BL漫画家VTuber×編集対談 業界の構造を変えうる“配信“の可能性

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BL漫画家VTuber×編集対談 業界の構造を変えうる“配信“の可能性
BL漫画家VTuber×編集対談 業界の構造を変えうる“配信“の可能性

POPなポイントを3行で

  • VTuberが漫画家として商業デビュー
  • 制作の裏側をNGギリギリまで配信で公開
  • 担当編集と語る「過程」の収益化
世はまさにバーチャルYouTuber(VTuber)百花繚乱時代。

それぞれの才能を生かし様々な活動を行うVTuberたちの中に、漫画家として電子書籍ストア「ebookjapan」発のオリジナルBLレーベル『BLfranc(ビーエルフラン)』の連載枠を勝ち取った人物がいる。

イラストや漫画の制作過程の配信は、ゲーム実況やアニメ解説などと並んで人気のコンテンツではあるものの、VTuberで漫画連載の商業デビューとなると聞いたことがない。

これから訪れるメタバース時代におけるキャリアの可能性の一つとなりうる本企画を探るべく、ご本人へのインタビューを敢行。

今回の企画の狙いについて、VTuber兼漫画家「ツクルノ女渦(じょか)」氏と、その立役者である担当編集「K」氏に話を聞いた。
重大発表

VTuberと敏腕編集のコンビ

──連載決定おめでとうございます。本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単に、自己紹介をお願いできますでしょうか。

クリエイター系腐魔女系VTuber ツクルノ女渦(396)

ツクルノ女渦(以下、女渦) 魔法の力が満ちる異世界・迷いの森に住まう、「迷いの森の隠者」こと、クリエイター系異世界腐魔女VTuber「ツクルノ女渦」じゃ。

他のVTuberさんを漫画化する企画やBLトークの配信など、自由にやらせてもらっておる。

モットーは「ファンも楽しくてわしも楽しい」「皆にとっていなくならない推しになる」。わし自身、推しがいなくなってしまうことの多いオタクゆえ、ファンには同じ思いをさせたくなくてな。

オリジナルBLレーベル『BLfranc』編集者

K氏(以下、K) 株式会社イーブックイニシアティブジャパンが2015年に立ち上げた電子発のオリジナルBLレーベル『BLfranc』の編集者をしております。

編集歴はそこそこ長く、担当したBL作品は3ケタ以上、BL以外のジャンルも含めたら結構な数になると思います

女渦 歴戦の敏腕編集者殿じゃな。どんなに忙しくともクリエイターファーストを徹底してくれる、作家側にとってはこの上なくありがたく、頼りになるパートナーじゃ。

萌えポイントを突き詰めた神様×サラリーマン

──では早速、来年2月から始まる連載について、差し支えない範囲でお教えいただけますか。

女渦 多くの方に楽しんでいただけるよう、ジャンルはベッドシーンを含まないライトBL、現代和風ファンタジーじゃ。

カップリングは人外×人間。一般のサラリーマンかつ社畜の受(うけ)くんがひょんなことからスーパーダーリン、いわゆるスパダリの豊穣神に出会い、その伴侶となるまでのお話になる。

BL漫画連載企画イメージ

──カップリングとしては神様×社畜くんですね。

女渦 受の優月誠(ゆうづきまこと)は新卒で会社に入って数年の20代後半、お人好しで損ばかりしていて、パワハラ上司に苦労させられておる。

根がお人よしすぎて損ばかりしている社畜 優月 誠(ゆうづきまこと)

K それでつい、受の子に自分を重ねちゃうんですよね。

女渦 攻(せめ)の宇迦之稲衛神(うかのいなまさのかみ)は銀髪ロングの美男子。豊穣神とは言っても全国区の有名どころではなく、地域密着型の親しみやすい神様じゃ。

注:「迦」は正しくは一点しんにょう

紳士的なスパダリ豊穣神 宇迦之稲衛神(うかのいなまさのかみ)

K ストーリーはもちろん、キャラクターに魅力を感じるかが大事なので、「これなら萌える」というポイントを2人で突き詰めました

お金持ちで人徳もありすべてを兼ね備えたスパダリ、となると遠い存在になってしまうので、地方の民間伝承で「子どもたちと遊んでいた」なんて語られるようなイメージですね。

──となると、地元ではその豊穣神様のお祭りなんかもあったり?

女渦 おお、それは良いな。ぜひ入れよう!  メモしておかねば。

受くんが仕事でお祭りのプロジェクトを任される……うむ、ありそうじゃな。

(中略:突然始まる女渦氏とK氏の打ち合わせ)

K 普段もこんな感じで、雑談からストーリーが生まれることが多いんです。打ち合わせも5〜7割は雑談です(笑)

女渦 K殿に「それメモして!」と言われたら、書いて残すようにしておる。でないとすぐに「あれ何だっけ?」と忘れてしまうゆえな。

「こんなイケメンがいてくれたら」癒しを届ける漫画

──なるほど。期せずして漫画家さんのインスピレーションが閃く瞬間に立ち会ってしまいました。他に、作品に対するこだわりなどはおありでしょうか?

女渦 何と言っても、攻が紳士的であること。ここは力を入れて描写していきたいところじゃ。二人称は「君」。BLに限らず、物語の中で殿方が使う二人称は「お前」のほうがポピュラーかもしれぬが、「君」呼びの魅力も伝えてゆきたい。

K 普通の人が持っていない神様パワーも、スパダリ属性の要素の1つです。特別な存在からのひたむきな愛情を、思いがけず独占することになる。狙ったのではなくそうなるから嬉しいんですよね。

女渦 作品のテーマが「読んでくれた方に癒やされてほしい」ということでな。会社や学校、家庭内で頑張っている人に、「こんなイケメンがいてくれたらなあ」という、漫画ならではの癒やしをお届けできればと思っておる

K ちょっと疲れたときなんかに読んで、攻×受を見守って夢を見てほしいですね。

女渦 受くんが社畜というのもあって、「自分を大切にする」ということを知ってほしい、ひいては読んだ人にもそれを感じてほしいという祈りがあるのじゃ。

K ……うっ、耳が痛い。

女渦 K殿は自分を削ってばかりじゃからのう……。

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