年始にお茶の間を賑わしたSMAP解散騒動の余波や、ジャニーズグループが発売する近年のシングル・アルバムが軒並み2000年代の売り上げよりも下がっている[1]ことなどから、世間では「ジャニーズ事務所の影響力が弱まっているのではないか?」とささやかれることも。
EXILE・韓流に代表されるジャニーズ事務所以外の男性グループや、アニメや漫画、ゲームの舞台化が増えて2.5次元俳優の台頭が見られ、ジャニーズ一神教とは言い難い雰囲気も感じられる状況をいちジャニーズファンはどう感じているのか?
ジャニーズをはじめとした男性グループのステージを、年間で約70公演を観に行くというという生活を3〜4年続けた筆者が解説する。
※なおこの記事では現状を説明するためにチケット転売・正規販売以外の購入について記載を行うが、チケット転売・正規販売以外の購入を促す目的ではない[1]. オリコンのシングル売上ランキングを例にすると、SMAPやKAT-TUNはランキング上位を占めているのは90年代〜00年代が中心。他方、EXILEは2010年代以降も3枚のシングルが10位以内にランクインしている三代目も、2014〜2015年がランキング上位中心。
そもそもジャニーズタレントが観られる場所はどこ?
男性グループのみならず、2000年代後半以降のAKB48に端を発した「会えるアイドル」が流行する中で、ジャニーズは一貫して硬派なスタンスをとっている。彼らの姿を生で観られるのは基本的に以下の3つだけであり、ジャニーズタレントのステージにおいては握手やお渡し会といった特典会は開催されない[2]。
[2]. A.B.C-Z、Sexy Zone、ジャニーズWESTなど、シングル・アルバム・DVDといった発売プロモーションの一環でバックステージツアーやハイタッチ会を開催するグループも一部あるが、グループ全体ではなく、開催回数や当選人数も限られている
【1】コンサート
デビュータレントのコンサートツアーが主。デビュータレント単独で公演を行う場合とジャニーズJr.をバックに付ける場合とがある。【2】舞台
1.複数グループのメンバー・もしくはジャニーズJr.が出演する舞台2.単独で出演する舞台。
【3】番組協力
バラエティ番組・音楽番組の観覧。基本的に他アーティストとの共演が多く、他アーティストのファンも観覧に参加することが多いため、1グループあたりの当選数は少ない。コンサート・舞台のチケット転売によるファンの変化
上記3つの中でも、メインは入場者数が多いコンサートと、ドーム・ホールより規模は小さいが公演回数が多い舞台である。前述の通り、ジャニーズ事務所以外に所属する男性グループや2.5次元俳優が台頭したことで消費者の興味が分散し、コンサート・舞台は当選の絶対数が多いため、ステージを観に行きやすくなったようにも思えるかもしれない。
しかし実際はそうではなく、むしろここ数年で断然チケットを入手し辛くなっている。大きな理由の一つは、ネット上でのチケット転売が横行するようになったからだ。 チケット取引サイトやネット上の掲示板では、人気グループのチケットが高いもので数十万円で転売されるのが当たり前になってしまっている。純粋なファン以外が営利目的でなだれこんだ結果、チケットの希少価値が高まることになって、ファンの落選率は上がっているのだ。
これはジャニーズグループ以外でも見られる現象ではあるが、ジャニーズファンの間でも心理的な変化が見られるようになった。チケット1枚に対する金銭感覚が麻痺し、自分が応援するグループのチケットを買うために他のグループのファンクラブに入会して転売を行うファンが現れ始めたのだ。 グループ内ではファンクラブの入会方法やチケット申込方法がほぼ同じであり、グループ間で同じ会場を利用することも多い。また、おおよその座席番号が出回ることで、コンサートで言えば「○ブロックと○ブロックがないため横パターンだ」というステージ構成の予想も行いやすく、高価な値段が付きそうな番号の座席を狙い打ちするといったことも可能にさせている[3]。
このような流れから、ファン同士でも「正規販売以外のチケットを売り買いするか否か」で感覚の違いが生まれ、ファンとしてのマインドが変化してきた。[3].もちろん全員が全員このやり方でチケットを入手している訳ではなく、ごく一部のファンが行っているだけであることは明記しておきたい。かつ、ジャニーズ事務所は転売対策として、順次「チケット転売・購入が分かった場合はFCブラックリストと共に入場不可」「顔認証」といった制度の導入も始めている
テレビを観れば他の男性グループがいるし、もっと近くで観られるグループもある。声優や2.5次元俳優もかっこいいし、男性アイドルもののアニメやゲームも充実している。
つまり、金銭的な事情から、ジャニーズのステージを観ることを諦めて他の部分にお金を回すファンが生まれた。また、逆に言えば、どんな人気グループでもお金さえ出せばステージに近いチケットが手に入るため、いわゆる「チケットに積む」ファンも増えている。
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