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【特別寄稿】現役アイドルが赤裸々に綴る「アイドル脱退理由ベスト3」
インターネットを眺めていると毎日のように飛び込んでくるアイドル脱退のお知らせ

Twitter上には「GoodBye,Idol.」というアカウント(@goodbyeidol)が日々アイドルの脱退情報を速報してくれていますが、定期的に覗かないとついていけないほど、アイドルは日々この世界から消えています。

そのかたわら、いまだに新しいアイドルグループが増えていることも忘れてはいけません。でも、「最近、よく聞く名前だなぁ~」と思っていたらつい数ヶ月前に結成されたアイドルだったり、逆に「最近、名前を聞かなくなったなぁ~」と思っていたら知らないうちに解散していたり…。

それでも私たちはアイドルに夢を見て、アイドルに感動し、アイドルに泣かされる。そんな私たちを魅了してくれる「アイドル」が生まれる瞬間、そして続けていく難しさ、終わりを迎えたその後は?

過去に3人の脱退・卒業を経験している「エレクトリックリボン」という地下アイドルグループのメンバーであり、アイドルヲタク(ドルヲタ)でもある私、ericaが、現役アイドル視点で「アイドル脱退理由ベスト3」をリアルにぶっちゃけてみようと思います。

文:erica(エレクトリックリボン) 写真提供:エレクトリックリボン 

SNSの普及による「誰でもアイドル」化現象

エレクトリックリボンのライブ写真 2000年、モーニング娘。が全国で爆発的な人気を集め、その後、2005年にAKB48が結成され、いわゆる「普通の女の子」がアイドルになっていく過程を追いかける、ストーリー性を重要視したアイドルブームが訪れます。

そんなアイドルを見て育った現代の「普通の女の子」は、「私もアイドルになれるかも?」と割と簡単に思い込みやすい傾向にあります。

実際にTwitterやInstagramなどのSNSに可愛く撮れた自撮り写真を載せると、知らない人からも反応がくる世の中になってきているため、自己プロデュース力、自己発信力次第で簡単にアイドル業界に足を踏み入れることが出来るのです。

また、アイドルオーディションの募集要項にもSNSアカウントを記入する欄が設けられていたりと、運営側も、SNSでどのような活動をしているかをチェックすることが多いのです。

ちなみにエレクトリックリボンもただいま新メンバーを募集中(29日〆切だよ!)ですが、必ず応募者のSNSをチェックするようにしています。そこの貴女、見られてますよ…。

理想と現実の差

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画像は「PAKUTASO/ぱくたそ」より

比較的簡単にインターネット上でアイドルになれる環境となり、ソロでライブ活動を始めたり、既存のアイドルグループのオーディションを受けたりと、人それぞれ活動形態は違えど、晴れて正式な「アイドル」として始動するまでは本人のやる気次第で何とでもなる時代が訪れました。

が、大手メジャーレーベルからデビューしているアイドル以外のいわゆる「地下アイドル」と呼ばれるアイドルには、非常に現実的な境遇が待っています。

とにかくライブが多く、忙しい

地下アイドルはとにかくライブのスケジュールが多い。平日だけで平均して週に2~3回土日は1日2回以上ライブを行うのが、地下アイドルの主なスケジュール。

さらに土日に関しては朝から夜まで様々なライブハウスでアイドルイベントを行っていて、ドルヲタはお目当のアイドルが複数のライブハウスに出演している場合はライブハウスを何軒もハシゴする(=「現場を回す」とも言う)。

朝から晩まで働いているのに、ぶっちゃけあまり稼げない

地下アイドル界でも細かい格差社会が存在する。まず、ある一定の知名度まで上り詰めないと、なかなか思うようにお給料が入ってこない。もちろん、コンビニやファーストフード店でアルバイトするよりは多く稼げたり、それ以上に自分の知名度が上がったりと、今後芸能活動を続けていく目標がある人にとっては総合的に見ると良いことの方が多いのかもしれない。けれど、アイドル活動だけでは生活出来ないのが現状であり、ほとんどの人が合間を見つけてコッソリアルバイトをしている

私がこれまで見てきたアイドルの大半は、ライブ後の物販で売る個人の「チェキ」がアイドル活動としてのお給料というグループが多い。チェキも、もちろん歩合制で、一公演でファンとツーショットチェキをとった枚数×チェキ代の4~6割という現実。

それ以外は事務所の運営費、活動費に回るので結果的には本人達のために使われることとなりますが、チェキもメンバーによって撮られる枚数が変わってくるため、メンバー間で稼ぎに差ができ、ギクシャクする場合も非常に多いです。(ちなみにエレクトリックリボンは全体の売上を4等分している為、喧嘩になることはないです!)

