株式会社メンヘラテクノロジーの女子大生マッチング 賛否を受け代表が緊急記者会見で語ったこと

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株式会社メンヘラテクノロジーの女子大生マッチング 賛否を受け代表が緊急記者会見で語ったこと
株式会社メンヘラテクノロジーの女子大生マッチング 賛否を受け代表が緊急記者会見で語ったこと

POPなポイントを3行で

  • 株式会社メンヘラテクノロジーの新サービスが賛否
  • 就活する女子学生と社会人の「食事会」マッチング
  • 代表をつとめる女子大生が説明会で語ったこととは?
果たしてそれは、学生と社会人にとって新たな恩恵となりうるのか、はたまた就活・就労パワハラの温床となってしまうのか。

株式会社メンヘラテクノロジーが現在リリースに向けて進めている「MM(ミリ)」がインターネット上で議論の対象となっている。代表は現在、東京工業大学の博士課程で1年生の高桑蘭佳(通称:らんらん)さん。先日KAI-YOUでもらんらんさんへのインタビュー記事を掲載した。 社会人の話を聞いてみたい女子学生が、希望した職種や企業の社会人とマッチングで食事会をできる、というこのサービスは、「就活セクハラ・パワハラの温床になるのでは」という物議を醸した。

またパワハラ・セクハラ問題の顕在化のみならず、比較的カジュアルになったマッチングサービスを通して「パパ活」や「ママ活」のような問題が起きている背景を考えると、MMがこれらの類似サービスとして捉えられ議論を呼んだことも、ある意味自然なことにように感じる。 否定的な意見もある一方で、新しいサービスに対して期待する声もある。とはいえ、上記で引用したツイートほど理路整然と肯定している発言は見当たらなかった。どちらかといえば、尖ったサービスをつくろうとしている若者に対しての賛美、もしくはそこまで危険視することへの違和感、といったスタンスだ。

リリース前に受けた様々な意見に対して、11月2日、株式会社メンヘラテクノロジーと、それを支援する株式会社ガイアックスからメディア向けの説明会が行われた。

取材・文:園田菜々 編集:和田拓也

MMとはどういうサービスなのか?

MM(ミリ)サービス説明資料

まず、株式会社メンヘラテクノロジー代表取締役のらんらんさんから、サービスの詳細や背景について説明があった。

「それほど意識は高くないが、学校という狭いコミュニティで息苦しさを感じている」学生にとって、もっとカジュアルに社会人との接点をもてるサービスを考えた。それが「MM」だ。

MM(ミリ)サービス説明資料

このサービスにおけるメリットとしては、学生が話を聞きたい業種や企業にいる社会人と食事をしながら話が聞けるという点。また、社会人にとっては、普段接することがない世代の生の意見を聞くことができ、それを仕事に生かすこともできる、という点が説明された。

MM(ミリ)サービス説明資料

ちなみに現時点では、学生・社会人ともにユーザーからは料金をとらず、セッティングする食事会のレストランからの送客料でマネタイズする方向で進められている(すでに都心で何店舗か提携を結んでいるそうだ)。

らんらんさんは、社会人の彼氏ができたことにより、それまで学校という閉塞的な環境にいた自身の視野が広がり、自分を肯定できるようになったと話す。

そういった自身の背景をもとに、外へと目を向けると、過去の自分のように妹が社会人との接点がなく就職活動に悩みを抱えていたり、多くの学生が経験や自信がないことで就活に動き出せないでいることを知った(女子学生約50名に1時間程度のインタビューを行い検証)。

長期インターンや積極的に学外活動に行く学生はごく一部なのかもしれない。そう感じたことが、このサービスの構想に至ったきっかけだったという。

MMは検証期間の段階

らんらん 私は現在、東京工業大学大学院環境・社会理工学院にて、現在自然言語処理を使った研究活動を行なっています。今年の6月に株式会社ガイアックスのサマーインターンシップ(事業開発プログラム)に参加し、その際に法人化の権利を獲得したことで株式会社メンヘラテクノロジーを設立することになりました。 株式会社ガイアックスの「サマーインターンシップ(事業開発プログラム)」とは、ガイアックスの新規事業立ち上げ組織「Gaiaxスタートアップスタジオ」が主催している学生向けのプログラムだ。

