24年という歴史を持つ『Magic: the Gathering』。今回は、そのカードデザインに注目してみよう。
『Magic』には、現在、1万5千種類ものカードが存在する。複雑かつ緻密で、見るものを惹きつける壮麗なカードの数々だ。
プレイするだけがカードゲームではない。洗練されたデザインのカードは、それそのもので価値を持つ。
例えば、格闘家の佐竹雅昭さんも、『Magic』の有名なコレクターの一人。かつて『東京フレンドパーク』に出演した際、ラストの景品にプレミア価格がついているカードの一枚「Black Lotus」(関連記事)を指定したことで、お茶の間を驚かせた。
世界のイラストレーターが一枚一枚魂を込めて手がけたそのデザインは、純粋なカードとしてのかっこよさはもちろん、イラストからうかがえるクリーチャーやインスタント(呪文カード)のスケール感を漂わせ、デザイナーをも唸らせる。
KAI-YOUのデザイナー・BPMも昔からの『Magic』プレイヤー(関連記事)。そこで、長年『Magic』を楽しんできた彼に、最も惹かれるカードをコメントと共に10枚選んでもらった。
精緻な描き込みによるリアリスティックな近年のカードから、ややアメコミ風のコミカルなタッチが特徴的な往年のカードまで。
カードは、目でも楽しむことができるのだということを、このカードたちは伝えてくれる。
巨大さ尊大さが一目で伝わる迫力のイラスト。ウラモグが属する種族「エルドラージ」は超太古の存在であり、非常識な形状、色彩が採用されています。
このカードのお気に入りのポイントは、エルドラージ・カード特有のテキストや枠が透けてるデザインと、ウラモグの手から胸にかけた紫から赤への美しいグラデーションです。
「世界のるつぼ」というタイトル通り、2つの世界が今まさにぶつかろうとしている様をおさめたイラストから、これから何かが始まりそうな感じが醸し出されていて、見ていてワクワクします。
『漆黒の灰燼にこそ、強靱な種が芽を葺く。』というフレイバー・テキスト(ルールではなく、カードの世界観を伝える文章)も、それを助長しています。
ただし、このデザインは最新のパック「アモンケット」のお宝カード群「Amonkhet Invocations」として再収録された特別なデザイン。
イラストはもちろんのこと、戦士を育む砂漠のオアシスを舞台にしたアモンケットの世界観に合わせた、枠のデザインの繊細な色調が美しいです。また、カードタイトルの古代文字がよりデザインの強度を高めています。
画像表示が狂ってるんでも、エラーカードでもなく、こういうデザインのカード。「アンヒンジド」というジョークカードばかりの奇抜なパックに収録されたレアカードで、謎の生物と、イラスト枠の外から落ちてくるナイフも可愛らしい。
フレイバー・テキストも、『Here on going is heck the what?(だんるてっなうどがにな?)』と、単語が逆になっているこだわりもユニークです。
「しっちゃかめっちゃか」という意味の「Topsy Turvy」は、『各プレイヤーのターンのフェイズ進行は逆になる(フェイズは逆順に、終了、戦闘後メイン、戦闘、戦闘前メイン、開始となる)。3人以上のプレイヤーがこのゲームに参加しているなら、ターンの順番は逆になる」という、その名の通りの効果。
「炎の大嵐」は、20年前の「ポータル」という初心者向けセットに収録された強力なカード。
『炎の大嵐は、各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれ6点のダメージを与える』という豪快で壊滅的な効果をストレートに表したイラストが採用されています。
日本がモデルになった「神河/Kamigawa」という世界を舞台にしたエキスパンションのカード。
まず名前がかっこいい。「真実を求める者、今田魅知子」…。
芸者ガールが自分の背後に刀を隠しているイラストが、彼女の複雑な半生を想起させます。海外ウケしそうなカード。
生きているクリーチャーを全て死亡させ、死亡して墓地にあるクリーチャーを復活させるという派手な能力を持ったカードです。
カードの能力を説明するだけではなく、夕暮れ時、墓地の雰囲気、ゾンビの衣装など、細かい部分までこだわって書き込まれた情緒あるイラストが特徴的。