また、酷い事務所だとチェキバックはおろか、電車賃までも支払われないところもあるので、おのずと他にアルバイトをして生計を立てないと、活動をする度に出費がかさむということも。

CDを沢山購入するのも、応援しているアイドルの支援の一つではありますが、実際CDが売れたとしても歌唱印税は基本的に全体の売り上げの1%程度なので、お給料として手元に帰ってくるお金は極々わずかです。「お金もない、時間もない」と嘆くアイドルを今まで沢山見てきたので、皆さん出来れば推しとチェキを撮ってあげてください…

3年目のターニングポイント

エレクトリックリボンのライブ写真2

筆者です

アイドル活動も3年以上続けていると、自分の立ち位置やグループの立ち位置、自分の商品価値や今後の人生計画について、一度は必ず立ち止まって見つめ直す時期が来ます

私自身、今年でアイドルになって4年目といういわゆるターニングポイントの年ですが、同じ時期にアイドルを始めた人は、年齢関係なくアイドルを辞めてしまったか、最初にいたグループとは違う形で活動を始めていたりと、アイドル活動を始めた頃と同じ場所にいる人はほとんどいません。

続ける難しさ、やりきる難しさ、後輩を育てる難しさ、3年も続けているといろんな壁にぶち当たります。辞めても続けてもいいと思います。冷静に、周りに流されなければ。ちなみに周りに流された結果、完全に婚期を逃したのが私です。

気になる脱退理由ベスト3

エレクトリックリボンのライブ写真3 アイドルが卒業や脱退を発表する際の「脱退理由」。今回は、ericaが見てきたアイドルの表側、裏側を含めてランキングにしてみました。

3位 学業、仕事優先のため

アイドルをやっている人の多くは学生が多く、高校や大学の授業に出席しながら練習やライブをこなし、さらに上でも説明した通り、余った時間でアルバイトをしている人もいたりと、学業とアイドル活動の両立はとても大変です。

それでもアイドル活動を続けたいという気力のみで頑張っても、なかなか自分の思うように物事は進まず、ふと現実と向き合った時に「私はこのままでいいのか?」と悩み始め、進学や就職に伴なって活動を辞退する人が多い。

特に大学3年~4年の人は、アイドル業界的にも続けていくには厳しい年齢になってきたりと、「人生のアイドル時代」にピリオドを打つ人も少なくはない。(ちなみに私は25歳からアイドルになりました。)

私もたまに学生のアイドルさんとご一緒させていただくことがあるのですが、楽屋で一生懸命学校の宿題を解いている姿を見ると、本当にみんな忙しい中よくやってるなぁと感心してしまいます。そういう影の努力も含め、こういった決断をしたアイドルは暖かく送り出したいなと思います。

2位 体調不良のため

アイドル活動を行っていると、体力的にも精神的にも不安定になることが多くあります。時間もお金もないので、基本コンビニご飯。預かりチェキにサインを書きながらおにぎりを食べてるアイドルを見ると、なんとも言えない気持ちになります。

そんな状態でライブを頻繁に行うため、体力も精神力もギリギリの状態。ライブが終わって家に向かう帰り道、Twitterを開いてエゴサーチして叩かれていたりするとなおさら、精神的にも参ってしまいます。

それでも歌って踊るのが好きで、いろいろとしんどいけどみんなに元気を与えたい! もっと有名になりたい! と、頑張っている人も沢山います。

ただ、体調にだけは逆らえません。体の病気、心の病気で自分の夢を諦めてしまうのはやりきれないので、くれぐれも(難しいと思いますが)無理をせずに健やかでいてほしいなと思います。

1位 モチベーション低下

が、しかし3位の理由も2位の理由も、帰結するところはコレです。全てはモチベーション低下に伴うものです。医師からドクターストップを受けて泣く泣く活動を辞退する人以外は結果が思うように出ず、だんだんやる気がなくなっていってしまったり、体調不良、精神不安定な状況に押しつぶされ、年齢も年齢だし、結果「青春の1ページ」のようにアイドル生活を終わらせてしまう人も多く見受けられます。

しかしこればかりはもうどうしようもないのかなぁと私は思いますね…冷たいようですが、続けるのも辞めるのも結局は己との戦いであって、どんなに辛くても自分の目標まで頑張りきれなかったならばそれは自分の意志の弱さなのかなと思っています。

これからアイドルになりたいと思っている人は承認欲求を満たすためだけの生半可な気持ちでアイドルになろうとするのは危険なので、ちゃんと自分のアイドル人生での目標を持ってアイドル業界に参戦してきて欲しいなと思いました。頑張れ、アイドル。私も頑張る。

番外編:運営の実力不足、資金切れ

エレクトリックリボンのライブ写真2 ただ、アイドル業界は、いくらアイドル本人が頑張ったとしても、大人の事情で全てが終わることがあります。運営の資金切れでグループ全体が活動休止になったり、運営スタッフとの方向性の違いによってメンバーと運営スタッフに亀裂が生じたりと、挙げればキリがない。