そこで出したサービスのアイデアが良かったチームに法人化の権利が与えられる。リーンスタートアップ(※1)に基づいた事業開発を行い、フェーズごとに投資枠と仮説検証の達成条件を設けている。

※1:コストをあまりかけずに最低限の製品やサービス、試作品をつくって顧客の反応を見るというサイクルを繰り返す起業法

らんらんさんはそこでいくつかのサービスを考え、法人化の権利を獲得。その中に「MM」も入っていたという。そして、株式会社メンヘラテクノロジーを設立し、サービスリリースのために準備を行っていた。ただし、現時点ではあくまで検証期間の段階であり、本格的なリリースまでは至っていない、という。

らんらん 今回、サービスについての記事などで説明が不足していたこともあり、多くの方々にサービスが正式にリリースされるというような誤解を招いてしまいました。正確には、株式会社メンヘラテクノロジーのフェーズは、このサービスが本当に課題解決できるのか、その検証をしている期間になります。

MM(ミリ)サービス説明資料

プログラムではいくつものフェーズが用意されており、現在株式会社メンヘラテクノロジーは、「Problem/Solution fit」のフェーズになる。予算は200万円、期間は3か月。ちなみに各フェーズの達成条件をクリアできなかった場合は、会社精算もしくはガイアックスからの追加投資なしでの事業継続のいずれかを選択することになる。 ※上記ツイートはこのプログラムのフェーズのことを指していたとのこと。

らんらん 今後、段階をふみながら、このサービスで収益を得ることができるのか、広くニーズのあるものなのか、というのを確認したいと思っています。

出会い系サービスにはならない?

今回このサービスが問題となった原因のひとつに、サイトのデザインや売り出し方がいわゆる“出会い系”のようなイメージを喚起させた点が挙げられる。

表向きには、社会に関心がある女子学生と社会人の食事会マッチング、と謳うが、蓋をあければ女子学生目当ての社会人によるセクハラやパワハラの温床となっていた、という懸念は確かに拭えない。

この点について、らんらんさんは「安全性を担保するため」に最大限の配慮ができるように考えているという。具体的には以下のような対策だ。

・食事会は原則、学生2名対社会人2名で行う。

・食事会当日までは参加者同士直接やりとりを行わず、MMが全て仲介する。

・食事会を行うのは、MMと提携している飲食店のみ。

・連絡先の交換、個別での接触を強要された場合はMMへ申告するように学生側にアナウンスする。選考への影響を匂わせるなど悪質な場合はMMから会社へ通告する旨を学生、社会人に周知する。

・ユーザー同士のレビュー制度を設け、悪質なユーザーは即利用停止にする。

また、しばらくはマッチング機能も手動で管理する、MMスタッフ1名が食事会に同行する、連絡先の交換は、希望があれば食事会後にMMを介して行う、MM主催の食事会などオープンなイベントを行う、などの方針も固まっているという。

説明会では、メディアからの安全面に対する質問にも回答した。

──サービス上では実名でのやりとりになるのでしょうか?

らんらん ユーザー同士のやりとりは匿名で考えています。ただし、登録時は実名で、また社会人の方には所属している企業がわかる名刺などを提出いただくことになります。

──アイコンに顔写真などの登録を行なった上で利用するのでしょうか?

らんらん 現在は必要がないと思っているので、顔写真の登録はなしの方向で進めています。

──女子学生と社会人のマッチングサービスであるのなら、サイトデザインや広告の写真に社会人を入れていないのはなぜですか?