また、20代後半〜30代前半の人には、もしかしたらコロコロコミックの漫画『デュエル・マスターズ』に登場したカードとして覚えている人もいるかもしれません。主人公の最初のライバルの切り札として絶望的な力を発揮して、多くの読者に強烈な印象を与えました。
タイトル、イラスト、テキストと、全てにおいてシンプルな美しさと強さをあわせ持つカード。
テキスト欄に余裕があるが、そこにもあえてフレイバー・テキストは書かれていない。
一目見て『HUNTER×HUNTER』の水見式を思い出したことから強烈な印象が刻まれていて、今回紹介しました。ちなみに彼は強化系です。
効果が強力で、レギュレーションによっては「制限カード」としてデッキに入れられる枚数が限られてます。
ウラモグとはまた違った描かれ方ですが、主張の少ないイラストにとてつもない巨大さが表現され、神々しさすら感じる。
カードのコストや効果も豪快で、『Magic』において「プロテクション」という能力はほとんどの場合、特定の種族や色から身を守る能力だが、この「大祖始」では「プロテクション(すべて)」となっている。
フレイバー・テキストは一言、『世界の魂が復活した』。渋い。
以上が、『Magic』好きのデザイナーが選んだ「目で観て楽しいカード」群だ。その『Magic: the Gathering』で実際にカードイラストを手がけるアーティストのインタビューも近日中にお届けする。
画像はすべて「マジック:ザ・ギャザリング 公式ウェブサイト」より
特集の記事の一覧は特設ページから。続々更新していきますので、ご期待下さい。
『Magic』には、現在、1万5千種類ものカードが存在する。複雑かつ緻密で、見るものを惹きつける壮麗なカードの数々だ。
プレイするだけがカードゲームではない。洗練されたデザインのカードは、それそのもので価値を持つ。
例えば、格闘家の佐竹雅昭さんも、『Magic』の有名なコレクターの一人。かつて『東京フレンドパーク』に出演した際、ラストの景品にプレミア価格がついているカードの一枚「Black Lotus」(関連記事)を指定したことで、お茶の間を驚かせた。
世界のイラストレーターが一枚一枚魂を込めて手がけたそのデザインは、純粋なカードとしてのかっこよさはもちろん、イラストからうかがえるクリーチャーやインスタント(呪文カード)のスケール感を漂わせ、デザイナーをも唸らせる。
KAI-YOUのデザイナー・BPMも昔からの『Magic』プレイヤー(関連記事)。そこで、長年『Magic』を楽しんできた彼に、最も惹かれるカードをコメントと共に10枚選んでもらった。
精緻な描き込みによるリアリスティックな近年のカードから、ややアメコミ風のコミカルなタッチが特徴的な往年のカードまで。
カードは、目でも楽しむことができるのだということを、このカードたちは伝えてくれる。
デザイナーが選ぶ『Magic: the Gathering』のかっこいいカード10選
絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunge
アーティスト:Michael Komarck巨大さ尊大さが一目で伝わる迫力のイラスト。ウラモグが属する種族「エルドラージ」は超太古の存在であり、非常識な形状、色彩が採用されています。
このカードのお気に入りのポイントは、エルドラージ・カード特有のテキストや枠が透けてるデザインと、ウラモグの手から胸にかけた紫から赤への美しいグラデーションです。
世界のるつぼ/Crucible of Worlds
アーティスト:Ron Spencer「世界のるつぼ」というタイトル通り、2つの世界が今まさにぶつかろうとしている様をおさめたイラストから、これから何かが始まりそうな感じが醸し出されていて、見ていてワクワクします。
『漆黒の灰燼にこそ、強靱な種が芽を葺く。』というフレイバー・テキスト(ルールではなく、カードの世界観を伝える文章)も、それを助長しています。
暗黒の儀式/Dark Ritual
「暗黒の儀式」自体は、『Magic』の長い歴史において、初期から存在したカードです。ただし、このデザインは最新のパック「アモンケット」のお宝カード群「Amonkhet Invocations」として再収録された特別なデザイン。
イラストはもちろんのこと、戦士を育む砂漠のオアシスを舞台にしたアモンケットの世界観に合わせた、枠のデザインの繊細な色調が美しいです。また、カードタイトルの古代文字がよりデザインの強度を高めています。
