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POPなポイントを3行で

  • イラストレーター・JUN INAGAWAインタビュー
  • 「萌え×ストリート」の作風で世界的注目を集める
  • オタクであることを誇る彼のルーツ、思想に迫る

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JUN INAGAWAインタビュー 萌えとストリートの申し子が「オタク」を再定義

JUN INAGAWA

オタクカルチャーに革命をもたらす異端児として活躍するイラストレーター・JUN INAGAWAさん。

萌え×ストリート」の作風が世界的に注目を集め、19歳ながらVLONEやDIESEL、AWGEなど、名だたるアパレルブランドとコラボを実現してきた。

そんな彼は自身2回目となる個展「フクロトジ」を東京・秋葉原のDUB GALLERY AKIHABARAにて開催中だ。

コンセプトは、「崩壊したアキハバラの秘密基地」。オタクが政府から迫害された2030年の秋葉原を表現する。

逮捕者の家にゲーム機があったり、壁にアニメのポスターが貼ってあるだけでニュースとして取り沙汰される昨今。もしかしたら、そんな未来が現実になる日が来るかもしれない。

そんなオタクへの風当たりが強く、オタクカルチャーの暗い未来に一矢報いるべく立ち上がる“OTAKU HERO”とその仲間たち。彼の想像力が生んだ世界感は必見だ。

アニメをこよなく愛し、オタクであることを誇り続ける彼のルーツや思想を探るべくメールインタビューを敢行した。 オタクヒーローズ

イラストレーター・JUN INAGAWA

JUN INAGAWA

JUN INAGAWAさん

──現在、イラストレーターとして活動されているほかに、別のお仕事などをされているのでしょうか?

JUN INAGAWA(以下、JUN) アニソンDJしてる。

──イラストを始めたきっかけは何でしょうか?

JUN だいたい4歳の頃、2004年から書き始めた。

小さい頃からアニメが好きで『プリキュア』とか小学校のとき見てて。『イナズマイレブン』『プリキュア』『きらりんレボリューション』がきっかけ。

──美大や専門学校など、イラストに関わる知識や実学を学んだことはありますか?

JUN 完全独学。好きなアニメや好きなイラストレーターの模写で、だんだん我流ができてきたって感じ。

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──現在の制作環境はどのようなものでしょうか?

JUN 下書きは今でも手書きで、色はデジタル。デジタルを始めたのはここ半年から1年くらいで、デジタルで色塗るときは手書きと全く違うので最初は慣れなかったな。制作はいつも家で。

──今、注目されている、あるいは憧れているクリエイターはいますか?

JUN いない。全員敵だと思ってる。最近尊敬しないようにしてる。

比べると俺の方がやっぱりまだまだ下手くそだし。尊敬してしまうと彼らの下にいることになってしまう。それを認めてしまうことになる。尊敬はあんまないかなあ。

──イラストを制作される上で、最も意識されていることは何ですか?

JUN 絵を描いてる時は、キャラクターのことを考える。表情、思ってること、リアルに自分に投影してる。

このキャラだったらこの服、この顔、自分に照らし合わせて描いてる。

──ご自身にとって、転機となった作品はありますか?

JUN Fucking Awesomeというブランド(Supremeのスケーターがやってるブランド)があって、そこのTシャツのイラスト依頼。

──ご自身として最も気に入っている作品を選んでいただくことはできますか?

JUN ない。全部満足した絵は何一つない。死ぬまでできないんじゃないかな。

アニメへの愛とルーツ

STEINS;GATE

STEINS;GATE

──影響を受けたジャンルや作品、クリエイターはいますか?

JUN 影響を受けたアニメは、『STEINS;GATE』。世界観がめちゃくちゃ好き。僕のストーリーはそこに近い部分がある。

あとはバンドのGorillaz。個々のキャラクター、バンドとしてやってるアニメーションやストーリーが好き。描く時はGorillaz聞いてる。本当にめちゃくちゃ好き。

──絵を描くきっかけが幼い頃から好きだったアニメとのことですが、どのようなきっかけでハマったのでしょう? それは、ご自身の創作活動に、どのように影響されていますか?

JUN 現実の女の子に興味がなくて、萌えなかったからアニメにハマっていった。

萌えなかったから自分で描いて、「彼女できないならつくっちゃえばいい」って感覚。

──JUN INAGAWAさんのオリジナルキャラクター「魔法少女アナーキーちゃん」はどのように生まれたのでしょうか? 魔法少女アナーキーちゃん JUN 初音ミクがすごい好きで、その当時はオタクの象徴として初音ミクがいたけど、その存在を「上書きしてぇな」と思って。

アナーキーちゃんは初音ミクの血を自分で髪の毛に塗ったという設定。ドラえもんが泣いて青くなった、みたいな。

──「魔法少女」という日本のアニメにおける一大ジャンルをモチーフとされているのはなぜでしょうか?

