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椎名ひかり/ぴかりんインタビュー 噛対応、土下座、踏み付け…ある愛の形
ギャル雑誌の読者モデルとしてデビュー。持ち前のオタク気質を全開にしたコスプレ連載など、ギャルとかけ離れた強烈なキャラクターで唯一無二の存在感を発揮してきた椎名ひかりさん。

この6月には、5年間続けた『Popteen』モデルを卒業したことでも話題を呼んだ。

一方で、魔界人アイドル「椎名ぴかりん」としても活躍。ファンへの噛みつき行為や土下座するファンの上を歩くなど、過激なパフォーマンスのライブやファン交流が一部で注目を集めてきた。その過激すぎるファンサービスは、しばしばテレビなどでも取り上げられるほど。

彼女は一体なぜそのようなことをするに至ったのか? 逆にNGはあるのか? 昔は生きる希望がなかったと語る彼女のインタビューを通して垣間見えた、ある愛の形──。

取材・文:須賀原みち 撮影:市村岬

いつ死んでもいいやって超思ってた

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──まず、自己紹介をお願いします。

椎名ひかり(以下、ぴかりん) 魔界からやってきて、モデルをしながらアイドル活動をしている者です。中学生の時から『Ranzuki』、『egg』、『Men's egg』とか『Popteen』に出てました。

──デビューのきっかけは?

ぴかりん ギャルというか、キャバ嬢チックなギラギラした悪い女になりたいと思って、それからスカウトを受けたり自分で応募して、ギャル雑誌の読者モデルになりました。

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当時の椎名ひかりさん

ひかりは中学生の頃、“在宅オタクヤンキー”みたいな感じで。学校に行くとなんか破壊したり爆竹投げたりとか問題児だったから、家でずっとアニメとかゲームとかしてたんだけど、見た目は派手でギャル雑誌の『小悪魔ageha』とか『egg』も読んでた。最初はちょっとした出来心で、友達もいなくて学校にも行けないからどこかで輝きたい、必要とされたいって感じで応募しましたね。

──それで2009年に『Ranzuki』で読モデビューするわけですが、デビューをして、変わりましたか?

ぴかりん 変わったことしかないですね! 在宅オタクヤンキーで、希望とか生きてる意味とか大切なものとか何もなくて、「いつ死んでもいいや」って超思ってたんですけど……。モデルをやり始めて、自分が必要とされる存在になって、すごく生きてる感じというか、世の中が楽しくなりましたね。ファンの声だったり、モデルとして自分が確立できた場所だったり。

異色モデルから魔界アイドル「ぴかりん」が生まれるまで

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──今年、これまでモデルを務めていた『Popteen』を卒業されました。ぴかりんといえば、ギャル雑誌『Popteen』では異例のコスプレ連載「コスプレ探偵ぴかりん」をやって、話題になっていましたよね。

ぴかりん (連載を始めた)5年前の当時は“オタクでギャル”というのがまったくいなくて、すごく異色がられた。特にモデルさんなんて、みんなおしゃれでリア充の話しかしてなかった。

ひかりはアニメを見すぎてツインテールが好きだったけど、ギャルでツインテールをしてる人ってまったくいなかった。当時、初音ミクが流行り立てで髪の毛を緑にしたりもしてたけど、ギャルのみんなは初音ミクをまったく知らなくて、「『Popteen』で髪の毛を緑にするとか…」って感じで、撮影で髪の毛を隠されてたりもしてたんです。ひかりが「いちごパンツを履きたい」っていうのも、『いちご100%』(集英社)から来てるし、アニメの憧れが強くて、そういうのを(ファッションに)入れたくなっちゃう。

それを貫き通してたら、“ぴかりん”っていうほかの子とはちょっと違った個性、キャラを確立できて、(当時の『Popteen』)馬場麻子編集長が「じゃあ、コスプレ連載を始めようよ」って言ってくれた。だから、馬場編集長にはすごく感謝してますね。

ただ、ギャルだから見た目だけで「にわか」って言われるのが一番悔しかったです。舐められないように、どんどんマニアックなコスプレをしていきたいと思ってたけど、マニアックになるほど余計に悪く言われたりする(苦笑)。連載が終わっちゃって、ひとつやり残したことがあるんです。最後に『彼岸島』(講談社)の兄貴のコスプレをどうしてもやりたかった。でも、兄貴はマスクにレインコートでメガネだから、「それはぴかりんってわからないからダメ」って言われちゃって(笑)。

──“ぴかりん”は「魔界からやってきた」ということですが、この世界観はどこから出てきたんですか?

