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  • 2020.11.19

TikTokがもたらしたもの、世界トレンドと逆行するアニソン

TikToKは音楽家の希望? 自然発生的なヒット、リリース後しばらく経ってからの盛り上がり……そこで重要なのは、物語性ではないか。

現代の音楽シーンにあって、なぜアニソンは世界のトレンドを逆走する? クリエイターが紐解く。

TikTokがもたらしたもの、世界トレンドと逆行するアニソン

左:草野華余子 右:大石昌良

定額制サービスのサブスクリプション(サブスク)の隆盛、ネットシーンの拡大、それに伴うシーン全体の変化をトップクリエイターである大石昌良と草野華余子は鋭く感じ取る。

時流を掴む鋭敏な感覚、その上で傑作を生み出す確かな地力。数々の苦難を乗り越えた二人は、その全てを糧に培った能力をアニソン作家というフィールドで遺憾なく発揮していた。

だが二人はシンガーソングライター。作家として時代を代表する曲をつくり上げたとしても、自ら歌いたい歌がある。

ホスト:大石昌良 ゲスト:草野華余子 取材・執筆:オグマフミヤ 撮影:I.ITO 編集:新見直

目次

  1. 現在のシーンには希望がある
  2. 変わり続けるCDと音楽の価値
  3. 世界のトレンドを逆走するアニソンシーン
  4. 同じプロジェクトに関わり続ける幸せと難しさ
  5. 「新しい世界」の音楽の物語

現在のシーンには希望がある

──リリースのタイミングではなく、しばらく後でネットで話題になりヒット曲となった「香水」の売れ方は、ネットシーンの拡大やサブスクの隆盛といった現在の音楽業界の状態を表す例だったと思いますが、大石さんはそんな現在の状況に希望を感じていらっしゃるそうですね。

大石 今まではリリース日に話題にならなかったものはもうヒットにはならない場合がほとんどだったんですが、TikTokのおかげで、そこだけの勝負ではなくなった。

後から話題になることも当たり前になった現在の状況は、良い曲を書いてさえいれば、リリース時にはそこまでヒットしなくても後でしっかりとヒットするかもしれないという希望を持つことができるようになったと思うんです。

なおかつ、「香水」に象徴的ですが、後から評価されるタイプの曲は物語性があって、みんなが共感できるようなものになっているんですよね。楽曲に対するシンパシーが90年代くらいに戻っているような気がします。

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草野 めっちゃわかります、洋楽もそのくらいの時代のリバイバルっぽくなっているんです。

今は歌謡曲メロとか和メロを書ける人が流行っていて、大石さんも私もそのタイプなんですよね。

私はそもそも安全地帯や高橋真梨子さん、Winkとかがめちゃくちゃ好きなんですが、あの時代の良い曲をしっかり咀嚼して取り入れてる人が今活躍している感覚があります。

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