JUN わかりやすいから。とにかく一番わかりやすいからですね。“THE アニメ”はそこなのかなあ、と。

ストリートカルチャーへの傾倒

──ストリートブランドとのお仕事も手がけられていますが、ストリートカルチャーへ興味を抱いたきっかけなどはあったのでしょうか?

JUN めちゃくちゃアニオタだった時に、僕の叔父がストリートカルチャーが好きな人で、「アニメばっか参考にして描いててもつまらないんじゃない?」という意見をもらって。

それで、Supremeから出てる「Cherry」っていうスケートビデオを見てめちゃくちゃ興味を持った。

ストリートのスケボーにはルールがない。「ストリート=自由」。ルールにとらわれていない、というところから、紙とペンがあればいい、そういう発想に行き着き徐々にハマってった。
Supreme New York "Cherry" Skatevideo (Official Trailer)
──一見対極にあるようなオタクとストリートですが、JUN INAGAWAさんの活動では両者が共存、融合しているようにも思えます。ご自身の中で、オタクとストリートの共通点や「この部分は相容れない」と感じるような点は?

JUN 融合はしていない、100%違う世界

ただただ何かを好きとか、スケーターだったらスケートへの愛、オタクだったらアニメが好き、と一緒。ロック好きだからロック聞くわけだから。

強制させられて見たり聞いたりしていないのが本質なのに、(好きなことでも)社会に出てやらされてるような感覚がすごい。

でも、ストリートにいる奴らは自由だし子供の延長。好きに対する熱はジャンル関係ない。みんな「オタク」。愛がある。好きなことに対して熱中になれることはオタクもストリートの奴らも変わらない

──SupremeやVLONEとのコラボが象徴的ですが、海外のクリエイターにJUN INAGAWAさんのオタク的なグラフィックが評価されているのはなぜだと思いますか?

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@vlone x Jun Inagawa

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JUN やってるやつはいた。『HOOK-UPS』とか、それこそ『AKIRA』とか、「ストリート×アニメ」はどっかではやってた

僕が完全にアキバ系としてやったからなのかな。同じことやってる奴らなんていっぱいいたけど、当時LAでやってたのは僕しかいなかった。あと、単純に面白いから。

ストリートに寄せてない、「カッコつけてないところがいい」と当時みんなから言われていた。中指立ててる、tatooを入れてるという要素も入れてて、「90%萌え、10%違うもの」というバランスがよかったのかな。

個展「フクロトジ」での挑戦

フクロトジ ──初の個展「魔法少女DESTROYERS(萌)」の開催では、オカモトレイジさんやVERDYさんも来場され話題になりました。反響をどう感じますか。

JUN あんなに話題にされるほどなのかな、と。自分でもあんなに人がくるとはわからなかった。

他のイラストレーターさんに申し訳ない。インスタで拡散されてるからだろうけど。ありがたいけど、それに見合ってないと思ってる。

──その個展では、「これまではストリートやヒップホップの要素が強かったので、より"オタッキーな"方向に進みたい、本来の路線に戻りたい」とおっしゃっていました。その方向性は、今回の展示のどのようなところに反映されていますか?

JUN 前の個展が「オタクカルチャーに戻ってきた」ということがテーマで、僕が影響を受けてきた作家やアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』とか、そっち系のパロディが多かった。前回は序章みたいな感じで。

今回の個展はその続編。今回は、魔法少女アナーキーちゃんが敵になる話。実は敵。どうして敵になったのかを伝えたのが前回の個展で、今回はアナーキーちゃんをやっつけようと集まった反乱軍のアジトを再現してるので内容はめちゃくちゃディープ。

秋葉原が崩壊して日本からアニメ文化がなくなって、オタクはテロリスト、反社会的、風紀を乱すとされる存在になって。当初政府に対抗するのがデストロイヤーズだったけど、実は政府に寝返った為、オタク反乱軍たちとデストロイヤーズが戦う。

伏線張りまくってるから前回来た人、今回くる人、次回以降の作品、全て見て欲しい。

──今回の個展のテーマ、「2030年の崩壊したアキハバラで、5⼈のオタクが集まる基地」はどのような着想から生まれたのでしょうか?

