「SMAP 25 YEARS」(編集部撮影)

本日発売となったSMAPのベストアルバム『SMAP 25 YEARS』は、候補楽曲400曲以上のなかからファン投票によって上位50曲の収録が決定している。また、その投票は200万票にも及んだ。

どうしてこのベストアルバムが発売されるに至ったか? そして、どうしてこの記事を執筆しているか?

そう、それは、SMAPがあと数日をもって解散してしまうからだ。

解散発表に際して、テレビではニュース速報が流れ、新聞でもインターネットでも雑誌でも、こぞってSMAPが取り上げられることになった。 その話題がファンの間だけに留まらず広く口にされていたのは、デビューから約25年にわたって、アイドルとしてだけではなく、ドラマにバラエティーにと、日本国内の芸能界を支える存在としてメンバー5人それぞれが活躍してきたからだ。日本で生きる多くの人にとって、思いもよらぬほどSMAPが大きな存在だったのではないだろうか

これまではなかなかSMAPの作品を購入したり、コンサートに足を運んだりすることはなかった人も、今回のベストアルバムを手に取るかもしれない。この記事では、今までSMAPを追いかけてきたファンではなくてもアルバムをより楽しめるよう、その背景を含めて数曲を紹介していきたい。

メンバー紹介曲「FIVEシリーズ」

ジャニーズ事務所に所属するデビューグループは、グループ全体/メンバー個人の紹介ソングを歌うことが多く、また、それらの楽曲群はファンからの人気も高い。

また、それらの楽曲は、大きくは2つに分類できる。

1:(本人たちについて歌っていると公言していないものも含む)メンバー同士の関係性やスタンスを想起できる楽曲
(V6「〜此処から〜」/嵐「5x10」/KinKi Kids「ライバル」など)

2:メンバー個人についての人物像紹介をメインに歌った楽曲
(NEWS「Vibration」/KAT-TUN「NEVER × OVER ~「-」 IS YOUR PART」など)

そして、これから紹介する「FIVEシリーズ」はそのどちらの要素も含んだ楽曲となっている。「FIVE」とはもちろん、SMAPのメンバーである中居正広さん、木村拓哉さん、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの5人を指している。

DISC1 16曲目「Five True Love」

1999年リリースのアルバム『BIRDMAN ~SMAP013』に収録されている。のちにファンの間で「FIVEシリーズ」と呼ばれるメンバー紹介曲の第1弾となる楽曲だ。

FIVEシリーズでは、中居さんは木村さんを、木村さんは稲垣さんを、という形でメンバーが順にマイクを取って他のメンバーを紹介している。

解散報道より以前から、一部報道で「不仲」と言われることもあった中居さんと木村さん(ファンの間で「ツートップ」と呼ばれている)だが、FIVEシリーズを通して中居さんが木村さんの紹介パートを歌っていることに個人的には安堵の気持ちを覚える気持ちがあった。報道がどうであれ、見えない部分の事実がどうであれ、アイドルが相手の存在を言葉で語ってくれるということは、ファンにとってある種の救いのようなものだったりする。

演技に力を入れつつもバラエティ番組でのコミカルなキャラや司会もつとめる柔軟さのある中居さんと、ドラマや映画を中心に一貫して冷静沈着で静かに熱い木村さん。FIVEシリーズを通して聴いていると、一見正反対のスタンスにも見えるふたりが尊敬しあっているようにも解釈できる。 そして、その他の歌詞にも「変わりながら変わらずいられる/それが得意のForm」という部分があり、かつて6人目のメンバーだった森さん脱退を経ての決意を想起させる内容だった。森さんが脱退したとしても、SMAPはSMAPであり続けようとする決意を感じる楽曲だ。

DISC2 3曲目「FIVE RESPECT」

FIVEシリーズ第2弾。2002年リリースのアルバム『SMAP015 / Drink! Smap!』に収録されている。

草なぎさんのパートでは、稲垣さんを「この人いないとやっぱりLonely」「あやまりお帰りハリキリ ゴロー!」と紹介。2001年に道交法違反を起こした稲垣さん謹慎を示唆する内容になっている。他のアーティストやアイドルであれば、もしかしたらここは一切触れない内容なのかもしれない。そこをあえて笑い飛ばすように、認めて乗り切るように歌詞に反映させたのはSMAPがもつ逆境への異様な強さとエンターテインメントへの愛なのかもしれないと解釈できた。 さらに、同楽曲は2010年のツアーでも披露され、今度は草なぎさんの泥酔事件の謹慎後というタイミングでも歌われている。SMAPが危機的にも見える状況に置かれたときに「ピンチはほらチャンス」という歌詞を歌ってくれる印象が強いため、ファンも思い入れが深い楽曲になっている。

