来場者が会場に展示された3Dアバターや3Dモデルなどを自由に試着、鑑賞、購入できる、「バーチャルマーケット」は、バーチャル空間におけるファッション、デザイン、空間設計などのバーチャルシーンと相性のいいクリエイターたちによる創作表現の場であり、数少ない貴重な場だ。 今回はそんな「バーチャルマーケット」の主催でありながら、自身もバーチャルYouTuber(VTuber)として活動する動く城のフィオさんにメールインタビューを敢行した。
美少女でありおじさん・動く城のフィオ
──フィオさんはバーチャルYouTuberとして活動をしつつ、企画屋として様々な功績を残されてきました。まず、バーチャルで活動を始めようと思った経緯を教えていただけますか?動く城のフィオ(以下、フィオ) 最初は、ねこますさんの動画がきっかけでした。「VR空間に国をつくる!」という言葉を聞いて、「そんなにも可能性のある世界に行ってみたい!」と思い、モデリングやUnity(ゲームエンジン)を学んで、VTuberとして活動を開始しました。
──ご自分の活動の上でにとって、転機となった出来事はありますか?
フィオ 2018年3月に企画した「バーチャル賽の河原」ですね。30名ほどのVTuberをVRChatに集め、「99枚の巨大なドミノを並べて倒す」という企画でした。
この後、「賽の河原を見てVRChatを始めた」という方も多く、自分の企画が「誰かのバーチャル世界に一歩を踏み出すきっかけ」になれたことを嬉しく思いました。
──今、注目されている、あるいは憧れているクリエイターはいますか?
フィオ VR上で活躍されているモデラーさんやイベント企画者さん、アーティストの方々は常々注目するようにしています。
これから「バーチャルで生活できる未来」をつくっていくのは、現在バーチャルに身を置いて日々を過ごす私達自身にほかならないと思っています。
シーンの発展に貢献する「バーチャルマーケット」
──ご自身として最も気に入っている企画はなんですか?フィオ やはり「バーチャルマーケット」ですね!
──9月21日から開催される「バーチャルマーケット3」は、世界最大のVRイベントとして注目を集めています。「バーチャルマーケット」はどのような発想から生まれた企画なのですか?
フィオ 2018年春頃から、アバターモデルを販売する流れが生まれました。このムーブメントをもっと広めたい、と思ったことがきっかけでした。
クリエイターにとっては作品発表の機会に、VRに住む人々にとってはお気に入りのモデルとの出会いの機会に。また、まだVRを知らない企業や個人にとって、VRを知る機会になれば良い、と思って企画しました。
「バーチャルマーケット」は3回目を迎えますが、「バーチャルマーケット」ならではの新しいカルチャーや現象はありますか?
フィオ 「バーチャルマーケット」というカルチャーを一言で言えば、「バーチャル空間におけるものづくりカルチャーの集大成」です。
VR空間はまだまだ生まれたばかりの世界で、ここには何もありません。その代わりに、何もかもを自らの手でつくり出すことができます。自分たちが好きな世界を自分たちの好きなようにつくることができる。それがバーチャル世界です。
──「バーチャルYouTuberは個人勢が苦戦している」とも言われますが、VRChatや「バーチャルマーケット」では、バーチャルYouTuberに限らないVR空間と相性のいいクリエイターたちがこぞって表現活動を行なっています。
そういった表現活動がコミュニティの外にも広がるためには、どのようなことが必要だと思いますか?
フィオ まずは、バーチャル空間をより「豊かにしていく」ことが必要と考えています。この場合の「豊かさ」とは、よりたくさんの人がバーチャル世界で生活を選択することができ、よりたくさんの作品がこの世に生まれ、より多くのお金や流通し、この世界がより価値のある場所になることを指します。
そういったビジョンを説き、それに共感したり未来の市場に期待を寄せてくれる企業に資金やネームバリュー、IPが持つ引力をご提供いただく。すると、よりバーチャル世界の価値が高まっていく。地道にこれを繰り返していくこと、継続していくことが肝要だと思います。
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