JUN 『時計じかけのオレンジ』という映画。 彼らも4人組のギャング、不良たち。ミルクバーという彼らが集まる酒屋、アジトっぽいところがあって、そこでのクルー感、アジト、という雰囲気に僕がやられた。ヒソヒソして隠れてる感が好きだった。アジトはそこから来てる。

『STEINS;GATE』も秋葉原に未来ガジェット研究部という本部がある。ただのぼろアパートだけど。キャラがいる、集まってるところ、最終的にみんなが帰るところ、っていうのが好き。オタクたちの潜伏アジトが秋葉原で再現できるのが今回は最高。

──「どこが参考になっているかも観る側には知ってほしい」と元ネタについても言及していますが、今回元ネタになったサンプリング元などはありますか?

JUN 今回はほとんどパロはない。雰囲気を真似したのは『Serial experiments lain』というアニメ(元はゲーム)。20年くらい前のアニメ。音楽、機械音、色が暗い感じは世界観だけ影響を受けた(関連記事)。

JUN INAGAWAが定義する「オタク」とは?

オタクヒーロー ──「個展に⼊場できるのは『オタク』の⽅のみです」とありますが、JUN INAGAWAさんが思う「オタク」の定義とはなんですか?

JUN 自分が好きなことに熱中してるやつ、自分持ってるやつ。タピオカ飲んでるやつ、ゴンチャ並んでるやつは絶対入れねぇ(笑)。

それは冗談として、誰でも入れるけど、全て受け入れられる人しか入って欲しくない。でもゴンチャ持ってたらやっぱり入れない(笑)。

キャラに入り込める、ストーリー、世界観に入れる人、オタクヒーローの一員だと思って欲しい。落ちてるチラシ、ステッカーとかにも伏線張ってるからよーく見て欲しい。

──今回物販されるグッズは、抱き枕:8万円、おっぱいマウスパッド:7万円、Tシャツ2万円など、高額な料金設定がされているのはなぜでしょうか?

抱き枕:80,000円 / おっぱいマウスパッド:70,000円 / Tシャツ:20,000円 / ポスター:15,000円 / アクリル スタンド:5,000円 / クリアファイル:4,000円 / 缶バッチ(ブラインド):3,000円 / ステッカー(ブラインド):2,000円 個展で販売が行われる高額オリジナル・オタクグッズ(予定)

JUN この崩壊した世界ではアニメグッズは希少、闇ルートから仕入れなきゃいけない、ドラッグを売買するみたいなやばい取引

物販売るんであればビジネスとしても成立しなきゃいけないというのももちろんあるけど、やっぱりこの世界ではレアなので。「おいタケェよ、JUN INAGAWA調子乗ってんじゃねーぞ」ってみんなもイラついてくれんじゃないかな。

でもやっぱり来る人にはこの世界の一員になって欲しいから、高い、それだけ。

──「ストリート/アート/ファッション」と「オタク」の双方のジャンルでプロップスを高めているというのは、アニメや漫画がより広い層でも受け入れられるようになったとはいえ、非常に新しいことだと思います。JUN INAGAWAさんにとって、いま考える「オタク」とはなんでしょうか?

JUN 家に帰って、好きなこと好きなもの聞いたり買ったり見たり吸収することは変わらずやり続けることがオタク。自分に正直に生きること。「オタク=かっこいい」って勘違いしてるやつ、もっとオタ活して欲しい。

最近特にオタクが美化されてる感がすごい。『エヴァンゲリオン』とかNetflixで始まって、インフルエンサーたちが「エヴァなう」とかやってるのがムカつく。好きなことをちゃんと好きといって欲しい。

本当に好きな人が好きって言ってるのはいい。インスタのフォロワーだけが多いアニメ観てないインフルエンサーがエヴァエヴァ言ってほしくない!

──JUN INAGAWAさんは19歳という若さからも注目を集めています。今後、挑戦してみたいことなどはありますか?

JUN アキバジャックもあるけど、同人誌を描きたい

原作の人が同人誌描くって最強。アナーキーちゃんの同人誌。

出版社ついてないから今のうちにやりたいことやりたい。コミケのめっちゃ新人がいるとこに出展。

※記事初出時より一部本文・画像を変更しました

KAI-YOUクリエイターズ・インタビュー

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イベント情報

フクロトジ

日程 2019年7月20日(土)〜8月8日(木)
開館時間 12:00〜19:00
会場 DUB GALLERY AKIHABARA( https://www.dub-gallery.com/ )
住所 東京都千代田区神田佐久間町1‒14 第2東ビル2階 216号室
入場料 投げ銭 (オリジナルドリンク&JUN INAGAWAサイン付ゲストパス)
※入場できるのは「オタク」の方のみです
※個展会場内での、写真撮影・動画撮影は禁止とさせていただきます
※イベント内容は変更が生じる可能性がございます

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