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  • 2021.08.26

「正直、漫画からは逃げてます」 大石昌良が激推し『推しの子』赤坂アカと対談

漫画と音楽。それぞれのトップランナーが、トレンドの捉え方、作品への嫉妬について、共通点と相違点を探る。

「正直、漫画からは逃げてます」 大石昌良が激推し『推しの子』赤坂アカと対談

コロナ禍による巣ごもり需要もあり、過去最大の市場規模を更新するほどに急成長を遂げているコミック市場。そんな苛烈な勢いで広がる漫画シーンにおいて、本連載のホスト・大石昌良の心を掴んで離さない作品が赤坂アカ×横槍メンゴによる『【推しの子】』である。

同じ『​週刊ヤングジャンプ​』で『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』を連載中の赤坂アカが『クズの本懐』などで知られる横槍メンゴととタッグを組んで2作品同時週刊連載として連載中。

豪華タッグによる話題作として連載開始時から注目を集め、単行本の累計発行部数は200万部を突破、『次にくるマンガ大賞2021』コミックス部門第1位に輝くなど次なる大ヒットの雰囲気を漂わす作品である。

今回は赤坂アカと大石昌良による対談をセッティング。漫画と音楽、異なる表現に挑みながらも通じ合う二人の哲学や、音楽において物語をなにより重視する大石昌良が心を掴まれた『【推しの子】』の物語性を深堀していく。

大石昌良、『【推しの子】』推し。

──今回は大石さんイチオシの漫画作品「【推しの子】」の赤坂アカさんをお招きしました。

大石昌良 シンプルにファンなので、今日はもう朝からすごい機嫌が良かったです、アカ先生とおしゃべりできるんだ! って(笑)。

赤坂アカ 僕ももちろん楽しみにしていたんですけど、仕事があったので直前までは寝てました(笑)。なんとか2時間くらいは寝れたのですが……。

大石昌良 クリエイターとして尊敬もするし心配にもなっちゃうんだけど、大丈夫なんですか?

赤坂アカ ちょっとサボりすぎちゃってたので……。

大石昌良 そういうのを正直に言ってくれるのも嬉しいですね(笑)。

──お二人は以前から面識があったのですか?

大石昌良 まだなんとか集まることができていた頃に、異業種の人が集まる不思議な飲み会があったんです。そこではじめてお会いしたんですけど、Twitter上での交流はその少し前くらいからありました。

僕が「推しの子どちゃくそおもろい」ってツイートしたのをメンゴ先生がキャッチしてくれて、それに対してアカ先生も反応してくれたという流れがあったんです。僕としては好きな漫画家さんと交流できてうれしいって感じでしたね。

赤坂アカ 僕も元々存じ上げていたので、めちゃくちゃ嬉しかったです。メンゴ先生のおかげで繋がれたんだなと思う反面、彼女の鬼のエゴサ力を恐ろしくも感じます(笑)。

──大石さんは『【推しの子】』をどのように知ったのでしょう?

大石昌良 Snow Manの佐久間(大介)くんから「【推しの子】、絶対にきますよ」ってプッシュされて、読んでみたらすぐにハマっちゃいました。僕もアニソン業界の人間なのであまり作品について言及すると主題歌を狙ってんのかとか忖度してるんじゃないかと思われてしまうかもしれなくて、特定の作品について言及するのは少し及び腰になってしまうことがあるんですが、あまりに衝撃を受けたので衝動的にツイートまでしてしまいましたね。

それ以降はありとあらゆる媒体で「最近のオススメは?」と聞かれたら『【推しの子】』と答えるほどに推しまくってたんです。

赤坂アカ それを僕らがキャッチして、都合のいいことに共通の知り合いもいたので割とすぐ会えたのでびっくりしました(笑)。

大石昌良 実際にお話してみるとコミュ力がめちゃくちゃ高くて、話は弾むんですけどそれも全部漫画のネタにするために引き出されているような不思議な感覚もあって、これは下手なゴシップ誌よりタチが悪いかもしれないとも思っちゃいましたね(笑)。

『ルックバック』を読んで「俺もこんな漫画描きてぇー!」

大石昌良 漫画って仕上げるのに時間がかかるだろうから、漫画家さんはずっと仕事場にこもってひたすら描いてるってイメージだったんですけど、アカ先生は思ったより人に会いに行く人だし、気づいたらApex(Apex Legends)もやりまくってるしで、漫画以外の時間もちゃんとあるんですね。

赤坂アカ 正直漫画からは逃げてます、週刊連載は本当に忙しすぎるんですよ(笑)

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