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ドット絵表現がつくってきたもの 「ゲーム画像解剖」構図編

ゲーム画像解剖

こんにちわ。ぼくはイラストレーターやモグリのドッターなどをやっているたかくらかずきといいます。

モグリっていうのは、あれです。ゲームの仕事メインでドット絵をしているわけではないのです。もともと普通の絵(絵柄が普通かどうかはおいておいて、解像度が高いイラスト)を描いてたんですけど、その解像度がゲームが好きなことによりどんどん下がっていき、気づいたらドット絵になっていたという、そんな感じです。

だから、この記事ではゲーム業界にいるグラフィッカーやドッターさんとはちょっとズレた視点でドット絵のことを中心に「ゲームの構図」について書いてゆきます。

ドット絵からみる、ゲームの構図史

ゲームの歴史については、多くの人がいろいろ書いていますが、ゲームに表示される「ドット絵」つまり「画像」についてのみ語ることは、意外と少ないのかなと思い、そこに注目してみます。

僕は1987年生まれなので、物心のついた頃はFCからSFCへの移行期ぐらいでした。SFCは256色、256×224とかのドット絵でした。

小1の頃はじめてやったゲームは「ロックマンX」。アクションゲームの名作「ロックマン」の続編的シリーズで、前シリーズの鉄腕アトム的な世界観を廃し「ブレードランナー」や「マトリックス」みたいなハードなSF設定でつくられたゲームでした。絵やキャラクターのデザインがとにかくかっこよくて、すごく熱中しました。

ドット絵が主流だったころのゲームには、ファミコン時代から積み上げられてきた幾つかの構図の「カタ」があって、それは現在のスマホゲームや、PS4やWIIUなんかにも引き継がれています。

①RPG (俯瞰)

ゲームの初期の構図は横井軍平さんが発明した(大発明! といわれています)「十字キー」にいかに空間配置を割り当てるか、という問題とともにあったような気がします。

現実世界は横と縦と奥行きがあるのに、十字キーは横と縦しかないですからね。さらにはテレビ画面も、平面なので横と縦しかない! これはマンガやアニメとも同じ、ようは平面表現ということです。「ドラゴンクエスト」シリーズをはじめ、初期のRPGの多くが、主人公が画面の中心にいて、それを上空から見ているような構図で進みます。

不思議なのが、プレイヤーは主人公になりきっているのに、自分自身を俯瞰して、操作している。こんな光景現実では見たことないぞ、という点。現実的じゃないんですね。こんな光景は幽体離脱でもしない限り、現実ではありえません(したことないけど)。RPGの起源がボードゲームなので、それを割り当てるうちにこのような構図が誕生したのでしょうか。

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「クロノトリガー」より RPGだとクロノトリガーが好きっす

古い日本画を見てみると、どうやら日本人は西洋式の透視法とは別の見方でものを見ていたのではないか、というふうに思えます(チームラボ猪子寿之さんはそれを「超主観空間」といっていますね)。

景色なんかでも、手前は下、奥は上というふうに描かれているんです。ゲームにおける平面的な構図は日本人のそういう特殊な空間処理能力と親和性が高かったんでしょう、RPGはとくに東洋的な構図だし、神の目線から自らを操作するというメタ的で客観的な構図です。

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「洛中洛外図」 チームラボ猪子さん曰く、これぞ日本画とRPGを繋ぐ「超主観空間」視点

こんな構図なのに主人公にがっつり感情移入できちゃう感じとか、不思議ですよね。

よく見てみると、他の村人たちや、城の家来なんかも各々生活をしているのが見えるようになっています。これはまわりに倒すべき敵ばかりでなく、助けるべき仲間がいて、それを中心にストーリーが進んでいくことをうまく組み込むための構図だとも思えます。他のプレイヤーの動向が気になるパーティーゲームなども、この俯瞰した構図が使われることが多いです。

現代でもグラフィックは3Dにこそなれど、「妖怪ウォッチ」なども近い構図でできていて、少しでもゲームに触れたことがある人だと、この構図をみると「あ、なんかRPGっぽく仲間とかと頑張るやつかな?」と直感的に想像できるのです。

