現在女性を中心に爆発的な人気となっているオンラインゲームがある。それが『刀剣乱舞-ONLINE-』(通称『とうらぶ』)である。
実在する艦隊を擬人化した『艦隊これくしょん-艦これ-』を代表作とするDMM.comと、数々のアニメやゲーム作品を手がけるニトロプラスが共同開発した戦略シミュレーションゲームで、『艦これ』のゲームシステムを下敷きに、こちらには名刀を擬人化した「刀剣男士」たちが登場する。
実際に存在する「刀剣」の擬人化、個性豊かなキャラクター、日本の史実に則った設定などから人気を呼び、また「刀剣男士」たちのイケメンぶりから、特に女性に人気が高いコンテンツの一つに成長している。
リリースされた1月から4ヶ月時点で早くもユーザー数は100万人を突破。その人気は、ゲームだけにとどまらず、「刀剣男士」の元となった刀剣を見に博物館などを訪れるファンも急増し、今まであまり注目されてこなかった「刀剣」にとって大きな転機となるほどの社会現象を起こしていると言っても過言ではない。
舞台・ミュージカル化も発表され、ミュージカル『テニスの王子様』を筆頭とした「2.5次元」ミュージカルにも参入することが決定。市場規模を拡大し続ける同ムーブメントの一翼を担う存在として期待がかかっている。かくいう筆者自身も、一人のファンとしてリリース時点から今もプレイし続けている。
しかし、その一方で、1月の配信開始から現在に至るまで、様々な議論を巻き起こしているコンテンツでもある。そこに至るまでには様々な要素が重なっていて、外側からは何が起きているのか把握しづらいという現状があるため、時系列順に紐解いていきたい。
平たく言えば「画像盗用」に他ならず、問題となった画像の一部は、ゲーム内でのグラフィックに留まらず、商品化されていたグッズにも関わるものだった。
同日のメンテナンスで問題が指摘された素材画像の差し替え、一部商品の発売中止・回収が行われたが、問題があった画像の膨大さにファンは驚きを隠せなかった。
6月上旬頃、ファンの間ではすでに『刀剣乱舞』の盗用疑惑が浮上していた。盗用疑惑問題まとめwikiが作成され、多くのファンがDMM.comに問い合わせ、6月19日時点で問題の検証を行うことを公式発表。そして7月の謝罪に至っている。
今回の問題が発生した原因として、ニトロプラスは、作成に携わった社内の新人デザイナーの権利処理への認識の甘さやそれに対する教育の不足、確認作業のチェック漏れを挙げている。
版権フリーではない画像を無断でトレースしあたかもオリジナルのように主張するいわゆる「トレパク問題」は、特にネット上でしばしば問題になることが多く、個人・企業問わず一度露見すれば炎上を引き起こす。
『刀剣乱舞』においては、謝罪文の掲載と画像差し替え、商品の回収によって一旦沈静化したが、ファンの間でもいまだに議論が起こることがある。
そこで、5月30日に開かれたコンテンツ文化史学会の例会「歴史的遺物とコンテンツ」において、世界観監修及び脚本を担当した芝村裕吏氏が、『刀剣乱舞』のファンコミュニティを指して口にした「大東亜共栄圏」という表現が問題視された。
「大東亜共栄圏」とは、第二次世界大戦時に軍国主義であった日本が提唱した指導理論で、欧米諸国の支配から東アジア・東南アジアを解放し、日本を盟主として共存共栄の新秩序を樹立するというもの。
『刀剣乱舞』には海外、特にアジア圏のユーザーも多く存在し、キャラクターデザイン担当には海外のクリエイターも参加しているため、この発言には国内外のファンが反発した。特に、前述の盗用問題と重なって、7月に再度議論が勃発。そこで、7月30日、芝村氏は自身のTwitterで発言の真意について説明した。
それによると、日本において経済ブロックを本気で構築しようとしたのは「大東亜共栄圏」をおいて他になく、日本は敗戦国であり、また当時軍国主義だった(とされている)日本の理論であるため、まともに研究の対象とされてこなかった。戦争への責任は認めなければいけないが、経済ブロックとしての共栄圏構想については未来に生かすべく、不安定な世界情勢においてはそれを見直す価値があるのでは、という旨だった。
