アニメーター ソーシキ博士が設けた祭壇の意図 変化し続けるバーチャルの心地よさ

アニメーター ソーシキ博士が設けた祭壇の意図 変化し続けるバーチャルの心地よさ
アニメーター ソーシキ博士が設けた祭壇の意図 変化し続けるバーチャルの心地よさ

ソーシキ博士さんインタビュー

POPなポイントを3行で

  • アニメーター・ソーシキ博士のバーチャル展示が開催中
  • 投げ銭でお供え物ができる祭壇がYouTubeに現る
  • 刻々と景色の変わるバーチャル祭壇について本人に聞く
アニメーター/イラストレーターのソーシキ博士さんが現在、YouTubeで個展に先駆けたプレ展示「MORNING ROUTINE」を開催している(外部リンク)。

ソーシキ博士さんはショーガどろぼうさんと映像制作チーム・ふりふり組織としてアニメーションを制作しているほか、YouTubeチャンネル「なんてことなの。」で海外のインディーゲームをプレイし紹介している。

同展示では、ソーシキ博士さんが制作したアニメーションで構成された「バーチャル祭壇」を眺めることができる。解放時間中は常に風景が変化し、バンド・Taiko Super Kicksの伊藤暁里さんが制作した音楽と共にその様子を眺めることができる。

本来は大阪のギャラリー・シカクで開催予定だった個展が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でバーチャルに。

会期は残すところ5月10日(日)のみ。時間は10時から20時まで、21時からはバーチャルクロージングパーティーが行われる。今回は本人へのインタビューを交えながらその魅力を紹介していく。

ソーシキ博士の「見ても見なくてもいい」を目指す祭壇

「MORNING ROUTINE」のバーチャル祭壇には「お金」や「孤独」、「動物」「推し」、そして「ビューティー」の神様が収められており、その神様たちが日替わりで登場する。

500円以上の投げ銭によってリアルタイムで現れるローソクなどのお供え物が増えていったり、時間が経つにつれて空の色が変わっていったりする様子が面白く、そして心地よく、湯船に浸かっているような感覚で何も考えずにただぼーっと眺めてしまう。 また、祭壇を訪れた人はライブチャットに感想やお祈りを書き込むことができる。ソーシキ博士さんがときたまバーチャル在廊して、来場客とチャットで雑談を交わしているのも、「MORNING ROUTINE」が人の集まる場所としてそこに存在することを感じさせられる光景だ。

ソーシキ博士さんは同展示について、自身のnoteにて「なんとしてでもこの展示を『見ても見なくてもいい』ものにしたかった。」と書いている。確かにあの祭壇は、特別なきっかけもなく、ふと思い立ったときにふらりと立ち寄る場所のように思える。

バーチャル祭壇発案の背景をソーシキ博士に聞く

ソーシキ博士さん

──「ソーシキ博士」として活動を始めたきっかけは何でしょうか? また、活動を始めた時期も教えてください。

ソーシキ博士 かなり昔に何かをやるときになんとなくつけた名前がそのまま残りました。アニメーション作家という意識で活動を始めたのは2010年くらいから、ゆっくりとです。

──現在プレ展示として、YouTube上で開催されている「MORNING ROUTINE」ですが、発案の背景はどのようなものでしたか?

ソーシキ博士 ゴールデンウィークに大阪のシカクさんで絵の展示を行う予定だったのですが、新型コロナウイルス感染症の状況により開催が難しくなったので、バーチャル展示として開催することにしました。

そもそもの展示のテーマが「祈り」だったので、どこからでも訪れることのできる祭壇をWeb上で運営するという今の形になりました。

一番最初に考えていたのは毎朝自分の理想に向かって祈る場としての絵を描くということです。日記の更新頻度が減ったり、英語の勉強が滞ったり、スキンケアせずに寝てしまったり、生活に揉まれていくうちに頭の遠くに消えていきそうな理想を繋ぎとめるために(実際に効果のある)絵を描きたいと思っていました。

なので今の状況により展示がこのような形に変化したのは代替ではなく、むしろ望むところに近づいたような感覚があります。

──連日、バーチャル祭壇に人が訪れていますが、そのことに対してどのように感じていらっしゃいますか?

ソーシキ博士 訪れる人が祭壇の中の神様を本当の神様のように接してくれていることが有難く、またとても興味深いです。

ずっと祭壇の様子を見ている人や朝仕事に行く前に挨拶だけしにくる人、閉園間際に何も言わずにお供えだけする人など、祭壇の風景を営みとして変化させる一方で、そこに祈りにくる人たちの真摯な営みも感じます。

──ローソクやお供え物が増えたりと日々変化していく祭壇について、「こう変化させていこう」という方向や終着点は考えていらっしゃいますか? また、賑やかになっていく祭壇への感想はありますか?

ソーシキ博士 とくに変化の終着点のようなものは考えていません。展示自体、リアルタイムにアドリブで変化させているので、お供え物の数が想定よりとても多かったことも含めて「どうなるかわからない」ということを運動の軸として考えています。 ──最後に、4月28日のツイートで「『わからなくても知っている』という感覚に強く魅了される」とありましたが、「なんてことなの。」でゲームをプレイされているときにもその感覚は通じているのでしょうか?

ソーシキ博士 むしろ海外インディーゲームをプレイしているときに「わからなくても知っている」という感覚をもっとも強く刺激されます。

自分が普段遊んでいるとても個人的な海外インディーゲームはそれぞれ未知の体験を与えてくれますが、それを彼らがつくりたいと思った感情の起点のようなものにいつもシンパシーを覚えます。

そうしたゲームに出会うたびに「わかる、わかるよ」とようやく話の合う友人に出会えたようにじんわりと感動してしまいます。

ずっと眺めていたくなる

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イベント情報

ソーシキ博士 バーチャル・プレ展示「MORNING ROUTINE」

会期
2020年4月25日(土)〜5月10日(日)
時間
5月9日(土) 10:00〜19:00/5月10日(日) 10:00〜20:00 ※10日は21時よりバーチャルクロージングパーティー開催

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