ぴかりん 魔界は『Popteen』時代に覚醒しましたね。その前までは人間でした。魔界を出してからは、周りの人から「あ、こいつ、頭沸いちゃってんな」みたいな。

──「そういうやつなんだ」と、自他ともに認められた、と。

ギャルとかオタクとか、いろんな人種が生きていける世界に

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──ぴかりんは、最初はギャル誌の読者モデルとして出てきて、2012年に「侵略ぴかりん伝説」でアーティストとしてデビューして、その後グラビアをやったり、今はアイドル的な活動も目立っています。見た目もそうですが、かなりイメージが移り変わっているように見えますが、自分ではどう考えていますか?

ぴかりん 「侵略ぴかりん伝説」の時は、『Popteen』から(当時のレコード会社である)エイベックスさんに声をかけていただいたんです。当時、水着は『Popteen』でしかやってなかったんですけど、ひかりはちょっとパイオツがあったので、化粧とかも二次元に寄せて、セクシーな2.5次元っぽくいきたいっていうのがありました。今は“闇の大人”【註:ぴかりんのスタッフや関係者を指す】の方針も全然変わったりしてますけど、「侵略ぴかりん伝説」の時はちょっとコスプレ寄りな感じ。

椎名ぴかりん / 侵略ぴかりん伝説☆
アーティスト活動をするときに、“ギャル”って言葉で言ってほしくなかったんですよ。“ギャル”って言ってしまうと受け入れてもらえる幅が狭まってしまうから。ひかりは昔から、ギャルとかオタクとか、いろんな人種が差別なく生きていける世界にしたいと思ってるんで

それをずっと言ってたら、「次はちょっと『Popteen』ぽくない、ぴかりんでいってみようか」ってなって、次のシングル「とろあまちゅ」で、一番化粧が薄いすっぴんなジャケになったんですよ。その時が、一番決意がいりましたね。ひかりは、ただ“ギャル”って単語を言ってほしくなかっただけで、ギャルを辞めたかったわけじゃなかったから。

椎名ぴかりん / とろあまちゅ MUSIC VIDEO
でもそれが、生きてきた中で一番周りからの反響があったんですよ。それまでひかりのファンじゃなかった、男性の方とかちょっと大人の方からも。それで「ちょっとメイクを薄くしてみるのも、ファン層が広がるのかな」って思って、メイクを薄くできる覚悟が出来て、視野がすごく広くなりました。

噛対応に土下座…痛い愛もある

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──そうやって、モデル活動を続けつつも、アーティストやアイドル的な活動も精力的に行うようになりました。ただ、ギャル誌のモデルだと、ファン層は圧倒的に女性が多いと思います。一方で、女性アイドルになると、男性向けという部分も大きい。そういった意味で、アイドル活動をするときに抵抗はなかった?

ぴかりん 最初はアイドルみたいな感じじゃなかったので、別に抵抗みたいなのはなかったです。あと、ドラマとかアニメを見ていても、ひかりはストーカー気質の人とかがすごく好きなので、そういう人に対しての「?」というのもまったくないです。

だから、ギャルの時から、数少ない男のファンの人とかすごく嬉しかった。ほかのモデルの子がファンのことを色々言ってたりすると、「なんで自分のことを好きな人に、そんなことを言えるんだろう。だったら、そのファン、ひかりに欲しいな」って思ってた。そういう話を聞くと悲しくなります。

──ぴかりんはこれまでの活動の中で、ファンに噛みつく“噛対応”や土下座、踏み付けなど、ファンとの距離が近いことでも話題になっています。これは、いつ頃から始められたんですか?

ぴかりん ファンの女の子の乳を揉むのは『Popteen』時代からやってました。その頃から「ぴかりんはなんでもやってくれる」って言われてたんです。

──そもそも、なぜファンが土下座することになったんですか?