それを踏まえて、『刀剣乱舞』は歴史修正主義者と戦うゲームであり、それと同様、悲劇であろうと悪であろうと日本の歴史から目を背けてはいけない、と芝村氏は述べている。
その翌日、芝村氏は自身の解釈をユーザーに指摘され、その誤りを認めてコンテンツ史学会の発言を撤回、「大東亜共栄圏」は「ゆるやかな経済圏」に訂正するとしたが、『刀剣乱舞』の根底にある思想に触れ、困惑したユーザーが存在したこともまた事実だった。
二次創作は、漫画やアニメ、ゲームなどを原作としてキャラを利用しストーリーを独自に解釈・アレンジした派生作品で、そのような同人活動の交流の場として現在多くのユーザーを持つのがイラストSNSサービス「pixiv」だ。
二次創作活動は著作権の観点からはグレーゾーンとされていて、あくまでファンによる楽しみ方の一つとして公式からは黙認されている場合が多い。
『刀剣乱舞』もまた、二次創作活動が非常に活発である。同人誌即売会は全国各地で頻繁に開催され、pixivを中心に多くの作品が投稿されている。『刀剣乱舞』同人のオンリーイベントでは、参加者の行列の長さがニュースになったほどだ。
そして、8月から9月にかけて問題とされていたのが「ヘイト創作」である。ヘイト創作とは、原作のキャラクターの性格を改悪するなどして、原作やキャラクターを貶め虐げている二次創作物を指す俗称である。
ヘイト創作は好みが明確に分かれるため、極力、pixivなどではタグ付けや注意書きなどで、いわゆる「住み分け」がなされていた。
『刀剣乱舞』におけるヘイト創作といえば、例えばゲーム内では明確にされていない刀剣男士の主である「審神者」にオリジナルの設定を盛り込み正義の味方とし、刀剣男士の中の特定のキャラクターを悪としそのキャラを痛めつけ、中には残虐な行為に発展させている作品などのことを指す(逆の設定も存在する)。
pixivでは、このヘイト愛好者(通称ヘイター)による作品が大量に投稿され、タグ付けや注意書きがなされていないものも多く、中にはタグによる住み分けに意図的に反抗するユーザーも存在した。
ヘイト創作に限らず、過剰な暴力表現などを含む特殊な性癖を持つ人向けの二次創作もジャンルとして確立されているが、彼らは自覚的に振る舞い、むしろ積極的に住み分けを行う傾向が強い。
「何をもってヘイト創作とするのか」という議論も活発に行われたが、作品への愛を表明するファンアートである二次創作において、その意図から離れていたり、オリジナルキャラクターを際立たせるために『刀剣乱舞』のキャラクターを悪用している作品がそれにあたるとされている。その中には、「刀剣乱舞はオリキャラを引き立てるために最適なステージ」と主張し、原作を冒涜する発言も見られた。
「ヘイト創作」自体は、以前から他のジャンルでも存在していた。しかしその数は少数であり話題になることは少なかった。『刀剣乱舞』はいまや巨大ジャンルに発展。ユーザー数に比例して二次創作も増える中、一歩間違えれば作品への「アンチ」でしかないヘイターも「ヘイト創作」もまたその数を増やしていったように思われる。
また、「審神者」の存在も「ヘイト創作」を増やす一因となっているとも考えられている。「審神者」はプレイヤーのアバターという側面が強く、性別や年齢、政府との関係については不明である。そのため二次創作においてオリジナルの設定を付けやすい。また、刀剣男士の主である審神者には逆らうことができないという明確な上下関係も、ヘイターにとっては利用しやすい存在である理由となっている。
この「ヘイト創作」が徐々に目に余るようになり、一時期はpixivの全年齢小説ランキングなどをこのヘイト創作が占領、『刀剣乱舞』の二次創作を乗っ取ったと言われるほど活発になっていた。
現在は沈静化されているが、このような二次創作問題は『刀剣乱舞』に限らず巨大ジャンルではたびたび話題となっている。二次創作を自由に投稿できるようになってきている現在、原作に対し様々な解釈を持つ人々が巻き起こす一つの極端な事例として、今回の『刀剣乱舞』騒動はその名を歴史に刻むこととなった。