DISC3 12曲目「CRAZY FIVE」

FIVEシリーズ第3弾。2012年リリースのアルバム『GIFT of SMAP』に収録されている。

「ジャニーズにはメンバー同士の関係性やスタンスを想起できる楽曲がある」と述べたが、特にこの楽曲ではメンバー個々人を紹介もしているものの、SMAPとしての意思表明のような強さとエンターテインメント性を随所に感じる楽曲になっている。ファンと掛け合いができる部分が設けられていたり、歌詞を変えて歌える部分が多かったりと、ライブで楽しめる仕掛けが特徴的なのだ。

前述の2曲に比べても、より「エンターテインメント」「ショー」に特化した楽曲とも言える。 「Five True Love」がデビューから森さんの脱退、そして解散の噂について述べているものだとすれば「FIVE RESPECT」はメンバーの謹慎や騒動について。そして「CRAZY FIVE」はその長い歴史すべてを包括して、何があっても前を向こうとする姿勢を表した楽曲のように聴こえてくる。

SMAP以外に歌い継がれている楽曲

さらに、SMAPの楽曲は他デビューグループやジャニーズJr.が出演するコンサートや舞台、歌番組などでも披露されることが多い。

他グループの楽曲を歌う機会が多いのは若年グループやジャニーズJr.であり、その世代はおおよそ20代中盤くらいまでだ。その年代のタレントが歌う楽曲は、近しい年代としてある程度等身大で歌えるKAT-TUNKis-My-Ft2Hey!Say!JUMPなどが目立つ。

年長のグループよりも若年グループの楽曲が歌われることが多いなかでも、特にSMAPの楽曲はいつでも歌われている印象がある。歌番組においても「SMAPメドレー」というタイトルが設けられ、SMAPの楽曲だけを歌うコーナーが用意されることもあったほどだ。

DISC1 12曲目「SHAKE」

ジャニーズ事務所の楽曲には、ジャニーズJr.が代々受け継いで歌っている楽曲が多数存在する。例えば、V6「Can do!Can go!」やタッキー&翼「REAL DX」といった楽曲だ。

必ずという訳ではないが、これらの楽曲は大勢のメンバーが総出で、舞台の重要な一場面のような、フィナーレを飾る大団円のような形で歌い踊られることが多い。 そしてSMAP「SHAKE」も、それに含まれる曲のひとつだと考えている。どこのグループのファンであるかは一切関係なく、イントロが流れた瞬間にジャニーズファンの体温が上昇する楽曲のひとつなのだ。

ファンによって解釈が違うかもしれないが、個人的にこれらの楽曲に共通するのは「それぞれが好き勝手に踊ることを許されていること」だと思っている。全員の腕の角度が揃っているか? 振りのタイミングが揃っているか? コンサートや舞台において重要視されることも多いそれらも、個人的にはここではまったく気にしていない。各々のクセや個性が表れる楽曲であり、だからこそ応援しているタレントにより愛着が沸くのだ。

SMAPファンが大切にしている楽曲

さらには、楽曲発表以降、報道でも散々取り沙汰されているため詳しくは触れないが、ファン投票1位の「STAY」、同じく8位「チョモランマの唄」といった楽曲も収録されている。

DISC3 3曲目「STAY」DISC3 7曲目「チョモランマの唄」

「STAY」の歌詞には、「この先どうしようもなくすれ違ったり言い争いがあったりもしても、どうか道の途中で手を離そうとしないでよ」「永遠なんて言わないからさ」「5、60年それだけでいい」という部分がある。SMAP存続を願うファンの気持ちを代弁するかのような象徴的な内容に、思いを託した投票が集まった結果かもしれない。

また、もともとファン人気の高い「チョモランマの唄」は、コンサート『SMAP 2008 super.modern.artistic.performance tour』において初めて披露され、コーナーとコーナーを繋ぐジャンクション的な役割をもつ楽曲だった。ついに、今回のベストアルバムで初の音源化となった楽曲だ。

SMAP解散で変わる世界線

多くのファンがそうであるように、筆者もいまだにSMAP解散まで残り数日しか残されていないという事実が信じられないでいる。「最後のビストロ」「紅白不出場」などと言われても、まだピンとこない。

また、SMAPという大きい存在がなくなってしまったあと、芸能界が、ジャニーズ事務所が、アイドルという形が、どう変化していくのか正直なところまったく見当も付かない。 いつまでもなくならないと思っていた「SMAP」という国民的グループでさえ解散してしまうということは(ある意味で当然といえば当然なのかもしれないが)アイドルに永遠はないという事実を、改めて突きつけられた瞬間だった。

しかし、それでもSMAPのメンバー5人全員に明日はあるし、ファンにも明日はくるし、いつまで経っても何が起こっても、彼らがヒーローであり続けることは変わりない。解散してからも、それぞれの活動を通して新しい世界に連れて行ってくれると信じ、この記事を締め括りたいと思う。

本文画像はすべて「いらすとや」より
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