地下アイドルならではなのかもしれませんが、アイドルグループを始める際に契約書を用意せず、なんとなくなぁなぁの関係性で仕事を進めていくため、一度信頼関係が破綻すると簡単にチームが崩壊してしまい、グループが宙ぶらりんになり活動休止、解散にまで至ることもあります。同じように、アイドルもヲタクも納得いかない形で急な活動終了、脱退となることも。

私も今までこういう形でいなくなってしまったアイドルを沢山見てきましたが、あくまで現役アイドル側の主観ですが、運営に落ち度があったことの方が圧倒的に多いです。あ、けど、アイドル側が不祥事を起こして強制解雇…という例も多いですね。

何より急な活動終了で一番辛い思いをするのはヲタクです。ヲタクは今さら言われるまでもないでしょうが、今日応援していても、明日なくなるかもしれないという不安定さの中で活動しているグループも少なくはないということを忘れずにいましょう。

脱退したアイドルのその後

そして、なんらかの理由でアイドルを辞めた人のその後について。

アイドルグループを卒業した人のその後の活動は主に女優、自称モデル、ソロシンガー、DJ、地下タレント、司会業等、基本表に出る仕事につく人が多いですが、集客は今までの3分の1にも満たない場合がほとんどです。

まず、大抵のアイドルは、グループを脱退する際に今まで使っていたSNSのアカウントは使えなくなります。これは事務所によりますが、今まで事務所が管理していたアカウントを個人にそのまま返還することはほぼありません。なので、グループを辞めて自分の存在を忘れられるのが寂しくて、数日後に別のアカウントをつくるけれど、フォロワーは今までの半分以下。たった数日で、SNS上で繋がっていた人の半数以上とお別れすることになる。実はここが、勢いよく脱退したものの、一番はじめに脱退を後悔するところかもしれません。

また、アイドルを辞めて数ヶ月は普通の生活を送りますが、やっぱり「あの頃の刺激的な日々が忘れられない」「チヤホヤされたい!」という自己顕示欲が湧いてきて、なんとなく活動復帰をする人もいます。しかし何度も言う通り、アイドル業界は日々人の入れ替えがある為、どんなに衝撃的な卒業の仕方であっても、よほど有名でない限り、数ヶ月前に辞めた人のことはほとんど覚えていない。なので今の活動に悩んでいて、新しいことがしたい! と思っている人は、絶対に水面下で新しいプロジェクトを進めることをお勧めします。1日も早く新しい活動を始められるように。

そして一番良い例としては、自分がいたグループよりさらに売れているグループに引き抜かれること。今後も芸能活動をしていきたいのであれば、自分で売り込むスキル、そして大人に気に入られるスキルを持ちましょう!

と、いろいろとアドバイス的なことを書いてしまいましたが、私が今まで辞めていったアイドルのその後で一番「幸せそうだなぁ」と感じたのは、ひっそりと結婚していったり、学生生活を謳歌している人たちです。間違いなく彼女たちは今まで体験出来なかった「普通の幸せ」をゲットしています。

よく「アイドルを辞めたい」と悩んでいる子や、アイドルを辞めた後にぼんやり生活している子からの相談を受けることがあるのですが、私は必ず一度は「学生生活を楽しんだり、社会人経験して、ごくごく普通の幸せを体験するのは大事だよ」と言ってきました。そうして最後はみんな「普通の女の子」に戻り、アイドルとしての一生を終えるのです。

終わりに

このように、アイドルは今の時代、比較的簡単になれるかもしれませんが、続けていくことがどれだけ大変か、アイドルを辞めても別の道でどれだけ成功できるか、全ては自分の気持ち次第で変わるはずです。

これからアイドルを始めようと思っている人は、今一度覚悟を持ってアイドルをやっていけるのか考えてほしいし、アイドルになったからには、目標を果たして引退するまでは、そんな自分たちを応援してくれるヲタクを幸せにしてほしいと願っています。

あなたもきっと誰かにとってのアイドル!

erica // えりか

エレクトリックリボンのメンバー

東京都出身/O型/乙女座

好きな食べ物:納豆、酒の肴、オムライス

趣味:飲み会、マッサージ、ダイエット

口癖:「ビールください!」

昼は現役OL。ステージ上ではビールを飲んだりと基本自由奔放だが、その反面、音楽大学声楽科を卒業しており、歌声には定評がある実力派。また「どこか懐かしい」をテーマにiPadのみでプレイするDJ、【DJ四捨五入】としても活躍している。最近ではTRASH-UP‼︎での連載『#素敵なOLライフ』でライター活動に目覚め、仕事を募集しまくっている。

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erica

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この記事へのコメント(2)

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mate5316

クロイナリ

2016.02.26

コメントしたくて登録しました。
友人の影響で現場に足を運ぶように
なったので・・・・

納得の記事です!

CKS

CKS

2016.02.26

なるほど感がある。・・が、エグい・・・リアル・・・

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