アートは怖くない! 100年続く「日展」を右も左もわからず鑑賞してきた

アートは怖くない! 100年続く「日展」を右も左もわからず鑑賞してきた
アートは怖くない! 100年続く「日展」を右も左もわからず鑑賞してきた

日展にやってきた!@国立新美術館

突然ですがみなさま、私はいま六本木の国立新美術館に来ています。

やっほー!

なぜここに来たかというと、我らがKAI-YOU編集長に「『日展』見てきて!」と言われたからなのですが、わたし「日展」って、名前しか聞いたことないんですよね……。

おどおどしていると、「普段、ネットで話題の展示会とかは鑑賞する機会が多いと思うけど、100年の歴史を誇る日展も観にいったら得るものがあるんじゃない?」とのこと。

なるほど、そういうことなら行かせていただきます! ということで、観に行くことになったのですが……えっと、そもそも「日展」って? 日展のような「公募展」を観る機会のなかった、私みたいな美術の知識のない人間でも楽しめる展覧会なんでしょうか?

100年続く美術展「日展」

そもそも「日展」は、「日本美術展覧会」の略。

始まりは、鎖国を終え、国を開いて外国との交流を始めた時代まで遡ります。欧米諸国の文化のレベルの高さに驚いた当時の日本人。「我が国も公設の展覧会を開き、文明国として世界に誇れるような芸術文化を育成しようではないか!」という夢のもと、1907年に、第1回文部省美術展覧会(略して文展)が開催されました。

つまり、はじめは政府主催の展覧会だったんですね。以来、「帝展」「新文展」そして民間の社団法人主催になって「日展」と名称を変え、100年以上続く展覧会として、今日に至ります。

最初は「日本画」「西洋画」「彫刻」の3部門で始まり、後に「工芸美術」と「」が加わって現在の5部門となりました。

作品を観るコツは「どれを持って帰りたいか」

会場案内図を見ると、この広い国立新美術館で、企画展室以外は全部「日展」の展示ブースなんです。展示されている作品数は、なんと3,000点近く!

冒頭でもお話したとおり、私、絵や工芸作品、書を観るのは好きなのですが、美術的観点からの良し悪しはよくわかりません(正直)

しかし、日展のウェブサイトに掲載されているインタビューで、書の作家の井茂圭洞さんがこんなことをおっしゃっていました。

誰にでもできる書を観る目を育てる第一歩をお教えしましょう。それは「ここに並んでいる作品、ひとつだけあげるといわれたら、どれを持って帰りたいか」。ちょっと乱暴なようですが、最初はそれでよいのです。 公益社団法人 日展(日本美術展覧会)- 作家インタビュー

なるほど、それなら私にも出来そうです。「一番好きな作品を決めて、こっそり持ち帰ってやろう……!」そんな気持ちで、観て回りました。

たくさんの作品の中から「私が好きだと思ったもの」をご紹介しながら日展をナビゲートしていきます。よろしくお付き合いください!

やわらかな「日本画」の世界へ

日本画は、天然の鉱物や土などを粉砕してつくられた粉、いわゆる「顔料」で描かれます。単独では接着しない岩絵具や顔料の粉を、紙や絹に接着させる糊として「膠(にかわ)」を使うのが特徴だそうです。

膠はゼラチンと同じような成分で、岩絵具の表面をあまり覆うことなく接着するため、光が散乱しやすいのだとか。

岩田壮平さんによる「水なき空に」。花びらの一つ一つが、宇宙のようにきらめいていて美しい!

日本画って、ふんわりとした、柔らかい印象の作品が多いんですね。……と思いきや、「日本画」という名前の通り日本っぽい題材の作品の隣に、パキッとした色や題材の「洋」っぽい作品も。実は、日本画と洋画を大きく分類するのは「画材」の違い。題材は作家さんの個性で様々です。

土屋禮一 「画家の空」

自画像の後ろに、空の光と影が描かれている作品。黒いもやもやとした重い雲のような感情や、澄み渡った青のような感情が、自分の背後の空に描かれているのでしょうか。ここに描かれているのは作家さんですが、私の中にも黒い雲、あります。絵画を観るというのは、自分の心を読む作業なのかもしれませんね。

久米伴香 「そよ風」

やわらかく、可愛らしくて癒されるような自然の風景。穏やかな、そよ風が吹く初夏のある日に連れて行ってくれるような作品です。

三上友子 「日々」

「日々」というタイトルの通り、毎日の暮らしから生まれたモチーフで、なんだか見ていて泣きそうになってしまいました。忙しく日々を過ごしていると、自分の干した洗濯物をゆっくりみることってほとんど無いんですよね……。私自身も、自分の暮らしについてゆっくり考えたいなとこの作品を通して感じました。

朝倉隆文 「相補性ノ時間ノ救済」

佐藤俊介 「marginal」

村居正之 「耀く」

水野 收 「おばあちゃん」

中村賢次 「煙籟」

美しい女性がたくさん……! 「洋画」エリアへ

「洋画」とひとことで言っても、キャンバスに油絵の具で描く「油彩」、水彩絵の具で描く「水彩」、顔料にアクリル樹脂を練り込んだものを使用する「アクリル」、水練りした顔料を卵を使って描いてゆく「テンペラ」、木版や銅板、シルクスクリーンなどの「版画」など、その技法はさまざまです。

洋画の展示エリアを眺めていると、女性が描かれた作品が多いという印象があります。私が選んだ作品も、綺麗な女性多めになってしまいました。

藤森兼明 「アドレーション パラ ドオーロ」

写真でも伝わりますでしょうか、黄金に光り輝いています……! 色の力ってすごいですね、圧倒されてしまいました。モデルの女性、力強く前を向いていて生気に満ちた表情で、作品を観ている私もドキッとしてしまいます。額縁も装飾が綺麗で、絵を飾る額縁も含めて作品ですね。作家である藤森さんは、普段から女性の絵を描かれているのですが、外国人がモチーフなのは珍しいというお話もうかがいました。日本人の女性の絵もぜひ見てみたいです。

丸山 勉 「フォレスト」

灰色の森に佇む女性、どこか非現実的な満月の浮かぶ群青の空。生と死と、その狭間の森。自分自身の「森」ってどんなものなのでしょうか。

福井欧夏 「葵の庭」

モデルの女性が着ている洋服が現代的なベアトップのドレスで、非常に可愛らしいなぁとほれぼれ。窓の向こうから日が差していてデコルテがすごく綺麗ですよね……。私と同じくらいの歳の女性かと思うのですが、どこか儚げで目が惹き付けられました。

曽 剣雄 「物語」

中島健太 「星街−STAR ST-」

西房浩二 「Menton」

本山二郎 「二重奏」

山本佳子 「希望」

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