らんらん サイトデザインや広告については、こちらでまだ十分な検討をしきれていない点がありました。モデルとして写っている女性は社会人のイメージで載せていたのですが、可愛らしいデザインを目指した結果、誤解を招くようなデザインになっていたという点は反省しています。

──現時点で登録している社会人ユーザーの男女比率はどれくらいですか?

らんらん 正確なデータが手元にないため偏りがある可能性はありますが、その上で現在、2:8〜1:9の割合で男性の方が多くなっています。

──女子学生と女性社会人とのマッチングでもよかったのでは?

らんらん 必ずしも学生の求めるキャリアを歩んでいる女性がいるとは限らない上に、そうすることで幅も狭まってしまうので、社会人側には性別の制限を設けませんでした。

なぜ「女子学生限定」なのか? MMの考える今後

そもそもなぜ「女子学生限定」なのか、というのもこのサービスが問題視された一因だろう。その理由についても、らんらんさんから語られた。 らんらん 女子学生のキャリア設計に関する課題の解決が、このサービス発案のきっかけであったことが主な理由です。

女子学生が興味を持ちそうな飲食店での食事会をフックにすることで、いわゆる「意識高い系」以外の女子学生にも、キャリアに関する視点を広げるきっかけを提供したいという狙いがあります。

また、飲食店への送客料をもらうというビジネスモデルになっているため、ターゲットを絞って提携を結んでいることも理由のひとつとしてあります。

ただし、女子学生限定なのはあくまで現時点での話で、今後の検証でサービスにニーズがあるとわかれば、男子学生の利用も可能にすることも検討したいと思っています。

──食事会の際に社会人と学生はどのような比率で支払うのでしょうか?

らんらん まだ厳密には決めていません。提携しているお店は単価3〜4000円のお店を考えています。

──採用目的に利用できない場合、社会人にとってのメリットが少なすぎるのでは?

らんらん 私が女子学生という立場のため、社会人にとっての十分なメリットを考えられていないのは事実です。ただ、今の学生の働き方に関する意識や、今後の採用への情報収集という活用法はあると思います。

また、社会人へのアンケートでは、学生の考え方を知りたい、学生のキャリアを支援するような活動がしたいという声がありました。

フリーライターのヨッピーさんが開催した「おっさんの全オゴリで学生様にタダ酒を飲んで頂く会」などからも、学生と交流することに価値を感じている社会人は多いのではないかという仮説があります。

一方で、出会いを求めている人にとっては一般的なマッチングアプリと比較しても手続きが面倒な点も多いため、そのようなメリットは少ないと考えています。 ──既存のサービスと比較して、このサービスが突出している点はどんなところでしょうか?

らんらん 類似しているサービスとして、「Matcher(マッチャー)」や「ニクリーチ」を考えていますが、これらのサービスは人事やリクルーターに関わっている人が多く利用しています。

採用権限をもっている人だと、「こういうことは聞いちゃいけないのかな」とためらわれてしまう可能性もあります。MMでは、社会人ユーザーには採用活動ではなく、あくまで情報収集としての利用してもらうかたちになります。

こうしたことをもっとわかりやすく説明すべきでしたが、今回弊社による説明が足りなかったことにより、様々な誤解を与え、多くの方を不快な気持ちにさせてしまったことをお詫びいたします。

受けたご指摘については、きちんと受け止めてサービスに生かしていければと思っています。

課題は多いが、就活に悩む学生を救うサービスとなる可能性も

着想からまもないサービスということもあり課題は多いが、指摘された意見については随時取り入れながら安全性が担保されるサービスを目指したいという。

また、11月11日にはガイアックスの社員との食事会をセッティング予定。らんらんさんが言うように、まずは試運転で検証を重ねる段階にあるようだ。 就活セクハラやパワハラの引き金になるリスクは多分にもちつつも、サービス側のフォローが充実していくのであれば通常のOB・OG訪問などに比べて安全性が高まる可能性もある。

サービスが今後どのような方向に舵を切っていくのか、女性の新しい選択肢になることを期待したい。

カイユウもリリースから5年が過ぎた

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