2022年12月26日に公開された声明「メタバースでの音楽利用について」(外部リンク)の中で、JASRACはメタバースで行うバーチャルライブなどでの音楽利用に関して問い合わせが増えているとその背景を説明。
メタバース上でJASRAC管理楽曲を利用する際には、インターネット上で音楽を利用する場合と同様のライセンスが適用されることを明言した。
非営利目的の個人が利用する場合について等、JASRAC側に問い合わせたところ回答を得た。
営利目的のバーチャルライブは「動画配信」に該当
まず、声明の中でJASRACは、具体的なケースを2つ挙げて紹介。メタバースでバーチャルライブを行う場合は「動画配信」(外部リンク)として、メタバース上の店舗でBGMとして音楽を利用する場合は「音楽配信」(外部リンク)としてライセンスの処理が必要になるとした。
例えば、有料のバーチャルライブをストリーム形式で配信する場合や、広告やアバターアイテム課金などによる収入があるサービス内でBGMをストリーム形式で配信する場合、所定のライセンス料を支払う必要がある。
上記2つのほか、メタバース内で行われるゲーム、MV配信、カラオケ配信などについてもそれぞれ利用に伴う手続きがあるため、「詳しくは、担当部門へご相談ください」と綴られている。
営利目的ではない場合は「非商用配信」に該当
一方JASRACはこれまで、このような手続きをせずに管理楽曲を利用できる例として、開催されるイベントが「営利を目的としない」「聴衆又は観衆から料金を受けない」「実演家に報酬が支払われない」といった要件をすべて満たしている場合、著作権法第38条1項に基づいて自由利用が認められるケースを挙げている(外部リンク)。それでは、メタバース空間上で、非営利目的の団体または個人が、料金や報酬が発生しない形でJASRAC管理楽曲を利用する場合はどうなるのか?
JASRACに取材を行ったところ、この場合は「非商用配信」(外部リンク)の規定に基づきライセンスが行われるという。
これは、個人Webサイトや学校・地方自治体などが非営利目的で音楽を利用する場合などに適用される区分。使用料の支払いを含むJASRACでの著作権の手続き(外部リンク)のほかに、場合によっては権利者に対して著作者人格権や著作隣接権などの手続きを行わなければならないケースもある。
JASRAC「メタバースでの音楽利用は公衆送信に該当」
なお、clusterのようにメタバースプラットフォーム自体が包括的にJASRACとライセンス契約を結んでいる場合(外部リンク)は、個別の手続きは必要ない(ただし、原盤利用やアレンジに関する利用は、この契約には含まれていない)。また、「著作権法上の公衆送信に該当しない場合は、ライセンスは不要」との回答もあった。
ただし、多数・不特定の人間が集まることを前提としたメタバース空間での音楽利用の場合は「公衆送信に該当するものと思われます」と担当者は見解を示した。
例えば、そのようなメタバース空間上でJASRAC管理楽曲を利用する際、自分の他に誰もいない場合についても「非商用配信」の規定が適用されるとしている。
※記事初出時、一部表記に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
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