連載 | #9 KAI-YOU編集部ネタバレ全開座談会

『シン・仮面ライダー』座談会 日本映画業界と庵野秀明に託された使命

「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」を考える──あるいは日本映画業界について

今回の「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」は、日本のシンボリックな特撮コンテンツのメディアミックスの企画じゃないですか。

「ゴジラ」「ウルトラマン」「仮面ライダー」そして「エヴァ」でやること。それ自体はすごく良いことだと思うんですけど、それを全部映画でつくる必要はあったのかなと思ってしまう。

映画という媒体が、本当に作品にとってフィットするのかみたいのは、ちゃんと考えてあげて、つくった方が良かったと思うんです。

『シン・ウルトラマン』三部作だったらしいですよね。当初の予定では。

だから本当は、そのぐらいの尺が必要なんだと思います。で、なぜそれを思ったのかっていうと──『ゴジラ』はもともと特撮映画だったじゃないですか。

原作映画がってことですよね。

そうです。一方で『ウルトラマン』と『仮面ライダー』はTVシリーズで、すごい話数かけて描く物語だった。それで毎週違う、個性的な敵が登場して、どうやって倒してとか、だんだん謎が解けてきたりとか、それは時間をかけて描いているからこそ楽しめるドラマだった。

庵野は特撮ヒーローへの愛があるからこそ、いろんな敵が出てきて、いろんな倒し方をしたり、っていうのをやりたかったんだろうなというのは伝わったんです。でもそれが映画という媒体にあってるのかっていうのが疑問に思いましたね

なるほど。まず前提として考えたいのは、「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」が発表されたのは2022年2月なんですね。『シン・ゴジラ』発表年は、何年だか覚えてますか?

2016年。

はい、2016年です。後付け企画なんですよ、これ!(涙)

『シン・ゴジラ』がうまくいったから、『シン・その他』をつくろうみたいな思惑を感じてしまいますね。

はい。とはいえ、そんなに軽率なプロジェクトだとも思っていなくて。

『シン・ゴジラ』がうまくいったっていうのは日本映画史的にも非常に重要なことで。『シン・ゴジラ』のおかげで、日本映画というか、アニメ映画を含めて、一気に興収が上がったっていう事実があります。

2016年はすごかったですね。『シン・ゴジラ』が公開されて、すぐに『君の名は』もあった。震災から5年経って、ここからみんな頑張っていこうみたいな一体的な感じもあった。

そう。それまではむしろ全然日本映画は売れてなかったんです。日本映画で国民的なヒットが堅いシリーズというのは『名探偵コナン』シリーズと、ほぼ隠居状態にある宮崎駿の作品ぐらいで。

そういう状況で、『シン・ゴジラ』のヒットは日本映画界を救ったと言っても過言ではない大きなものだった。続く『君の名は』があそこまで多くの人に観られたのも、『シン・ゴジラ』で映画というエンターテイメントそのものへの注目度が高まった、という影響が大きいのは間違いない。

そう考えると、もう日本映画界は「庵野さん、ありがとうございます」「もっと映画つくってください」と、庵野秀明を祭り上げるしかない。実際に救ってしまったから。「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」は庵野秀明に日本映画界を背負ってもらうというか、もはや救ってもらおう、とさえしている企画に思えます。

あの4キャラクターたちが、奇跡の合体!「S.J.H.U. PROJECT シン・ユニバースロボ」

なるほど。ちゃんよねさんにありがちな憶測ベースの論ではありますが、そう思えますね。

なぜ映画なのかというと、商業的な要請はやはり大きいと思います。例えば、『仮面ライダーアマゾンズ』とか『仮面ライダーBLACK SUN』とかは、プライムビデオで配信していますよね。あれってどうしても映画に比べると全然話題にならないし、儲からないんですよね。

金額の規模感もあると思うけど、誰が儲かるかっていうところもすごい大事だと思いますね。

ここまでいろいろ話されてた問題点っていうのは、その“映画”という枠にはめること、それありきで企画がスタートしていることが要因だったんじゃないかなと思ったんです。

なるほど。ただ、ぼくは反論があって──別に「ウルトラマン」も「仮面ライダー」も、ずっと映画やってるんですよ!

これは個人的な見解ではありますが、歴代の「仮面ライダー」映画作品でも傑作という呼び声が高い『W』の映画は、単純に、別に前提知識なくても、最初にこういう世界観ですって説明してくれて、クライマックスまでちゃんと物語、バトルの展開もしっかりしています。ちゃんと映画として見れる内容だったんです。

仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ

本編と時間軸はどういう関係なんですか?

本編最終回、ラストバトルの1話前って設定なんですけど。

いや、その時点で、単発の映画作品としては成立してないじゃん!!!

前日の話を全部切って、これだけ見ても話がわかるんですよ。話がわかるっていうか、見れるんですよ!!!

^^?

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2件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:8229)

全然ダメでしょ。
結局、自分が見たいものじゃなかったという話しかしていない。
というか、ほぼ同じ意見の人どうしで話をするなら一人でいい。
同じ意見だから、互いの意見にツッコミも入らない。
座談としても、つまらない、できが悪い。
シン仮面ライダーという作品が、何をどう描こうとし、具体的にどう描かれているかという話がまるで不十分。オーグを倒す度に、本郷が彼らに黙祷を捧げることの意味や、単なる組織の殺人マニアかのように見えるクモオーグの人間性をKKオーグが語ること。母を持たないルリ子が母を失ったことで苦悶するイチローと同じ写真の中に居たかったというSF的な設定とシナリオの高度な連携。
冒頭コミュ障だと言われる本郷が、ルリ子の本心を察することで描かれる繊細さ等々、そうした丁寧な表現の積み重ねの上で世界の平和や人々を守るのではなく、むしろ守られなかった、傷つき排除された存在を救う物語が描かれる。そこにはライダーも含まれる為に最後の的はライダー0号を名乗るわけでしょう。
本郷の姿を見守るケイの存在にも言及がないし。
特撮映画だからといって、一般の映画評論についてなされるような最低限のシナリオの分析と評価はされたうえで、座談のようなことはされるべきだよ。
折角、賛否両論ある映画の座談をやろうというのなら、双方相当の理解があった上で、真っ向意見をぶつけられるようなやり方をすべきでしょ。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:7455)

面白い記事でした

確かに特撮を復活させる!みたいな作品ではなかったと思います
シン・ウルトラマンとシン・仮面ライダーは、どちらかと言うと昭和特撮を復活させる!昭和特撮の良いところを知って欲しい!みたいな思惑の方が強いんじゃないかなと思ってます

洗練され常に新しい試みが続いてるウルトラと仮面ライダーシリーズは、蓄積していく中で削られていったものが確実にあります
そこに再度スポットライトを当てようとしていたような感じがするのです

古臭いよね、ダサいよね、そう思えるようなところにこそ
そこがいいんだよかっこいいんだよと本気で庵野秀明は思っている

シン・仮面ライダーが深く刺さった自分の戯言かもしれませんが笑