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  • 2020.03.18

バズワードとしての「ゲーム攻略サイト」

「ゲーム攻略サイト」というインターネット黎明期から存在したサイトが、IT業界のバズワードとなって久しい。

今後さらにゲームは発展していくだろう。そうなった時、我々はどのようにして、ゲームを取り巻く状況環境と付き合っていけばよいのだろうか?

バズワードとしての「ゲーム攻略サイト」

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2020年現在、エンターテイメント産業において「ゲーム」は圧倒的な地位を築いている。

本稿では、ゲーム産業とインターネットとの関わり、そしてそれらが生んだ新しい情報メディアとなった「ゲーム攻略サイト」を取り巻く状況や役割について、考察していく。

後半では、実際にゲーム攻略サイトを運営する個人(匿名を条件に取材を承諾してもらった)のインタビューを掲載している。

筆者は1990年代の終わりから2000年代の初頭にかけて、「モンスターファーム」や「ポケットモンスター」、知る人ぞ知るネットゲーム「Lord of Monsters 4」などのゲーム攻略サイトを個人で運営していた(小中学生のときだ)。

ゲームとインターネットの関係について、古くから考えて、追ってきたつもりであるが、目まぐるしく変化していく、ゲームを取り巻く情報環境のダイナミズムを文章で振り返ろうとすると、データや事実に基づきながらも、やや感傷的になってしまうことは理解してもらいたい。

「ゲーム攻略サイト」とITの接続

インターネットは、そしてIT業界はその誕生以来、様々なビジネス的トレンドと寝てきた。

ブログ、SNS、アプリ、ソーシャルゲーム、動画コンテンツ。あるいはCGM、IoTやキュレーションメディア、暗号通貨、AI、VR/AR、D2C、e-Sports──数年の間にいくつものバズワードが瞬く間に発生し、こぞってビジネス系メディアやインフルエンサーが取り上げることで投資対象として攪拌されていく。

その中の一つ、オライリーメディアの創立者であるティム・オライリーが提唱した「Web2.0」以降、ブログやCGMの発展によって次第に様々なジャンルでインターネット黎明期に一斉を風靡した個人運営のサイトはその影響力と存在感を失っていくことになる。

検索エンジンでヒットするサイトの多くは企業運営で、SNSで流れてくるURLの先を踏めば、企業が運営するプラットフォームやメディアがほとんどになってしまった。そんな風景になるとは、15年も前には誰も考えられなかった。そして15年後のことも誰も考えられない。インターネットのトレンドは移り変わっていく。

そんな中で近年のトレンドに、ニッチながら確実に数字を取れる=売上を立てやすいといわれていた分野があった。それが、かつては商業的に成立するとは考えることが難しかった「ゲーム攻略サイト」という分野だ。

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検索結果では、国内最大手を謳う企業系ゲーム攻略サイトが軒を連ねている

「ゲーム攻略サイト」自体はインターネット黎明期より存在する、比較的よく知られたジャンルのWebサイトだった。書店で販売されるゲーム攻略本の代替として発展し、ユーザーのコミュニケーションや投稿を元に、管理人が寄せられた情報検証し、また独自に研究し、まとめあげていく。当時のゲーム攻略サイトの多くは個人運営で、リソースや個人の趣味範囲の問題から、「モンスターファームのページ」のように、一つのサイトが一つのゲームタイトルを専門にすることがほとんどだった。

また、2000年代後期には、Wiki機能を有するサービス「アットウィキ」を用いたゲーム攻略情報サイトが多数のゲームファンらの手による集合知によってつくられはじめ、その更新性の高さから流行の兆しを見せていた。

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