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多様化するラッパーの出自

このようにユニークな成功への道のりを歩んできたCardi Bですが、その背景には多様な出自を受け入れるようになったヒップホップシーンの存在があると言えるでしょう。

ギャングスタラップの流行以降、ラッパーといえば、JAY-ZやSnoop Doggのような、ドラッグの売人やギャング上がり。

もしくは、Lupe FiascoやKendrick Lamarのような荒廃した地域で育ったコンシャスな若者というイメージがありました。それらは今でも主流です。

ラッパーとしての人気を獲得した後に、Snoop Doggのようにテレビ番組を持ったり、50 Centのように俳優としても活躍したり、JAY-ZやDr.Dreのように経営者としてのキャリアを追求するラッパーはいたものの、彼らも元はステレオタイプなラッパーでした。

しかし近年は、ほかの場所で一定の活躍をしてからヒップホップにやってきたラッパーたちも、ヒップホップシーンを賑わすようになっています。
Drake - God's Plan
たとえば、アルバムからミックステープまで常にビルボード1位の常連となったDrakeは、元はといえばカナダの学園ドラマ『Degrassi : The Next Generation』で子役をしたことで知名度を獲得しました。
Childish Gambino - This Is America
俳優といえば、『Because the Internet』や『Awaken, My Love!』などのヒットアルバムをリリースしてきたChildish Gambino(本名:Donald Glover)。

彼は、俳優だけではなく、脚本家やコメディアンとしても活躍してきた多彩な人物です。
Rich Brian - watch out!
さらには、Rich Brian(元Rich Chigga)のように、インドネシア出身で、VineやTwitterでコメディアンとして人気を博したところからヒップホップに入ってくるラッパーまで登場するようになりました。

彼は真剣にヒップホップのアーティストとしての活動に取り組むために、Rich Brianに改名しています。

こうした多様な出自のラッパーたちが、遊びや企画でラップをするのではなく、ヒップホップシーンの中でアーティストとして真剣に活動してきました。

テレビのリアリティ番組で注目を集めたCardi Bの音楽活動を「セレブのお遊び」として片付けさせない土台をつくったと言えるでしょう。

自立心が溢れる強気なラップに注目

Cardi Bのアルバムの魅力は、やはり自立心が溢れる強気なラップにあります。 また、Cardi Bはアルバムの中でたびたびBeyonceの名前を出しています。

Beyonceといえば、Destiny's Child時代の「Independant Women」、ソロでも「RUN THE WORLD」など、女性を力強く導いてきたカリスマでもあり、Cardi Bの自立した強い女性への志向がうかがえます。

それこそ、上述した楽曲「Bodak Yellow」ではハードワークをアピールします。

You in the club just to party, I'm there, I get paid a fee
I be in and out them banks so much, I know they're tired of me
Honestly, don't give a fuck 'bout who ain't fond of me
Dropped two mixtapes in six months, what bitch working as hard as me?

お前たちはクラブに来てパーティーをするだけ、私はギャラを貰ってそこにいる
私は銀行に用事がありすぎて、行員は私に疲れてるはず
はっきり言って、私のことを誰が嫌いとかどうでもいいの
ミックステープを半年で2枚も出した、誰が私ほどハードに働いてるっていうの? Cardi B - “Bodak Yellow”

TDEのSZAをサビに招いた「I Do」では、社会的な抑圧を気にせず、やりたいようにやる「バッド・ビッチ」っぷりを披露します。

Look, broke hoes do what they can (can)
Good girls do what they told (told)
Bad bitches do what they want (they want)
That's why a bitch is so cold I'm a gangsta in a dress, I'm a bully in the bed
Only time that I'm a lady's when I lay these hoes to rest

ほら、貧乏な女はできることを何でもする
良い女の子は、教えられたことをする
バッドなビッチは、やりたいことを何でもする
だから、ビッチはギラギラなのよ、私はドレスを着たギャングスタ
ベッドではいじめっ子
私がレディなのは、他の女たちを始末して横たえるときだけよ Cardi B - “I Do” feat. SZA

パッションを込めた本音で語り、トラブルを巻き起こしながらも力強く前進するCardi B。

「自分の全てをオープンに見せる」という正直さと「成功のためなら何でもする」という彼女の一生懸命さこそが、誰もが彼女に注目してしまう理由であり、また多くのファンが彼女を応援したくなる理由ではないでしょうか。

エネルギッシュな彼女の今後に、ますます期待が高まります。

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RAq // ラック

ラッパー

インターネット上に公開された楽曲やミックステープにおいて、独特なフロウや言葉選び、キャッチーな曲作りなどが話題を呼び、2014年に『Lost Tapes vol.1』をリリース。iTunes HIPHOPチャートで最高2位を記録。『Lost Tapes vol.2』を経て、2017年11月に1stアルバム『アウフヘーベン』をリリースした。累計セールスが36万枚を超える『IN YA MELLOW TONE』シリーズにも継続的に参加している。
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