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ベストバウトが頻発する「戦極15章」

押忍マン vs KEN THE 390

押忍マン vs KEN THE 390 1回戦の第1試合からいきなりこのカードである。バトル好きなら盛り上がらないはずがない。

ちなみに僕は、前回のバトルでKENさん(KEN THE 390)に同業者とは思えないほどひどいことをたくさん言ったので、正直会いたくなかった。

しかし、よくわからないけどクジ引きの時に挨拶して、普通に話すことができた。「お前とはもう二度と当たりたくないよ!」と、KENさんは笑いながら言っていた。その後、ナイカさんに「マジでひどいこと言われるから覚悟した方がいい」とアドバイスするところも見ていた。 押忍マン バトルがはじまると、先攻の押忍マンさんがかなり押していた。だが、KENさんが後攻の2本目で「13章」の1試合目でCHICO CARLITOが言っていた「帰っていいーーーよ」というラインをサンプリングし、そこで戦況を五分に戻した。

この試合は初戦だというのに、2度の延長を繰り広げ、最終的にKENさんが勝利をおさめた。

ドイケン vs MIRI

ドイケン vs MIRI 正直、この試合だけで記事が1本書けてしまいそうなほど濃いバトルだったが、そこをあえて簡潔に描写させてもらう。

この試合は、MIRIちゃんの1年間の成長した部分を全て凝縮した試合だった。トラップ系の、いわゆる倍速ラップに適したビートで、アイドルの規格を飛び越えた堂々たる乗りこなしを見せた。
MC MIRI

MC MIRI

その歯切れのいい倍速ラップの中で、彼女はずっと苦手だった押韻をビートを外さずに踏み切ったのである。「梅田サイファー」「売れてる人いないな」という脚韻がドイケン君に見事に命中する。

判定はMIRIちゃんの勝利。ドイケン君側の視点を語れなくて申し訳ないけど、僕はステージ袖まで行って思わずMIRIちゃんとハイタッチをしてしまった。

なんか僕らしくない。けど嬉しかった。

TKda黒ぶち vs じょう

TKda黒ぶち vs じょう バトルビートが崇勲さんの曲だったことがTK君のエンジンをフルスロットルまで上げたらしく、はじまりと同時に怒涛の「わかってねぇな」の連呼。

ビートに合わせたフックをサンプリングしたことで、観客が物凄い盛り上がりを見せ、明らかにじょう君はその熱気に飲まれていた。

さらに、じょう君が口にした「メッキ」という言葉すらも、TK君は「熱気」に変え「この瞬間に生きるのがフリースタイル」という言葉が試合の決定打になった。

このラインによってロックされた観客の前では、じょう君の繰り出す歯切れのいいオンビートラップも綺麗に揃った押韻も無効化され、瞬間的な何かを出さない限りパンチが当たらない状況になった。こうなってしまうとTK君には、一撃必殺みたいなパンチラインですら通用しないのである。

僕は、じょう君があんなにあっさり負けたのをはじめて観た。

ハハノシキュウ vs NAIKA MC

ハハノシキュウ vs NAIKA MC1 そんなTK君たちの次の次の試合が僕の試合だった。はっきり言って、ナイカさんに勝てるとは思っていなかった。

『SLAM DUNK』で言うなら、いきなり山王工業を相手にした気分だ。それはポジティブに言えば主人公なら勝てるってことなんだけど、まあ僕はそんなタイプじゃない。

ラップとしての完成度はどうでもいいから、とにかく屁理屈をたくさん言うことにした。たまたまこれが功を奏したのか、勝負を決める偶然の事故が起きた。

僕の早口というか戯言の畳み掛けが、観客には綺麗に聴こえて、ナイカさんには聴こえないという特殊な状況になったのだ。 ハハノシキュウ vs NAIKA MC2 その偶然を誘発したのが「職務質問」というワードだったと思う。

渋谷で職務質問してきた警官がナイカさんに似てたからぶっ殺す」という主旨の話をしたのだけど、「職務質問」だけで観客が沸いてしまい、その続きがナイカさんの耳に届く前に掻き消されてしまったのである。

ナイカさんの得意技はカウンターパンチ。相手の言ったことを2倍3倍で返す反則級のバイブスで前大会を制している。しかし、相手が何を言ったのか聴き取れなければ、カウンターもできない。

そして、僕は勝ってしまった。

さっき僕は「意外と番狂わせが起きにくいのがMCバトルである」と言った。だが、この大会には番狂わせがある。順当という言葉は、すでに機能しなくなっていた。

MCバトルのトーナメント表はドラマの脚本に近い

2回戦がはじまると、また状況に変化がある。ここまでに32本の試合が行われ、当たり前だがお客さんが疲れてきている。

それと同時に、この1回戦であらゆるパターンの盛り上げ方を体験したのもあり、観客の声を上げる基準が少し厳しくなったような感触も受けた。

それでも1回戦で放たれた2つのラインがサブリミナルのように、ずっと残響し続けていたような気がする。
Lick-G

Lick-G

Lick-G「引退宣言、いや今日優勝するから心配ねぇぜ
GADORO2

GADORO

GADORO「MOL53、決勝で首洗って待っとけ

65人いた群像劇の主人公は2回戦で半分になった。

僕がこの記事で伝えたいことは、この群像劇の収束を、観客が作家となってつくっていくということ。そして同時に、僕らラッパーの敵が、本当はラッパーではないんじゃないかと思えてくるほど観客に疲弊させられるということだ。

僕が冒頭で話した「UMB」において、黄猿君が「東京背負わせろ」というラインを色濃く残して優勝していったという話を思い出してほしい。

トーナメント表はドラマの脚本に近い。

2015年6月に行われた「戦極12章」だと、呂布さん(呂布カルマ)が「『KOK』(KING OF KINGS)でも優勝するから俺にまかせろ」というストーリーを描いていたように見えてくる。ここで優勝すると「KOK」への切符が手に入るからだ。
呂布カルマ

呂布カルマ

そして「15章」での優勝も「KOK」への切符がある。呂布さんが「KOK」予選を辞退し「どっかで勝って決勝に行きます」と言っていたことが見事に重なり、主人公になる材料として機能していた。
戦極MC BATTLE 第13章(15.12.27) KEN THE 390 vs ハハノシキュウ @BEST BOUTその3
まあ、例えばの話だけど、KENさんが「もう一度ハハノシキュウと戦わせろ」とバトル中に言って、僕も僕で「決勝でKEN THE 390とやらせろ」と連呼していたら、そういうストーリーが炙り出されたかもしれない。(実際にKENさんに13章のリベンジしたいかって? もう二度と対峙したくねぇよ)
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この記事へのコメント(3)

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匿名のユーザー

匿名のユーザー

ハハシ文章上手い

匿名のユーザー

匿名のユーザー

ここのコラム見つけてからハハノシキュウ大好きなんだがw

tyanyone

米村 智水 認証済みアカウント

めっちゃ面白いし小説書いて欲しい

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