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ゲーマーにとってブースティングは何を意味するのか 『VALORANT』の事例から考える

「魔境」突破のためのブースティング

一方、ブースティングを受ける側の心理はどうだろうか。

ランクマッチの人口分布は下位・中位ランクに偏る。人口が多ければ多いほど、様々な属性のプレイヤーが入り交じる。上位プレイヤーのサブアカウントも混じりうる。

チームゲームの場合、相手プレイヤーだけでなく味方との相性も存在する。

したがって勝敗には運が絡む。いわゆる「運ゲー」「味方ゲー」と呼ばれるものだ。仮にレートが公平なマッチングであっても、試合の結果に大差がつくこともあり得る。

以上が下位~中位ランクが「魔境」と言われる所以である。 しかし、この「魔境」の運の要素をいとも容易く無視する手段が存在する。それが上位プレイヤーのサブアカウントとパーティを組むブースティングである。大概「魔境」の理不尽に耐えかねて、ブースティングを依頼するケースが多い。

「魔境」にハマる初・中級者と、交友の欲しい上級者の利害が歪んだ形で一致し、ブースティングは生まれてきた。程度に大小はあれど、ブースティングはゲームコミュニティにおける人と人を繋げる手段の一つに数えられていた。
How YOU CAN ESCAPE ELO HELL (Iron, Bronze, Silver, Gold) in Valorant

パーティのレート制限を回避するためのサブアカウント

もう一つ、『VALORANT』などチームゲームを遊ぶ際に生じる、ブースティングについて言及したい。

例えば『VALORANT』ではコンペティティブ(ランクマッチ)におけるパーティを組む際に、メンバー同士のランクに制限がかかる。

ダイヤモンドランクのプレイヤーとシルバーランクのプレイヤーは同一パーティでプレイ出来ない。したがって、パーティ間でランクに差が開く場合、アンレート(カジュアル)をプレイすることになる。

例えば、スマーフ(引用者注:メインアカウントよりもランクの低い別アカウントでプレイすること)の大半は悪意によるものではなく、ランクの離れたフレンドとランク戦をプレイしようとしているのだということが分かっています。一方で、少数とはいえ悪意を持ってスマーフを行うプレイヤーがいることも確かです。ASK VALORANT - 5月7日』より

しかしながら、アンレート(カジュアル)ではレートの増減がない分、早期降参がされやすかったり、上位レートのプレイヤーがパーティ内に多く存在するとマッチングに時間がかかったりするなど問題が多い。

このため、レート制限を回避するためサブアカウントを用いてコンペティティブに参加する、という行為がしばしば散見される。

動機こそ仕方ないように思えるが、当然ブースティングに該当し、プレイヤーのモラルが問われる行為である。皆で『VALORANT』を楽しむことが目的であれば、必ずしもコンペティティブをプレイする必要はないはずである。

マナー違反には常識的な対応を

ブースティング問題の根本的な解決には、既存の対戦ゲームコミュニティと新規プレイヤー間の相互理解が必要だ。

ブースティングは確かに悪質なマナー違反行為である。現に当該者は厳しい処分を受けている。

しかし、当該者に対する過剰な攻撃がSNS等で散見される。人は誰しも過ちを犯す。我々も例に漏れず、そうだ。どうか常識的な対応をお願いしたい。
WATCH // Year One Anthem - VALORANT
運営が規約などでブースティングを禁止すればいいのではないか、という疑問も当然挙がるだろう。

しかし、そもそもブースティングの事実確認は非常に難しい。サブアカウントを作成する目的はブースティングだけではないからだ。

例えば、ゲーム内のマッチングレートが高くなり過ぎて、マッチングに長時間を要するケース。プロゲーマーやストリーマーの場合、嫌がらせ行為などのないフェアなランクマッチのため匿名性が必要なケース。

ランキングのボードにいくつ自分のアカウントを載せられるか、というアマチュアプレイヤーがプロチームに存在感を示す手段としてもサブアカウントは使用される。サブアカウントを利用しているからといって、ブースティングと断定するのはもっての外だ。

それゆえに、運営が規約を設け厳罰を科すのは難しく、コミュニティやプレイヤーのモラルで解決せざるを得ないのが現状だ。

そして我々対戦ゲームコミュニティに属していた人間は、今回を機に考えを大きく改めなければならない。

今まで見て見ぬ振りをしてきた数々のブースティング行為を振り返り、コミュニティ全体でブースティングについて考えるきっかけになれば幸いである。意中のあの子を落とすためにブースティングを持ちかける、あの時代はとうに終わったのだ。

健全な精神と健全なプレイ

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6件のコメント

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4974)

ポケモンやモンハンを例えに出すのは意味不明
対人ゲームは向こうにいる存在を、ポケモンのNPCトレーナーやモンハンのモンスターと同じ扱いするのは問題
ネット越しにいるのが人間なのは分かっていますか?
記事を読む読者が人間なのは分かっていますか?

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4798)

魔境を抜けられないのは本人の実力なので、それをブースティングの理由にするのはおかしいと思います。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:4791)

草野球をしていて、「今日は大谷翔平選手に来てもらいました」で投げてもらったり打ってもらったりするのは楽しめるけど、「草野球の試合をします」で相手に大谷翔平がいるのに「大谷翔平じゃないです。別人です」で剛速球を投げてホームランを連発できるのがeスポーツタイトルの問題なんだよな。経験者の一般人が未経験を装うのはまだしも(それもよくないが)、プロや有名人が一般人を装えるということを「モラル違反」程度で済ましてはならない。ましてや「eスポーツ」を謳うタイトルであるならなおさら

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