いかにDMMでの『艦これ』の成功が背景にあったとはいえ、短期間でこれほどまで大きなジャンルに成長した作品は、あまり例がない。
急激なグッズ展開やコラボカフェの開催、さらには配信からわずか6か月での舞台化発表。そしてスマートフォンアプリ化……制作者側もこれほどまでに急成長するとは予測できていなかったと思うが、いささか急ぎ足に映ってしまう。
もともと、リリース直後にも、『艦これ』のプロデューサーが「いかに同じDMMのプラットフォームとはいえ、あまりにそのままコピーだったため複雑な気持ちになった」という旨を吐露したインタビューも話題を呼んでいた『刀剣乱舞』。
前述した騒動も、あまりに急速に人気が広がってしまったために様々な問題が発覚してしまったという見方もできる。
ヘイト創作について運営の非はないが、実際、この短期間でのいくつもの騒動をきっかけにサービスの利用をやめた人たちも少なくはない。今後、何か起きた時には、ユーザーへの丁寧な説明・対応を含めた十分な措置を講じていく必要があるだろう。
作品の世界観や設定、キャラクターを含めて『刀剣乱舞』という魅力的な素材を生かすも殺すも運営次第である。『刀剣乱舞』という素敵なコンテンツの熱心なファンのひとりとして、筆者は警鐘を鳴らしておきたいと思う。
執筆者:こがかなえ
実在する艦隊を擬人化した『艦隊これくしょん-艦これ-』を代表作とするDMM.comと、数々のアニメやゲーム作品を手がけるニトロプラスが共同開発した戦略シミュレーションゲームで、『艦これ』のゲームシステムを下敷きに、こちらには名刀を擬人化した「刀剣男士」たちが登場する。
実際に存在する「刀剣」の擬人化、個性豊かなキャラクター、日本の史実に則った設定などから人気を呼び、また「刀剣男士」たちのイケメンぶりから、特に女性に人気が高いコンテンツの一つに成長している。
リリースされた1月から4ヶ月時点で早くもユーザー数は100万人を突破。その人気は、ゲームだけにとどまらず、「刀剣男士」の元となった刀剣を見に博物館などを訪れるファンも急増し、今まであまり注目されてこなかった「刀剣」にとって大きな転機となるほどの社会現象を起こしていると言っても過言ではない。
舞台・ミュージカル化も発表され、ミュージカル『テニスの王子様』を筆頭とした「2.5次元」ミュージカルにも参入することが決定。市場規模を拡大し続ける同ムーブメントの一翼を担う存在として期待がかかっている。かくいう筆者自身も、一人のファンとしてリリース時点から今もプレイし続けている。
しかし、その一方で、1月の配信開始から現在に至るまで、様々な議論を巻き起こしているコンテンツでもある。そこに至るまでには様々な要素が重なっていて、外側からは何が起きているのか把握しづらいという現状があるため、時系列順に紐解いていきたい。
波紋を呼んだトレパク問題
7月10日、ニトロプラスの公式ホームページとDMM.comの『刀剣乱舞』の「お知らせ」に謝罪文が掲載された。その内容は『刀剣乱舞』のゲーム内で使用されていたデザイン素材の一部において、インターネット上で収集した画像を適切な権利処理を行わずに利用していたことを説明し謝罪するものだった。平たく言えば「画像盗用」に他ならず、問題となった画像の一部は、ゲーム内でのグラフィックに留まらず、商品化されていたグッズにも関わるものだった。
同日のメンテナンスで問題が指摘された素材画像の差し替え、一部商品の発売中止・回収が行われたが、問題があった画像の膨大さにファンは驚きを隠せなかった。
6月上旬頃、ファンの間ではすでに『刀剣乱舞』の盗用疑惑が浮上していた。盗用疑惑問題まとめwikiが作成され、多くのファンがDMM.comに問い合わせ、6月19日時点で問題の検証を行うことを公式発表。そして7月の謝罪に至っている。
今回の問題が発生した原因として、ニトロプラスは、作成に携わった社内の新人デザイナーの権利処理への認識の甘さやそれに対する教育の不足、確認作業のチェック漏れを挙げている。
版権フリーではない画像を無断でトレースしあたかもオリジナルのように主張するいわゆる「トレパク問題」は、特にネット上でしばしば問題になることが多く、個人・企業問わず一度露見すれば炎上を引き起こす。
