ニコニコ動画の王 もこうインタビュー 「ドワンゴが僕たちをなめてた」

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ぶっちゃけ、いまどのくらい稼いでるんですか?

──もこうさんが動画投稿主としてデビューしてから生活できる程度の収入を得るのに、どのくらいかかったんですか?

もこう やっぱり自分のチャンネルができてからじゃないですか? 2013年12月。ちょうど2013年くらいからYouTuberって存在が出てきてたので、ネットで何かをやってお金を稼ぐって流れはすでにありました。僕は2009年から「厨ポケ狩り講座」ってシリーズ動画をやってたので、一定数の視聴者がずっとついてきてくれていて。

その地盤があったから、チャンネルもニコニコユーザーの推薦で第1期生としてつくることができたし、うまくいった。僕が2013年に、「ネットで金稼げるんや! やろう!」っていきなり動画投稿とかしだしても、絶対うまくいってません。
もこう しかも僕の活動の動機は「お金を稼ぎたい」ということじゃない。「動画で人を楽しませたい」からやってるんです。結局、お金を稼ぐことが目的の人は絶対にうまくいかないですよ

本気で動画で自己顕示欲を満たしたいから、「こういう動画を見てほしい」「数字がほしい」って思いでやれてる人が成功してるのかなって。動画つくったり、自分のネタが視聴者にどういう反応してくれてんのかな? とかそういうことを考えてる時間が一番楽しい。だから僕はいまだに本気で続けられてるんです。
もこう先生の動画と喧嘩する生主
──ぶっちゃけ、いまどのくらい稼いでるんですか?

もこう それはちょっとまずいなー。あー、でもこれはチャンネル会員に1回言ったんですけど、今年の4月にYouTubeの広告収入とかチャンネルの収益含めて、車1台買えるくらいにはあったんちゃうかな

ただ、じゃあ毎月車買えるくらい入ってくるのかと言われたらそうじゃない。3月4月はたまたま広告収入が跳ね上がる時期なんで、基本は不安定です。広告って、やっぱり企業がお金を流すので、3月、8月、年末とかの決算期が増えやすい。本当に不安定ですよね。

ゲーム実況はニコニコである必要がなくなった

「ニコニコ超パーティー2015」ゲーム実況エリアの様子

──広告収入でいうと、やっぱりまだまだゲーム実況動画が人気ですよね。最近のゲーム実況、どうですか?

もこう それがねー、まだ答えを出し切れてないんですよ。わかんないんだよなー。ただ、ニコニコだけで見ると去年よりは終わってるんやと思います。多分、視聴者が飽きたんちゃうかな? いろんなプラットフォームが出てきて、ニコニコである必要がなくなってきてるのかなって気はするんですよね。

YouTubeとかOPENREC.tvとか他のプラットフォームに目を向けると、やっぱりまだまだゲーム実況者は人気なんですよ。ニコ動は勢いあった人も全然伸びなくなっちゃったし。ニコ動に限って言えば、あくまで僕が見えてる範囲での話ですけど、(ゲーム実況人気が)落ちてるのは間違いないんちゃいますかね。

OPENREC.tvでの「シャドウバース」配信のスクリーンショット

──ニコニコが衰退していくと、もこうさんの収入にも関わってきますよね。

もこう 正直危機感はありますね。昔はね、僕より伸びてる人がいたら嫉妬してたんですよ。「あいつもっと落ちろよ」って。でもいまって、他の人の動画が伸びてると、ちょっと安心するんですよね。

──まだ伸びる余地があるってところに安心感があるんですかね。

もこう そう。いや、それよりも周りの幸せが自分の幸せのように感じるというか。最近、丸くなってきてるって言われるんですけど、こういうとこかもなー。気持ち悪いなー(笑)。

だって今は昔と比べて本当に気持ちが変化していて

昔は「あ、今日は俺が上や」「今日負けてるな」とか目に見えた数字の競い合いが毎日あったんですけど、いまじゃそんなことない。

いままでライバル視してたキヨとかレトルト、アブとかのゲーム実況主もみんなYouTubeとか他のプラットフォームに移ってるし、そもそも動画もほとんどニコニコ動画に投稿されない。だから、ライバル意識がもう薄れてきちゃってるんですよ。ニコ動が落ちてきちゃってるから。ニコ動に意識を向ける余裕がないくらい、他のサービスが伸びちゃってる。

──やっぱりもこうさんも活動のウェイトはニコニコ動画よりも、YouTubeに移ってるんですか?

