さいばーぱんく
サイバーパンク(Cyberpunk)とは、1980年代に成立・流行したサイエンス・フィクションのサブジャンル、もしくは特定の運動や思想をさす。 代表作としては、ウィリアム・ギブスンの小説『ニューロマンサー』などが挙げられる。
「サイバーパンク」という単語自体は、1980年代にブルース・ベスキ作の未成年ハッカー集団を描いた短編のタイトルとして出現したが、その後の1985年にSF誌の編集者であり評論家であったガードナー・ドゾワによって、作風を指す新語として用いられ、SF界における思想、運動、スタイルをさす言葉となった。従来のハードSFや、スペースオペラ、サイエンスファンタジーなどに対するカウンターとしての思想、運動であり、それらを体現する小説に盛り込まれた要素・スタイルを抽出し、これをサイバーパンクと呼ぶ。
サイバーパンクが成立した1980年代前半は、北米や欧州を中心にパーソナルコンピュータが一般家庭にも普及を開始し、原始的なネットワーク(パソコン通信)を伴って身近なものとなり[2]、また各種の電子機器が民生機器として隆盛していた時代でもあり、一方で軍学共同の広域ネットワーク(インターネットの直接のルーツとなるARPAネットなど)の研究と普及も始まっていた。これら実在のガジェットや概念に触れる機会が増大したことで、それらが「過剰に発展した(近)未来への着想」をもたらしたという点でも、同時代の社会および科学・民生技術の状況がサイバーパンク成立の母体となったことは確かである。
一方、1990年代に入りインターネットの商用利用解禁や、ITバブルによるパーソナルコンピュータや携帯電話などの普及によってこれらが身近なものとなり陳腐化すると、サイバーパンク・ムーブメントの存在感や刺激は相対的に後退し、沈静化する。
しかしこれは言い換えれば、90年代以降は、サイバーパンクの着想が大衆的に広く浸透し、あえてジャンル化する意義が見いだせないほど当たり前なものになった時代でもあるということである。さらにインターネットの普及、ユビキタス社会の進展により、サイバーパンク的な感覚は着実に現実に浸透しつつある。
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