『刀剣乱舞』においては、謝罪文の掲載と画像差し替え、商品の回収によって一旦沈静化したが、ファンの間でもいまだに議論が起こることがある。
脚本担当者の「大東亜共栄圏」発言
『刀剣乱舞』において、プレイヤーは名刀を擬人化したイケメンの「刀剣男士」を束ねる「審神者(さにわ)」となり、歴史を改変しようと目論む「歴史修正主義者」と戦うという世界観が描かれている。そこで、5月30日に開かれたコンテンツ文化史学会の例会「歴史的遺物とコンテンツ」において、世界観監修及び脚本を担当した芝村裕吏氏が、『刀剣乱舞』のファンコミュニティを指して口にした「大東亜共栄圏」という表現が問題視された。
「大東亜共栄圏」とは、第二次世界大戦時に軍国主義であった日本が提唱した指導理論で、欧米諸国の支配から東アジア・東南アジアを解放し、日本を盟主として共存共栄の新秩序を樹立するというもの。
『刀剣乱舞』には海外、特にアジア圏のユーザーも多く存在し、キャラクターデザイン担当には海外のクリエイターも参加しているため、この発言には国内外のファンが反発した。特に、前述の盗用問題と重なって、7月に再度議論が勃発。そこで、7月30日、芝村氏は自身のTwitterで発言の真意について説明した。
それによると、日本において経済ブロックを本気で構築しようとしたのは「大東亜共栄圏」をおいて他になく、日本は敗戦国であり、また当時軍国主義だった(とされている)日本の理論であるため、まともに研究の対象とされてこなかった。戦争への責任は認めなければいけないが、経済ブロックとしての共栄圏構想については未来に生かすべく、不安定な世界情勢においてはそれを見直す価値があるのでは、という旨だった。
それを踏まえて、『刀剣乱舞』は歴史修正主義者と戦うゲームであり、それと同様、悲劇であろうと悪であろうと日本の歴史から目を背けてはいけない、と芝村氏は述べている。
その上で、刀剣乱舞は歴史を、無かった事にしたり都合の悪い事を消したり、変えたりする勢力のことごとくを敵として戦うゲームであります。どんなに悪かろうと、悲劇であろうと、それは今の我々に、つながる過去なのです。 これもご理解いただければと思います。 (21)終わり
— 芝村裕吏 (@siva_yuri) 2015, 7月 30
最終的に、同日ニトロプラスの公式ホームページにて、『刀剣乱舞』は特定の思想を反映しているものではないという見解と、芝村氏の発言が巻き起こした騒動への謝罪が掲載された。その翌日、芝村氏は自身の解釈をユーザーに指摘され、その誤りを認めてコンテンツ史学会の発言を撤回、「大東亜共栄圏」は「ゆるやかな経済圏」に訂正するとしたが、『刀剣乱舞』の根底にある思想に触れ、困惑したユーザーが存在したこともまた事実だった。
二次創作に起きた大きな波
もう一つ、上述の2点とは全く別に、8月頃から徐々に、『刀剣乱舞』の二次創作を巡る騒動が一部で問題視されていた。二次創作は、漫画やアニメ、ゲームなどを原作としてキャラを利用しストーリーを独自に解釈・アレンジした派生作品で、そのような同人活動の交流の場として現在多くのユーザーを持つのがイラストSNSサービス「pixiv」だ。
二次創作活動は著作権の観点からはグレーゾーンとされていて、あくまでファンによる楽しみ方の一つとして公式からは黙認されている場合が多い。
『刀剣乱舞』もまた、二次創作活動が非常に活発である。同人誌即売会は全国各地で頻繁に開催され、pixivを中心に多くの作品が投稿されている。『刀剣乱舞』同人のオンリーイベントでは、参加者の行列の長さがニュースになったほどだ。
そして、8月から9月にかけて問題とされていたのが「ヘイト創作」である。ヘイト創作とは、原作のキャラクターの性格を改悪するなどして、原作やキャラクターを貶め虐げている二次創作物を指す俗称である。
ヘイト創作は好みが明確に分かれるため、極力、pixivなどではタグ付けや注意書きなどで、いわゆる「住み分け」がなされていた。