ぴかりん 土下座は、“ひかりに忠誠を誓ってる”。ひかりが「ファンを土下座させたいね」っていう話をして、音楽をつくってくれる人が「確かに土下座させたい!」ってノリノリで出来た曲が「ドゲザナイ」でした。この曲では、土下座してる人の上をひかりが歩く“土下座ロード”っていうのをやります。土下座だったのは、もっと目に見える魔界感が欲しいと思ったから。

椎名ぴかりん / 「ドゲザナイ〜お前をひざまづかせてやろうか〜」
私、魔界が一番生きてる感じがするんです。読者モデル時代からファンがいてくれて、ファンレターももちろん嬉しかったんですけど、やっぱり一番変わったのは、アーティストになってから、ファンと直接、生のその場、その時、その空間でぶつかり合えるようになったこと。その時が、一番「脳みそが埋め尽くされたな」って思います。

──“噛対応”も魔界感から出てきたんですか?

ぴかりん 噛むのは、ひかりの本能ですね。握手した時に、「手を洗いたくない」って言う人がいるじゃないですか。それで、「手を洗っても愛が残るにはどうしたらいいんだろう……」って考えた時に、噛めば一週間くらい噛み跡が残って、その間は学校とか仕事に行っても、その噛み跡を見ればひかりを思い出せる。だから、それがひかりの愛を伝える方法なんじゃないかって思いました。痛い愛もある
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──さきほど、ほかのアイドルがファンに文句を言うのがわからないとおっしゃっていました。ぴかりんも「手を洗いたくない」と思うようなファンの心に共感できる部分がある?

ぴかりん ひかりは好きな男性のタイプを聞かれたら、「足の裏を舐められるくらいの人じゃないと無理」って言ってるんです。でも、そういうことを言うと引かれてしまったりもする世の中なので、それは愛が浅いなって思います。「好きなら出来るでしょ、出来ないのはその人が好きじゃないんじゃないかな?」って。ひかりはそれが普通と思ってる。

きっと、ひかりは相手に求めることが多い。それが否定されてしまうことも多いってわかってるから、あまり人に深入りは出来ないです。(ひかりの愛が)否定されると、すごくショックだったりするので……。ライブ中なら大丈夫なんですけど。だから、男女問わずファンの人とこちら(ぴかりん)側の境目というか、その間の常識がちょっと不安定で、自分でも悩んでます。

根っからねっとりした性格なんだなって。でも、「上に上がりたいなら、これから色々考えていかなきゃ」ってところもあるので、今はその狭間で苦しいですね。

──ファンとのすごく近い距離も、自然にそうなった、と。すごく意地悪な見方をすれば、「もしかしたら闇の大人にやらされてる部分があるんじゃないか?」って思う人もいます。

ぴかりん いやいやいや! 逆ですよ! 闇の大人が止めさせてます!! それは魔界に来れば、みんなわかります。ひかりはやりたかったのに闇の大人がやらせてくれなかったことのほうが多いですよ。

それは愛ゆえの行為なんです。だから、愛がない人は本当にダメ。ただ「踏んでくれ」って人は、「誰でもいいから踏んでもらえばいいじゃないか」って思うし。

──「ファンが嫌な思いをしないように」とか、配慮したりしないのでしょうか?

ぴかりん 噛むことに関しては、ひかりに手を出してくる人しか噛んでないので、それで嫌な思いをしても、それは自業自得じゃないかな(笑)。心が魔界なので、面白くなっちゃいます。「めっちゃイタがってる~w」って。

──これも意地悪な質問なんですが……ぴかりんの噛んだ後に口をつければ、間接キスとかも出来てしまうわけです。それは大丈夫なんですか?

ぴかりん そういうのしてる人、いる~(笑)。別に噛んだ後は知らない(笑)。

──そういうのが怖いとも感じない?

