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  • 2022.09.06

D.O×Red Eye×漢 a.k.a. GAMI前編──今夜、極上のブツとヘネシーで祝福する理由がある

今からちょうど10年前、練馬から「悪党の詩」が叫ばれた。「悪党が奏でるこの歌が/全土にばら撒かれ」た結果、一人の少年が立派な悪党に育って、10年越しにその背中に追いついた。

これは、継承の物語である。

D.O×Red Eye×漢 a.k.a. GAMI前編──今夜、極上のブツとヘネシーで祝福する理由がある

激動の時代を一緒に駆け抜けてきた戦友」とラッパーのD.Oに言わしめたのは、弱冠20歳のRed Eyeだ。

そのD.Oこそが、Red Eyeが「ヒップホップを始めたきっかけ」となった張本人であることを、彼は様々な場所で公言してきた。

14歳のRed Eyeを最初にヒップホップにのめり込ませた曲こそが「悪党の詩」だった。

2000年代、TV出演と個性的な言動やルックスによって、お茶の間でも広く親しまれたハスリングラッパー集団・練マザファッカーを率いるD.Oが「悪党の詩」をリリースしたのは2012年のこと。

2019年には自伝のタイトルにもなったほど「悪党の詩」はD.Oにとっても大事な一曲である。

それから10年後の2022年。大阪で悪さばかりしていた一人の少年が、その“詩”をきっかけにマイクを握り、ヒップホップ・ドリームをひっさげた立派な青年となっていた。

3年の刑期を終えてシャバに戻ってきたばかりのD.O本人を客演に迎え、出所の狼煙として世に放ったのが『悪党の詩 REMIX』だ。

D.O × Red Eye / 悪党の詩 REMIX

両者のことをよく知る漢 a.k.a. GAMI立会いの元、この曲がいかにして実現することとなったのか、今初めてその全容が明かされる。

ヒップホップの一側面は、継承の歴史でもある──2人のストーリーを紐解けば、それがよくわかる。

撮影:I.ITO 照明:HighUnitTokyo 協力:9SARI CAFE & BAR

D.O × Red Eye × 漢 a.k.a. GAMI──世代を超えた3人。極上のブツと共に乾杯

この歳でこれだけストリートマナーを身につけてる子も珍しい

日本のストリートを渡り歩いてきた漢 a.k.a. GAMIとD.Oが口を揃えて、Red Eyeをそう評する。

彼とD.Oとの出会いは、D.Oが懲役3年の判決を言い渡されて収監される直前、保釈中の2019年に遡る。

FUJI TRILLKNUXによるプロデュースチーム・OVER KILLによるRed Eyeの「POCKET」のREMIXに参加したのが、同郷・大阪の先輩であるJin Doggと、憧れのD.Oその人だった。

Red Eye × OVER KILL - POCKET Remix Feat. Jin Dogg & D.O

“悪ガキ”と形容するには生ぬるい不良の道を歩んできたRed Eye。彼が自身の人生を変えたラッパーとついに対面を果たしたのは、その「POCKET REMIX」のMV撮影現場でのことだった。

「(刑務所に)入る前に、ビデオを撮ってってくださいよって誘ってくれて。マジで収監される2-3日前に撮影したもんで、よく覚えてるよ」(D.O)

2018年、いわれのない密輸の嫌疑がかかって家宅捜索された際(後に密輸の疑惑は晴れた)、がんの闘病中だった母と、シェーグレン症候群という難病を患っていた父の治療のために取り寄せたブツが見つかり、麻薬取締法違反と大麻取締法違反でD.Oは逮捕された。

2度目の逮捕ということもあり、執行猶予は付かずに実刑判決。裁判も全て済み、いよいよ収監直前、最後の撮影だった。

MVからその様は全くうかがえなかったが、当日「とにかく、緊張してガッチガチになっていました(笑)」とRed Eye。

「世間のラッパー像とプライベートが全然違う方もいますが、D.Oさんは全くそのままで。目の前に憧れの人がいて、何しゃべっていいかもわからないし、本当に初心に返りました」(Red Eye)

当時、まだ17歳。憧れの人が目の前にいれば、緊張で頭が真っ白になるのも当然のことだ。

ただし、その2年前となる2017年の「第12回高校生RAP選手権」でベスト4、2019年の「第16回高校生RAP選手権」では優勝を果たして知名度が全国区となっていたRed Eyeは、楽曲「Nakid Fact」のリリックの通り、その稼ぎ方からして、10代の時点で上の世代に全く引けを取らない存在となっていた。

15,16で月に3桁以上ひとりで吸い込んだ
17,8では音楽で月に3桁以上稼いでる
Red Eye「Nakid Fact」より

2022年2月に成人となり、Red Eyeも晴れて堂々と飲酒できるようになったため、この日はD.Oと漢 a.k.a. GAMIと、酒を酌み交わしながら顔を突き合わせましょうという会だった。

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D.O

すでに3曲もコラボを果たし、「悪党の詩」関連では24時間連絡を取り合いD.O曰く「毎分毎秒サバイブしてる」というD.OとRed Eyeだが、クラブやライブでの打ち上げ以外で、実はゆっくり杯を交えるのは今日が初めてだという。

普段から腰が低く折り目正しいRed Eye。憧れの人との対談に、この日もはじめは緊張の糸が張っていた。

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Red Eye

「『悪党の詩 REMIX』でいろいろ仕掛けてくれた」とRed Eyeをリスペクトし、歳下だからと言って決して若輩扱いしないD.Oだったが、肩肘の張ったRed Eyeに、酒の話を自ら切り出す。

「いつも何飲んでる?」と聞かれて「基本ビールです。日本酒とかはあんまり飲めないですね」と答えるRed Eye。

「なんでもそうなんだけど、たぶん、飲める日本酒ってある。日本酒と一括りにされてるけど、いろんなヒストリーと種類あって、奥が深いからさ。

どんな世界にも、極上のブツがあって、極上のトビがある。我々が語り続けてきているスモークの世界だってそう──職人と技術と、年月を重ねて極上のモノが生み出されてきたんですよ」と、すでにD.O節が炸裂。

Red Eyeの顔に、ようやく屈託ない笑いが浮かんだ。

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この日、9sari cafeにも偶然、“極上のブツ”が届いていた。それは取材の中盤でお披露目されることとなる。

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漢 a.k.a. GAMI

漢 a.k.a. GAMIが9sari cafeの厨房で極上のステーキを焼いてくれ、いよいよ酒が進む。

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これは、継承の物語である──D.O × Red Eye × 漢 a.k.a. GAMI