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少年誌vs青年誌

僕は人間の持つオーラってやつを結構信じるタイプで、バトル漫画の読み過ぎかもしれないけど、クジ引き前の出場MCの群像を眺めていて一人だけ明らかに毛穴から発してるモノが違う人間を見つけて「さすがだなぁ」と感じたのを覚えている。

それが、Lick-Gだった。
Lick-G

Lick-G

オープニング、彼はライブショーケースの時点でその違いをお客さんに届けていたし、3回戦で彼が負けるまでは「Lick-Gが優勝だろうな」と思っていた。

なぜかと言うと彼は相手が誰でも一切のリスペクト精神を排除してバトルに集中できるからだ。彼は自分がLick-Gであることに一切の迷いがない

そんなLick-Gを下したのがGILだった。変な言い方かもしれないが、少年漫画の主人公が青年漫画の主人公に負けたような試合だった(というわけでDVD買ってください)。

少年漫画のキャラクターはそのタレント性を優先するが故に、感情移入しずらい部分が生まれてしまう傾向にあると思う。例えば『ドラゴンボール』の孫悟空なんかはそうだと思う。

TKda黒ぶち君との1回戦での試合なんてまさにそうだった。Lick-Gは異次元にいた。
TKda黒ぶち vs Lick-G/ 戦極MCBATTLE 第17章
一方で青年漫画はリアリズムに重きを置く作品が多く、大人になってから読む直すと感情描写の鋭さを再確認させられたりする。
180217_SENGOKU17_BATTLE161

Lick-Gを下したGIL

ただ、これはMCバトルでありこの日1日の物語だから再確認なんて容易にはできない。お客さんだって若い人が多かった。

しかし、そんな個人の物語の既読数が明暗をわけることになるとは誰も予想していなかったと思う。

これは「フリースタイルダンジョン」を筆頭とする影響力の大きいMCバトルのほとんどが審査員制を導入しているのに対し、完全観客審査制を続けてきた「戦極MC BATTLE」ならではの現象だと思う。

加えて特筆しておく、この17章の出演者には「フリースタイルダンジョン」に出たことのないMCが数多く含まれていたのだ。

その上で純粋な知名度による勝ち負けを覆すように、ダンジョン未出演のMCの方が明らかに猛威を振るっていた(「ダンジョン」に出て以降もパッとしない自分への憤りを感じていたのはおそらく僕だけじゃない。その点、「ダンジョン」にまだ呼ばれていないMCの方が言葉に希望が乗っているように聞こえたのだ)。

観衆の期待がLick-Gという主人公を打破したGILに向いていたとして、その信用がまだ100%ではなかったのは彼が「ダンジョン」未出演のMCだったからだ。しかし、その100%に満たない知名度、信用度が逆にGILを輝かせたのだ

そんな彼の味を慎重に再確認できるターンが運命のように回ってくる。

ベスト8のmu-ton対GlLがそれだった。福島県に根を張るラッパー同士の対決である。
mu-ton対GlL

mu-ton対GlL

ちなみに、この時すでに準決勝行きを決めていたハハノシキュウにとっては次の対戦相手を決める大事な試合で、どっちとも戦いたくないけど、Lick-Gに次いでオーラがバリバリ出ていたmu-ton君が来るだろうなと思いながら舞台袖で観ていた。
mu-ton vs GIL/ 戦極MCBATTLE 第17章
結局、試合が終わってみれば、みんなGILの人間的な味わいの深さに気付き、それがこの大会に必要なエッセンスだと無自覚に理解していたのである。

向こうのブロックを勝ち抜いてきたのが呂布カルマさんだったのも、そう考えるとすごく合点が行く。

今、MCバトルシーンは非常に大きな問題を抱えている。

それは友達を殺すことの難しさだ。これは年齢を重ねるほど思い知らされる。

難しさを知っているからこそ、この日の年長組は若手よりも強かったような気がするのだ

価値観を揺るがせたGILのラップ

そして決勝戦、GIL対呂布カルマである。
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GIL対呂布カルマ

