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純粋に絵に打ち込める表現としてのイラスト

ざいんさん

CG・イラスト講座サイト「お絵描きIRADUKAI」 での、SAIによるイラストメイキングで使用された作品

──SNSというサービスもなかった以前、「お絵かき掲示板」が主流だった時期がありましたが、ざいんさんも参加されていたんですか?

ざいん 自分はそこまで見ていないんですけど、そこがきっかけで絵描きさんになった方も多かったかもしれないですね。TOKIYAさんとか、はじめて見たのは多分中学とか高校の頃で、すごく憧れてはいたんですけど、その当時は自分もお絵かき掲示板やイラストレーションの世界に入っていこうなんて思っていなかったです。

大学に入ってからやっと時間ができて、最初は二次創作で遊んでいたんですけど、pixivに入会してからオリジナルも描いてみようかなという気持ちになりました。

──ちょうどpixivとペイントツール・SAIの登場が同時期くらいでしたよね。

ざいん SAIの前はPainterを使っていて、アナログ感はSAIより強く面白いんですけど、操作感に癖がありました。SAIはとにかく軽かった。線が引きやすいようによく調節されていて、手ぶれ補正がついているんです。SAIの登場で、自分だけでなく、イラスト界全体の雰囲気も変わったんじゃないかと思います。綺麗な線が増えたと言うか。

──その辺りの時期からざいんさんはイラストの世界に本格的に入り込んでいったんですね。ざいんさんはpixivに絵に投稿する際、作品を選んだりはされないのでしょうか? 基本的にはすべて公開されますか?

ざいん pixivには多少は気合の入ったものを投稿する、という気持ちはありますね。多くの方に見られることになるので。

──インタビュー冒頭でお話があったように、ざいんさんはpixivに投稿することでフィールドが広がっていると仰っていましたが、逆にpixivに絵を公開してあまりにそこで有名になりすぎると、pixiv発作家という見え方をされる場合もあると思います。そういうことも意識されていますか?

ざいん それを気にして投稿ペースを抑える方もいますが、自分は投稿ペースがもともと早い方ではなく、本当にたまにアップするという感じなので、そこまで気にしてはいないですね。ちゃんと描くとなると1枚一週間はかかります。

pixivはユーザー数が圧倒的に多いですからね。繋がりもそこから始まったものが多いです。もうポートフォリオですね。

──極論を言えば、広い強固なプラットフォームが成立してしまうと、自分のホームページも必要なくなりますよね。

ざいん それでも一応は持っていた方がいいとは思いますが、どうしてもSNSの方が楽ですもんね。

──今、ざいんさんはアートとは違う文脈・場所で活躍されていますが、学生時代まで美大で油絵を学ばれていたのに、どうしてイラストの方にいこうと思われたんですか?

ざいん イラストの方がフットワークが軽い、というか何でもできる。あまりごちゃごちゃ考えずに描けるんですよね。アートは、もっとコンセプトや文脈を求められるものなんですけど、それは息苦しいなという思いがありました。例えば、絵の講評の時に自分でみんなの前に立ってプレゼンするのが得意じゃなかった(笑)。

──絵のプレゼンというのは、この構図はこうなっていて実はなんたらを表している、とかそういうことですか?

ざいん そうです(笑)。

──そんな自己解題みたいなことをみんなの前で説明しないといけないんですか!?

ざいん アートには、最低限「こういうコンセプトで描きました」という説明が必要です。もちろんイラストにも全くそれが必要ないとは思いませんが、もう少し考えないで純粋に絵に打ち込めることの魅力がありますね。 zain_f ──そもそも、アートとイラストはどこが違うんでしょうね? イラストはアートにはならないんでしょうか?

ざいん 結果的にそうなる場合もあるんじゃないかとは思います。例えば、今イラストとして投稿しているものでも、いずれ時間が経ってからアート方面からの評価を受ける可能性もあるかもしれないですよね。

でも、やっぱりプロデューサー、アートではキュレーターと呼ばれる立場の人抜きでは、作品単体でアートになるということはないんじゃないかとも思います。最近は特に、作家さんとキュレーターさんの一組で打ち出す、という文脈となっていっているのかなと。

インターネットを足場に

──大味な質問ですが、ネット上で生成するイラスト文化が根付いていきつつある中で、ターニングポイントと言うか、「これが起きたらもっと面白くなる」ようなことはありますか?

ざいん どうなんだろう……自分自体も商業の仕事をもらうようになった今年(2011年)が転換点になっていて、なかなか余裕もないんですけどね(笑)。ネットのブームは流れが早い。あの早さの中で自分の立ち位置を維持していける作家さんは少ないと思うんです。クリプトン・フィーチャー・メディアさんとも先日お会いした際に「これからネットイラスト系はどうなっていくんだろう?」という話になったんです。ブームが安定して続いている初音ミクは、そういう意味ではすごい特殊だと思いますね。

──ネット文化の象徴的な初音ミクなどがきっかけとなって商業で活躍されるようになった方がいるかと思えば、かたやJNTHEDさんのように、お絵かき掲示板出自というコアなイラスト界からアートの世界に行く方もいます。その中でざいんさんのようにアートからイラストに踏み込んだ方もいて、それぞれに背景があるのはとても面白いですよね。
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カプセル

ざいん 自分はもう最近はアートにはすっかり疎くなっていますけどね。今は、ただ、もらった仕事を一つ一つ、クオリティを下げずにやっていきたい。作品一枚にかける時間が以前よりも考えないとスケジュール的に間に合わないような場合があります。でもそこで一枚一枚、良い絵を描いていれば、それは積み重なっていくと言うか、やっぱり最後は絵の内容だと思っています。

ネットとかである程度名前が知られていくと、評価が甘くなっていくような印象があって、それが自分にはちょっと怖いんです。例えばpixivで自分をお気に入りに登録してくれている数が増えれば、最初から見てくれる人が多いからブックマーク数もそれだけ増えてくる。

──名前が知られると見てくれる母数が増えて、純粋な評価基準が損なわれてしまう可能性があるということですね。けれどそれは、固定ファンが増えているということでもあるとは思います。

ざいん もちろんそうです。反響をいただくのはすごく嬉しいです。けれど、それを過信しすぎてしまうと、自分の今後にとっては必ずしもプラスではないかもしれないと思います。

──慢心することないざいんさんの今後の活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。ちなみに、ざいんさんはライブペインティングなどはされたことはありますか?

ざいん ないです。なんか、昔から、誰かに見られながら制作するのが苦手で。予備校時代も後ろに講師の先生が立っていると手が止まっちゃってました。直していきたいとは思うんですけど、なかなか(笑)。

──それもいつか見られるのを楽しみにしています!
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ざいん // zain

イラストレーター

まれに「ナナ」名義でも活動する。TOYOTAと初音ミクのコラボ「COROLLA+MIKU」イラストに抜擢されたり、星海社のWebレーベル「最前線」では渡辺浩弐氏の『iKILL』などの作品で表紙や挿絵イラストを手がける。『モノノ怪』の主人公・薬売りをこよなく愛する。最近はもっぱら『よつばと!』にはまっている。



Twitter: https://twitter.com/zain7

pixiv: http://www.pixiv.net/member.php?id=47880

ざいん

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