Interview

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  • 2020.07.09

「ヒッピーの集う島」で育まれたラッパーの常識

「ヒッピーの集う島」で育まれたラッパーの常識

SILENT KILLA JOINT

ヒップホップMC・SILENT KILLA JOINTは、関西圏のアンダーグラウンドシーン、そしてユースからカリスマ的な存在となっている。

2017年に傷害事件で逮捕され、2年半の懲役刑という空白の期間──彼が服役する前に残したいくつもの種はインターネット上の音源/MVとして残り、それに触発され、リスペクトを送るラッパーは少なくない。

Silent Killa Joint - BlAqDeViL

同時に、人気YouTuberとしても活動する彼だが、YouTubeとラップの活動を紐付ける人は驚くほど少ない。「YouTubeをやっていて全くダサくならないラッパーは彼くらいじゃないですかね」。これは、本記事の写真撮影を行ったフォトグラファー/美術家の山崎奏太郎がこぼした言葉だ。

ラッパーとYouTuberという存在を横断し、それぞれまったく異なった層のリスナーを持つ彼の越境的な多面性、そして「ヒップホップ」「YouTube」という先端のシーンに身を置いた嗅覚はどのように培われたのか。

本インタビューでは「SILENT KILLA JOINT」のこれまで語られなかった経験と内面を前後編に分けて深掘りしていく。

目次

  1. ヒッピーの街、淡路島
  2. ヒップホップとYouTubeは完全に別モノ
  3. ラップがダメになったら、また漁師をやってもいい
  4. へずまりゅうやHIKAKINでは感動できない
  5. 若手からリスペクトを受ける理由とその人柄
  6. 後編へ続く

ヒッピーの街、淡路島

──SILENT KILLA JOINTさんのフッド・淡路島って、外から見るとあまりヒップホップのイメージがないというのが正直なところです。音楽的、文化的にはどのような場所なのでしょうか。

SILENT KILLA JOINT ヒッピーの街ですね。毎年、ヒッピーが千人くらい移住してくるんですよ。

ちょっとどこまで話していいかわかんないんですけど──昔ながらの「農家さん」たちがいっぱいいるんです。「農家さん」たちが採れた「作物」をみんなに振る舞いながら音楽聞いて、パーティーするみたいな。

レイヴ・パーティーみたいなのが日常茶飯事というか、平日からみんなでヒッピーの「農家さん」たちが育てた「野菜」をみんなで食べて、で、音楽を聴き続けるっていう生活。たしかにヒップホップっていうカラーはあまりないと思います。ただ、音楽に関してはだいぶ深いところいってる街なんです。

ただ、表と裏があったりとかして。

──表と裏。

SILENT KILLA JOINT シーンがね、完全に乖離しているというか。フライヤーがあるイベントと、フライヤーをつくらずに身内で音楽を楽しんでる人のイベント。こっそりとバンド演奏ですごいパーティーをやっている。それは本当に質の高い演奏で、外には漏れない情報になっているんです。

──知る人ぞ知る、独自のコミュニティが築かれていると。

SILENT KILLA JOINT 長年そういうヒッピーの街だったけれど、でも最近は僕の音楽を聴いてヒップホップはじめたみたいな子も出てきた。これから地元にショップとかつくっていったら、シーンみたいなものができていくのかな。実際に展望もあります。

──音楽の「深いところ」に触れたのはいつごろなんでしょうか。

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