もこう 僕ですか? 僕は正直な話、ずっとニコニコだと思ってたんですけど、動画でいうたら最近はYouTubeですよね。いまもニコ動にも投稿するんですけど、あくまでYouTubeを優先してる。去年まではニコ動にあげてる動画をYouTubeに転載するって形だったんですけど、いまは違って。

YouTubeのためのオリジナル動画をつくってますね。だいたい、ひと月に50本くらいはYouTubeにあげていて、ニコ動はそれの半分ないくらいかな。収入がいいってこともあるんですけど、YouTubeはコメント欄の視聴者の反応が新鮮で楽しいんですよね。
"絶対に入れないジム"があると聞いて挑戦してみた!
もこう ニコ動の視聴者って冷めてたり、斜めに構えてる人が多いんですよね。一方で、YouTubeの視聴者はすごく素直。視聴者は意外にもかぶってないんですよ。

ただ、生放送はやっぱりニコニコ。僕が言ったことに対して、すぐにレスポンスが返ってくるので人と会話してる感じがすごくある。他のサービスと比べて、ラグがないんですよ。

あとはリアルタイムの視聴者数、コメント数、来場者数って数字がニコ生にはある。ニコニコ動画は落ちてると思うけど、ニコ生には雑系生主とか、まだまだ僕より数字持ってる人がいるから、すごくやりがいを感じています。なんだかんだいってニコ生の視聴者が好きなんですよ。

たまにコメントでイラっとして病むこともあるけど、それも含めて好き。

動画投稿してなければ、死んでた

──数年前からYouTuberや動画投稿主、ゲーム実況主といった人たちが注目されて、いろんな人が増えてきたと思います。これから、もこうさん含め、そんな人たちがいまを生き残るにはどうしたらいいと思いますか?

もこう …………。動画づくりを楽しむ心を失わない。普通過ぎますかね? それしかないかなと思いますね。そうじゃなきゃ絶対無理ですよ。動画って、好きじゃない気持ちが出ちゃいますもん。そうなったらはっきり言って、おわりです。

視聴者の反応を気にしすぎるのもよくない。視聴者の声に応えることだけが正義じゃないので。自分がやりたいことを固く続けて、時には視聴者を突き放すことも必要になるし。とにかく自分が楽しんでないと、観てる人は絶対に面白くないんですよ。 ──楽しくないと続かないというのは、すごくシンプルですけど、まさにそうですよね。もこうさんは楽しさの先にある、今後のビジョンとかは考えてますか?

もこう それがねー、1回ある人に聞かれたことがあったんですけど答えが出なかったんですよね。とりあえず、いまはニコ生の視聴者をもっと増やすとか、YouTubeの数字をもっと増やすとかって目標はあるんですけれど、3年後、5年後のビジョンとかなるとわからないですね。

──たとえば、番組とかイベント出演の仕事が増えて、ネットタレントのように活躍していく人もいるじゃないですか。

もこう そこは目指してないです。自分はプレイヤーとして、動画と生配信をやります。メディアへの露出はあくまでおまけ程度。リスナーを第一に考えながら、やっていきたい。

ただ、その先に何をやりたいか? って答えはまだ見つかってないんですよ。ゲーム実況はまだまだ続けるし、英語や中国語を覚えて海外向けに動画をつくろうとは考えてますね。 もこう あとは自分がずっと不登校やったから、そういう人を救いたい。中学2〜3年行ってないんですよ。高校も通信制で、まぁ週に2〜3回通学する程度。結構、小さい頃から人生に絶望して生きてきてるんです。

メールで「もこうさんの動画観て元気もらえました」とか、たまにもらえるんですけど、ちょっとうれしいですよね。僕は動画投稿をはじめてから、すべてが変わりました。動画投稿やってなかったら、死んでたんじゃないですか。

だから、同じ悩みを持っている人に希望を与えていきたいですね。
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もこう

動画投稿主/生主

2009年5月よりニコニコ動画にて活動開始。実況動画「厨ポケ狩り講座」シリーズを開講。2010年9月までに約55本もの講座動画をリリースし、一躍名をはせる。その後は実況動画にこだわらず、多ジャンルに手を出す。歌ってみた、料理、エンターテイメント、自然カテゴリ等。2014年現在、Web上に投稿した動画の総再生回数は3500万回以上。ブログPV月間50万。
Twitter(@mokouliszt)

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