ぴかりん ひかりのファンはひかりに忠誠を誓ってくれているので、「ぴかりん様からの痛みは愛」って感じ。中には痛いのが嫌いな人も全然いるんですけど、とりあえずライブ中は「そういうことをされたい!」って、オーラを出さなければ大丈夫なはず(笑)。

──愛ゆえの行動が相手を傷つけてしまうこともありますよね。つまり、自分が口をつけたところに間接キスをされたら、不快に思ってしまう人もいる。たとえ、それが「好きだから」という動機だったにせよ。ただ、ぴかりんの愛はエゴで、責任を持ってやっている。だから反対に、ぴかりんが相手から傷つけられる可能性もどこかで許してしまう、ということですか?

ぴかりん 完全に許しますね。だから、「それは愛じゃない」って言われても、ひかりは愛だと思う。もし、それでその人が何か責められることがあったとしても、ひかりはその人をかばいたいです。

生きる希望がなかった昔と違って、今は大切なものも守るものもある

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──出発点がギャル誌のモデルということで、昔からの女性ファンから「そんなことをしないで」と言われたこともないですか?

ぴかりん まったくないことはないですけど、意外とないんですよね。モデルって普通見た目だけなんですけど、『Popteen』の頃からひかりは見た目より中身をフィーチャーしてもらったモデルだから、ファンの子はコアな分、心が強い、一途な子が多いですね。

ただ、ライブ現場だと男性が6~7割、女子が4~3割とかで、どうしても声援とかが負けちゃうっていうのはあるみたいです。でも、最近は改善してきて、女の子は女の子なりにヘドバンしたり、男の子は男の子なりにヲタ芸を打ったり。それと、魔界は女の子に最前を譲ってあげてる現場なので、「魔界男子の方、すごく優しい!」って女の子が言ってたりします。

──ぴかりんは台湾や中国でもライブをして、人気を博しています。台湾などのアジア圏のファンと日本のファンで違いを感じる部分はありますか?

ぴかりん 日本のオタクも元々スキル高いんですけど、台湾のオタクはその場で出来る行動とか、スキルが高い。あと、台湾は日本に比べて土下座率がかなり高いですね。台湾の人は“土下座ロード”じゃない時でも、ずっと土下座してる。

でも、日本も台湾もそんなに変わらないんじゃないかな? 最近、台湾のプールでライブした時は、水泳帽を顔まで被ってる人がいたりして。日本でも絶対そういう人はいそう(笑)。なので、オタクは世界共通って思います。

──ぴかりんの将来の目標ってありますか?

ぴかりん 人が多すぎて踏み切れないくらい、途切れることのない“土下座ロード”を歩きたい

椎名ぴかりん / 魔界心中(OFFICIAL)
──最後に、「今、楽しいですか?」という質問を聞こうと思っていたんですけど……楽しそうですね。

ぴかりん 楽しいです。昔は別に学校休んでも何しても誰にも迷惑かけないしって感じで何もなくて、生きる希望がなかった。

でも、今は大切なものも守るものもあるから、強く生きなきゃなって思う。ひかり一人の発言で魔界人やほかのみんなが影響されたりする立場にもなれてる。だから、やっぱりそこを伸ばしていきたいというか……。「お父さんやお母さんになると人は強くなる」って言いますよね。今はそういう感じ。

──では、今後何かやりたいことはありますか?

ぴかりん 水じゃなくて、赤い液体を毒霧したい。チェキ撮るときに真っ赤だと面白いから(笑)。たまにやれることもあるんですけど、クレームが来たりもするんで。

でも、やり過ぎるとアンダーグラウンドなほうに行きすぎてしまうので、ひかりはそこのギリギリでいきたいです! そのギリギリは闇の大人が見計らってくれてると思います。
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椎名ひかり/椎名ぴかりん // SHIINA HIKARI/SHIINA PIKARIN

モデル/魔界人アイドル

ファッション誌『POPTEEN』『KERA』などのレギュラーモデルをしながら、魔界からやってきた魔界人アイドル“椎名ぴかりん”として魔界の布教活動を行っている。また、アパレルブランド「MissaMissa」のプロデューサーやコスプレイヤーなど、サブカルに特化したファッションアイコンとして日本のみならず、台湾や中国でもティーンに絶大な支持を得ている。

椎名ひかり/椎名ぴかりん

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魔界心中 / MITSU TO BATSU 【Type A】

著者 : 椎名ぴかりん
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