『刀剣乱舞』におけるヘイト創作といえば、例えばゲーム内では明確にされていない刀剣男士の主である「審神者」にオリジナルの設定を盛り込み正義の味方とし、刀剣男士の中の特定のキャラクターを悪としそのキャラを痛めつけ、中には残虐な行為に発展させている作品などのことを指す(逆の設定も存在する)。
pixivでは、このヘイト愛好者(通称ヘイター)による作品が大量に投稿され、タグ付けや注意書きがなされていないものも多く、中にはタグによる住み分けに意図的に反抗するユーザーも存在した。
ヘイト創作に限らず、過剰な暴力表現などを含む特殊な性癖を持つ人向けの二次創作もジャンルとして確立されているが、彼らは自覚的に振る舞い、むしろ積極的に住み分けを行う傾向が強い。
「何をもってヘイト創作とするのか」という議論も活発に行われたが、作品への愛を表明するファンアートである二次創作において、その意図から離れていたり、オリジナルキャラクターを際立たせるために『刀剣乱舞』のキャラクターを悪用している作品がそれにあたるとされている。その中には、「刀剣乱舞はオリキャラを引き立てるために最適なステージ」と主張し、原作を冒涜する発言も見られた。
「ヘイト創作」自体は、以前から他のジャンルでも存在していた。しかしその数は少数であり話題になることは少なかった。『刀剣乱舞』はいまや巨大ジャンルに発展。ユーザー数に比例して二次創作も増える中、一歩間違えれば作品への「アンチ」でしかないヘイターも「ヘイト創作」もまたその数を増やしていったように思われる。
また、「審神者」の存在も「ヘイト創作」を増やす一因となっているとも考えられている。「審神者」はプレイヤーのアバターという側面が強く、性別や年齢、政府との関係については不明である。そのため二次創作においてオリジナルの設定を付けやすい。また、刀剣男士の主である審神者には逆らうことができないという明確な上下関係も、ヘイターにとっては利用しやすい存在である理由となっている。
この「ヘイト創作」が徐々に目に余るようになり、一時期はpixivの全年齢小説ランキングなどをこのヘイト創作が占領、『刀剣乱舞』の二次創作を乗っ取ったと言われるほど活発になっていた。
現在は沈静化されているが、このような二次創作問題は『刀剣乱舞』に限らず巨大ジャンルではたびたび話題となっている。二次創作を自由に投稿できるようになってきている現在、原作に対し様々な解釈を持つ人々が巻き起こす一つの極端な事例として、今回の『刀剣乱舞』騒動はその名を歴史に刻むこととなった。
刀剣乱舞のこれから
9月17日から開催された世界規模のゲームイベント「東京ゲームショウ2015」において、『艦これ』と同時に『刀剣乱舞』のスマートフォン版リリースの決定も発表された。iOS/Android向けに今冬には始動するという。いかにDMMでの『艦これ』の成功が背景にあったとはいえ、短期間でこれほどまで大きなジャンルに成長した作品は、あまり例がない。
急激なグッズ展開やコラボカフェの開催、さらには配信からわずか6か月での舞台化発表。そしてスマートフォンアプリ化……制作者側もこれほどまでに急成長するとは予測できていなかったと思うが、いささか急ぎ足に映ってしまう。
もともと、リリース直後にも、『艦これ』のプロデューサーが「いかに同じDMMのプラットフォームとはいえ、あまりにそのままコピーだったため複雑な気持ちになった」という旨を吐露したインタビューも話題を呼んでいた『刀剣乱舞』。
前述した騒動も、あまりに急速に人気が広がってしまったために様々な問題が発覚してしまったという見方もできる。
ヘイト創作について運営の非はないが、実際、この短期間でのいくつもの騒動をきっかけにサービスの利用をやめた人たちも少なくはない。今後、何か起きた時には、ユーザーへの丁寧な説明・対応を含めた十分な措置を講じていく必要があるだろう。
作品の世界観や設定、キャラクターを含めて『刀剣乱舞』という魅力的な素材を生かすも殺すも運営次第である。『刀剣乱舞』という素敵なコンテンツの熱心なファンのひとりとして、筆者は警鐘を鳴らしておきたいと思う。
執筆者:こがかなえ
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