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「妖怪ウォッチ」より 仲間とかと頑張ってる

②横スクロールアクション(能舞台や絵巻物)

東洋的な表現の仕方で、次元を圧縮するというのがあります。ぜんぶ表現しようとするとめんどくさい、もうリアリティーとかいいから、いっこ削って、簡単にしてしまおう、みたいなことです。

この思想は西洋と東洋の古典舞台にも影響が出ていて、西洋式の舞台だと結構奥行きが広いし、舞台も立体的に入り組んでるだけど、日本の能舞台なんかは結構狭くて真っ平ら。背景は平面的な絵が一枚、通路は横長くて細い。もうお客さんの視点決まってるから、奥行きとかあんまいらないっしょ、みたいなノリを感じます。このカタはまさにそんな感じの構図ですよね。

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Bunkamuraのセルリアンタワー能楽堂 能楽師は左(揚幕)から入り、通路(橋掛かり)を通り中央(本舞台)へ

RPGでは神の目線だったプレイヤーは、今度は舞台の客席から主人公を見て、没入していくことになります。神目線では、まわりの村人の行動なども気になっていたけど、今度は主人公ひとりのアクションに注視できる構図だともいえます。主人公とにかくがんばれ! やれ! みたいな気持ちになります。

さらにこの構図は、漫画の原型とも言われている、「鳥獣戯画」などにあるような絵巻物のような感じもあります。横向きにずーっと続くフィールドがあって、進んでいくとどんどんストーリーがわかっていく。時間の流れがわかりやすいですね。現代では『クラッシュバンディクー』や『バイオハザード』あたりからアクションゲームは3Dに移行していって、コンシューマー機ではあまり見なくなりましたが、未だにスマホアプリでは、このスタイルのアクションゲームはよく見ます。

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「ケロブラスター」より やれ!主人公!!

③ポケモン (手前と奥)

これ、昔のポケモンでしか見たことないので若い方は知らないかもしれないですが、手前に自分のポケモンがいて、奥に敵がいるんだけどこれ、実は主人公の視点なんですよね。ここにも下が手前、上が奥の表現方法が適用されています。

さらに面白いのが、手前のドットがすごく荒れているんです。
ポケモン初期の頃、少ないゲームボーイのドットでどう奥行きを表現しよう? という問題に直面し、「そうだ、手前のドットをでかくしよう!」というブッとんだ発想に至ったのではないかと思われます。ドット絵ならではの力技って感じです。

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「ポケットモンスター赤/緑」より 手前ポケモンの1ドットのサイズが奥ポケモンの2倍!

④海外のゲームの構図(FPS)

海外では主観視点のゲームが多い印象です。いわゆるFPS(ファーストパーソンシューティング)てやつですね。銃を構えている自分の目線でゲームを進めていく、みたいなゲームジャンルです(僕はこの手のゲームは、すげー苦手なのです。こっちのほうがリアリティーある構図なのに、なんかリアリティ無いなみたいになるのなんでしょうかね。酔うし)。

この手のゲームはアメリカでは主流だと思われます。おそらくこの手のゲームの初期は「Wolfenstein 3D」、有名なのは続編の「DOOM」ではないでしょうか。ドット絵なのに頑張って主観と奥行きを表現してます。

現代ではこういった主観のゲームも日本で流行ってきてますが、まだだいたいが海外産のゲームのように感じます。

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「Wolfenstein 3D」より なんかすごい

海外ゲームの特長として、行動できるフィールドがやたら広いという特長があります。日本のゲームみたいに、透明な壁にぶち当たったり、行けそうなのに行けない場所がやたら多いということはあんまりないですよね。

これは日本の特長として、観れるけど入れない「回遊式庭園」的な考えが影響してるのでは‥と思ったりしますが、それはまたそのうち書きたいと思います。今後もゲームの「画像」からいろいろ読み解いていければと考えています。

では、みなさま良いゲーム人生を〜!

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