Topsy Turvy
アーティスト:Jeff Miracola画像表示が狂ってるんでも、エラーカードでもなく、こういうデザインのカード。「アンヒンジド」というジョークカードばかりの奇抜なパックに収録されたレアカードで、謎の生物と、イラスト枠の外から落ちてくるナイフも可愛らしい。
フレイバー・テキストも、『Here on going is heck the what?(だんるてっなうどがにな?)』と、単語が逆になっているこだわりもユニークです。
「しっちゃかめっちゃか」という意味の「Topsy Turvy」は、『各プレイヤーのターンのフェイズ進行は逆になる(フェイズは逆順に、終了、戦闘後メイン、戦闘、戦闘前メイン、開始となる)。3人以上のプレイヤーがこのゲームに参加しているなら、ターンの順番は逆になる」という、その名の通りの効果。
炎の大嵐/Fire Tempest
アーティスト:Mike Dringenberg「炎の大嵐」は、20年前の「ポータル」という初心者向けセットに収録された強力なカード。
『炎の大嵐は、各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれ6点のダメージを与える』という豪快で壊滅的な効果をストレートに表したイラストが採用されています。
真実を求める者、今田魅知子/Michiko Konda, Truth Seeker
アーティスト:Christopher Moeller日本がモデルになった「神河/Kamigawa」という世界を舞台にしたエキスパンションのカード。
まず名前がかっこいい。「真実を求める者、今田魅知子」…。
芸者ガールが自分の背後に刀を隠しているイラストが、彼女の複雑な半生を想起させます。海外ウケしそうなカード。
生ける屍/Living Death
アーティスト:Charles Gillespie生きているクリーチャーを全て死亡させ、死亡して墓地にあるクリーチャーを復活させるという派手な能力を持ったカードです。
カードの能力を説明するだけではなく、夕暮れ時、墓地の雰囲気、ゾンビの衣装など、細かい部分までこだわって書き込まれた情緒あるイラストが特徴的。
また、20代後半〜30代前半の人には、もしかしたらコロコロコミックの漫画『デュエル・マスターズ』に登場したカードとして覚えている人もいるかもしれません。主人公の最初のライバルの切り札として絶望的な力を発揮して、多くの読者に強烈な印象を与えました。
滅び/Damnation
アーティスト:Kev Walkerタイトル、イラスト、テキストと、全てにおいてシンプルな美しさと強さをあわせ持つカード。
テキスト欄に余裕があるが、そこにもあえてフレイバー・テキストは書かれていない。
虚空の杯/Chalice of the Void
アーティスト:Mark Zug一目見て『HUNTER×HUNTER』の水見式を思い出したことから強烈な印象が刻まれていて、今回紹介しました。ちなみに彼は強化系です。
効果が強力で、レギュレーションによっては「制限カード」としてデッキに入れられる枚数が限られてます。
大祖始/Progenitus
アーティスト:Jaime Jonesウラモグとはまた違った描かれ方ですが、主張の少ないイラストにとてつもない巨大さが表現され、神々しさすら感じる。
カードのコストや効果も豪快で、『Magic』において「プロテクション」という能力はほとんどの場合、特定の種族や色から身を守る能力だが、この「大祖始」では「プロテクション(すべて)」となっている。
フレイバー・テキストは一言、『世界の魂が復活した』。渋い。
以上が、『Magic』好きのデザイナーが選んだ「目で観て楽しいカード」群だ。その『Magic: the Gathering』で実際にカードイラストを手がけるアーティストのインタビューも近日中にお届けする。
画像はすべて「マジック:ザ・ギャザリング 公式ウェブサイト」より
特集「人生を変えるカードゲームの魔力」
KAI-YOU.netが送る特集第一弾「人生を変えるカードゲームの魔力」では、様々な切り口から記事を更新予定です。特集の記事の一覧は特設ページから。続々更新していきますので、ご期待下さい。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:1685)
「イラストレーターが選ぶ」って誰が?