先攻のGILが「約1年ぶりだな、呂布さん。アンタの姿を色んなところで耳にしたし、見てきた。アンタは本当はコアなのに怖くはなくなった。なんでかな?言葉吐いた分、薄っぺらくなる存在になった」と畳み掛ける。

この1本目のGILのディスが試合の全体像を表していた。

呂布カルマさんは日々、かなりの量のバトルを日常的に行なっているのにも関わらずまるでクオリティが落ちないのが本当に凄いと思ったし、言葉が薄くなっていたわけでもないのだけど、GILが言うとその価値観は見事に揺らいだ

後攻の呂布カルマさんはこう返す。「お前が色んなところで1年間俺を見てきた間、俺は何処でもお前のことは1mmも見なかった。大好きな福島でクダ巻いている間、俺は羽ばたいた」 呂布カルマ あくまで、僕の意見だけど呂布カルマさんには多大な責任感があって、ラッパーという職業を生業にしている社会人だ。だから、ラップ1本でメシが食えてない人間とは、バイトと正社員くらい発言力に差がある。

社会的なロジックでは呂布さんの言ってることの方が的確だし、同じステージで物を言い合うためには同じレベルで話さないといけない。

そして、そんな呂布カルマの物語は会場の誰もが認知していたし、既読していた。しかし、そんな個人の物語の既読数が明暗をわけることになるとは誰も予想していなかったと思う。

単純に薬と一緒で、呂布カルマという薬を「フリースタイルダンジョン」を筆頭に、日常的に飲み過ぎて効きが悪くなっていたのに対して、GILという薬を久々に飲んだ人たちにはその効能がよく効いたんだと思う。

だから、GILの「薄っぺらい」という表現が妙に耳に残ったのかもしれない。

呂布カルマさんが3本目で「福島が泣いてんぞ」と言ったのに対し「福島は確かに泣いているな、嬉し泣きにまだ早えぞ」とGILがアンサーを返したところでこの薬が完全にキマったように見えた。

そして、何よりその薬の人間味は日常的にバトルをやっている人間には出せないテイストだったように思える。

判定の結果、優勝はGILだった。 戦極MCBATTLE17章 僕自身が自分のバトルの結果がベスト4という悪くない結果でも、そこまで言及するほどのことじゃないと思えてしまう大会だった。自分でもどこか作業的な試合運びだったなぁと思えて仕方ないからだ。 戦極MCBATTLE17章 “勝ちに行く”試合をして準決勝まで上がった結果、YouTubeの「戦極チャンネル」のベストバウトに選ばれなかったからだ。

「戦極」のベストバウトに選ばれなかった経験がほとんどなかった僕にとっては相当勉強になった。

これまでバトルで名前を売る機会を死ぬほどいただいてきたけど、全然それが普段の活動に活きてこない。それに個人的にはどうでもいいことだけど、表面的にしか僕のことを知らない人にはきちんとナメられている。ハハノシキュウはただの二流だと思われている。

そう考えるともう、ずっと目を背けていたところに目線が向かざるをえない。

優勝する以外に選択肢が残ってないのだ

昔からスポーツマンシップや男の意地みたいなものが欠けているタイプの人種だ。それを言い訳にすらできる性格だ。そうじゃない人にとっては今更すぎる結論だろう。

ハハノシキュウというラッパーがようやく僕の中で手に負えない存在になった気がした。

ハハノシキュウのライブ情報

<ハハノシキュウ生誕祭〜ツーマンの会〜(ミンちゃんを呼んで誕生会!)>

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■会場:下北沢Laguna
下北沢Laguna
5.5(土)
Minchanbaby
ハハノシキュウ
(O.A)M1NAZUK1
OPEN 18:00 START18:50
前売り 2500円(D別) 当日 3000円(D別)
発売日3月15日(木)

ローソンチケット 0570-00-0777
Lコード予約 http://l-tike.com(外部リンク) Lコード:71236
イープラス http://eee.eplus.co.jp(外部リンク
Laguna店頭

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この記事へのコメント(2)

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匿名のユーザー

匿名のユーザー

最高に面白かった、やっぱ文才ありますねハハノシキュウさん

匿名のユーザー

匿名のユーザー

MCバトルごときで殺すは大袈裟かと

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